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真祖の森  作者: Lika
1章 
7/53

怪しいお店

 行方不明の少女を追って東京まで来ました。橘 茜です。


なんともワケの分からん事態に陥っています。双子ちゃんの片方が行方不明となり、その双子ちゃんは入れ替わっている可能性があり……しかも行方不明になった約1年前の新聞記事に掲載されている白いワンピースを来た、双子ちゃんと全く同じ見た目の少女が何故か30年以上前の写真に写っている……


30年前とかは写真加工すれば説明はつくかも……しれんけど意味が分からん……


とりあえずは、その写真に女の子と一緒に映っている男と接触することに……


昨日、双子ちゃんのお母さんから聞いた妹さんの連絡先に電話してみる。

その男と結婚していたらしい、今は既に離婚しているみたいだが。


むなしい呼び出し音が続く……ダメだ、出ない……


「シアさん……出ません……直接住所に行ってみますか? すこし距離ありますが……」


まあタクシー使えと団長に言われてるから、乗って行くだけなんだが……


「ねえ……もしかしたらその妹さんも……何か巻き込まれてるんじゃ……」


ゾク……と背筋が凍る……ダメだ、これ以上は警察に任せたほうが……と、その時電話が鳴る。

今自分がかけた番号からだった。良かった……と安心……


「もしもし、探偵派遣会社の橘と申します……急なお電話失礼しま……」


『はーい? 探偵さん?』


ん? 声が子供……っぽい……40歳そこそこだと聞いたが……えらい若々しいな……


「ぁ、えっと……行方不明になられてる姪御さんの件でお話を伺いたいのですが……」


『ぁ、由良ちゃんの事ですね……私に何かできる事があれば……』


「あ、えっと……」


詳しい事話してしまっていいんだろうか……貴方の元旦那と姪御さん……実は30年以上前の写真に一緒に写ってるんですけど……とか……100%加工だとは思うけどなんか……


「その……実はですね、貴方の……離婚された元夫が……関わっている可能性が……」


ってー! こんな事言って大丈夫か?!


『はい? そ、それ本当ですか?』


「ああ、えっと……悪魔で可能性なんですけど……それで、その方の今住んでる場所とか……分かりますか?」


『住んでる場所までは……えっと、経営してる怪しいお店なら知ってますけど……』


なんだ、怪しいお店って……


『場所は……』


と、場所だけ聞いてこちらから話を切り上げて電話を切った……あまり詳しく事情を話すのは……なんか気がひける……


「シアさん、とりあえず場所分かりました……けど、なんか怪しいお店らし……」


「怪しいお店?! 行こう!!」


なんでこんなに張り切ってるんだ、この人……そういうの好きなのか?! 


そんなこんなでホテルからタクシーで、その怪しいお店に向かう……まだ朝の9時……開いているだろうか。





 商店街のような場所を抜けて歩行者天国になっていると、タクシーの運ちゃんにお金を渡して、そこからは歩いて「怪しいお店」に向かう。ビルの地下にあるみたいだが……


「ここ……ですね……」


なんか凄い入りたくない……地下への階段を下りた先、ドアには「異世界への入り口」とか書いてある。


「怪しいね……」


「怪しいですね……」


二人していいながら、勇気を出してインターホンを押す。


……………


しばらく待っても誰も出てくる気配はない。


「やっぱり……夜ですかね、こういうお店は……」


「夜かぁ……キャバクラか何かかな……」


そういえばどんな内容の店なのかすら分からない……


仕方ないので出直そうとしたとき、ドアの鍵が「ガチャン」と開けられる


「ぁ……す、すみませーん……私達、探偵派遣……会社から……」


と、扉を開けた人物は今まさに探している男だった。


「何か?」


不愛想な、タバコとお酒で焼けたような声で男は尋ねてくる。


「ぁ、え、えっと……漆原由良さん……ご存知ですよね、少しお話を伺いたくて……」


男はピクっと眉間を寄せて、「どうぞ」と一言だけ言って奥に……シアさんを顔を見合わせて、私達もお店の中に入った。


「好きな所に……」


それだけ言って男はソファーにドカっと座りタバコに火をつけた。外からみたらボロい店だと感じたが、中は高そうなソファーや机、置物などで埋め尽くされたキャバクラ……のような内装だった。

いや、わたしはキャバクラ行った事ないが……


男の向いのソファーに私だけ座り、シアさんは部屋の中を見物するように見て歩いていた。


「実はですね、この写真について……お話を伺いたいのですが……」


私がネットにUPされていた画像をプリントした写真を出すと、男は手に取り……


「懐かしい物を出してきますね……確かにこれは私と……友人ですが……」


友人……?


「その……白いワンピースを着た女の子なんですが……漆原由良さんにソックリなんです。まるで双子のように……」


男はタバコを吸いながら


「今行方不明になっている……どうせ私の元婚約者から聞いてきたんでしょう、なら勿体着けずに言うといい、お前が誘拐したんじゃないかと」


いやいやいやいやいや……私警察でも探偵でもないし……ただの事務だし……


「わ、私はただこの子を見つけたいだけです……何か知ってるなら教えてください……貴方が関わっているということは誰にも言いません。」


団長はもう知ってるが……


「残念だが……私は何も知りませんね……由良さんの事は聞いていますが……」


じゃあ……


「じゃあ……この写真の女の子は誰なんですか……? なんでこんな……瓜二つの女の子の写真を30年前の写真としてネットにUPしてるんですか?」


「自分のアルバム代わりだ、この友人はとても珍しい方でね……」


な、なにいってるんだ……私が聞きたいのは……


「この子が由良さんや紗弥さんにソックリなのは……信じて貰えるかどうか分からないが……」


し、信じるさ……こちとら幽霊と一緒に住んでるんだ……


「宇宙人なんだ。しかも人間の見た目をコピーして今社会に溶け込んで生きている」


…………


「信じてくれとは言わないが……」


あ、いや……幽霊よりよっぽど健全じゃないか……


「えっとですね……じゃあ……この宇宙人? が由良さんの行方に何か関わっている可能性はありますか?」


男はこちらを睨むように……タバコの火を灰皿に押し付けて消す


「何か知っている可能性はありますな。何でしたら直接聞けばいい。21時にこの店は開店します。彼女が来たら連絡しましょう」


マジでか……なんかトントン拍子に……あ、そういえば……


「あと、それともう一つ……この一年前の新聞記事に乗ってる写真は……貴方が撮影したんですか? その宇宙人を……」


新聞記事のコピーを出して机に置く。


男は手に取りマジマジと見た後……


「この新聞は初めて見ましたが……この写真は撮った記憶はありませんね……」


じゃあ……誰がこの写真を……と、今まで部屋を見て歩いていたシアさんが突然、


「茜ちゃん……一度団長に連絡しよう、私達だけじゃ……」


危険だと……シアさんは言う


「分かりました……えっと、それじゃあ……私達はこれで……ぁ、これ私の名刺です、その子が来たら連絡ください」


言いながら名刺を渡してそのまま店を出る。


「シアさん……宇宙人とかいう話……本当でしょうか……」


シアさんは、うーんと考えながら……


「まあ……歯磨いたりお風呂に入ったり……お化粧する幽霊もいるくらいだし……」


ですよねー……と二人で苦笑い……そのまま、とりあえずホテルに帰る事にした。




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