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真祖の森  作者: Lika
1章 
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白いワンピースの少女

 とある双子が入れ替わっているかもしれないと団長に報告する、探偵派遣会社の事務、橘 茜です。


団長から帰ってきた返事は……


『3人も女の子居なくなっちゃったから寂しいよー……』


おい


『それはそうと……入れ替わってる云々は、まあこの祭いいとして……』


いいのか


『ルイは今その子の家?』


あ、はぃ……と返事する。


『じゃー、橘さんとシアはちょっと、とあるオッサンを訪ねて欲しいんだけど……』


おっさんですか


『その双子ちゃんの母親の妹の……前の夫なんだけど、ちょっと知り合いに頼んで家族構成やら調べて貰ってるときに面白い写真が出てきてねー、ネットにUPされてるんだけど……URL送っとくから。あとで見てみて~』


どんな知り合いだ


『じゃ、大変だと思うけど頼むよ~』


言われたとおり携帯のメールのURLに接続してみる。すると個人の画像サイトのような物につながった。そこに映っていたのは例の双子ちゃん……どちらか分からないが、双子の一人とオッサンが映った写真が何枚か……


「これか……別に普通の写真……ん?!」


撮られたのが……なんだこれ、30年以上前の物もある。ソンナバカナーと一瞬笑ってしまう。


「絶対間違えてるだけでしょ……双子ちゃん11歳だっけ……」


が、写真の一枚にギクリとするものがあった。背景に、どこかの祭りの看板に「2019年」と書いてある。今は2029年……10年前の写真に、今の姿のままの双子ちゃんの一人が映っている。


「なにこれ……いやいや無いだろ……」


と、私が目を疑っていると横からシアさんが覗いてくる


「何ミテルノ? なにそれ……あの子だよね?」


そうなんだけど……そういえばこの子は白いワンピースだ。青色でも赤色でもない。あの家で見たアルバムにも白い服を着ていた物は無かった。


おかしい、なんか……おかしい。


「どうしたの……? また怖い顔になってるけど……茜ちゃん……」


そういわれてハッとする。とりあえず……この男を調べなければ……会ってこの写真の事を聞かないと……


と、再びハっとする。例の行方不明になった新聞記事のコピーをカバンから出す。


「シアさん……これ……変じゃないですか?」


何が? と首を傾げるシアさん


「この子、髪飾りしてない……あのアルバムにあった写真は全部何かしら見分ける為の物が映ってたんですけど……」


新聞記事に乗ってる写真は一人寂しくポツンと映った……白いワンピースの女の子だった。


「そんなにおかしい? 私も着るけど、白いワンピース」


「いや、そうなんですけど……この双子の場合、写真撮るときはどちらなのか分かるように撮ると思うんですよ、ましてや分からないような写真を使うなんて……」


いや、全部私の想像だけど……


「それにこっちの……おじさんと映ってる写真は10年前なんです、あの双子ちゃんがまだ赤ちゃんの時に……なんで今の姿で……」


二人で少し寒気を感じる……常に幽霊と一緒に暮らしてるのに、なにかおかしいと。


「ま、まあ……でも……この写真の年代も背景に映ってる数字なんで……なんとでもなると思うんですけど……」


加工したり、その背景の数字自体を変えたり……でもそんな事する理由なんてあるんだろうか……


「とりあえず団長はこの男と接触しろって指示貰ったので……双子ちゃんの母親の妹の前の夫らしいです」


「ふむふむぅ……なんか……ややこしい事になってきたね……」


まったくだ……




その時、携帯に着信……知らない番号……もしかして双子ちゃんのご両親だろうかと出る。


「もしもし、探偵派遣会社の橘ですが……」


『ぁ、すみません、留守にしていて……紗弥から話を聞いて……あの、どうでしょうか、由良は……』


なんか声が今にも死んでしまいそうなくらい暗い……母親からの電話だった。


「まだなんとも……あの、でも少し手がかりというか……あの、お母様の妹さんの事についてお聞きしたいんですが……」


『はい……? 構いませんが……何か関係が……』


この写真の事言ってしまっていいんだろうか……いや、ダメだろ……私達ですらゾっとしたのだ、母親が見たら卒倒しかねない……かもしれない……


「あ、いえ、ささいな情報でも手に入れておきたいので……」


『私の妹が何か……知ってると……?』


あ、そういう事になるか……どうしよう……なんて説明しよう……


『わかりました、今妹は○○区の○○町に住んでいますが……今は独身です。連絡先は……」


と、こちらの詳しい事情も聴かずに教えてくれる。娘の安否がかかっているのだから……と。


「ありがとうございます、何か分かりましたらすぐに連絡しますので……あ、あと……紗弥ちゃんと由良ちゃんって、白いワンピースって持ってますか?」


一応聞いてみる、母親は買った覚えはないと答えた。ということは


この新聞記事で来てる服は……母親も知らないのか……


「あの、お母さん、一年前に新聞に掲載された写真に……由良ちゃんが白いワンピースを着て映っている写真があるんですが……」


買った覚えなないといった母親だったが……ならばこの写真に写ってる服はなんなんだ、と……


『警察の方が提供した写真……だと聞きましたが……。というか、その……私達が由良を探すために使っている写真は何を着ているか分からない顔だけの写真なんですが……』


ゾク……と再び悪寒がする。警察……


そのまま母親に何か分かったら連絡すると言って電話を切る。


「シアさん……この写真の出所が分かれば……由良ちゃん……もしかしたら紗弥ちゃんかもしれませんが……居場所がわかるかもしれません……」


「なんか……怖いね……」


た、たしかに……両親も知らない所で撮られた写真を警察が提供した……普通に考えれば、警察の人間がこの写真を撮影してメディアに……


「もしかしたら……団長が接触してくれって言ってきたこのオッサンって……警察官……?」


シアさんと顔を見合わせる。


「とにかく……明日、この男に会いに行きましょう、お母さんの妹さんに聞けば……どこで働いてるかくらいは分かると思いますし……」


そして、その日はそのまま就寝……


疲れていたのか……ぐっすり深い眠りについた。





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