表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真祖の森  作者: Lika
1章 
4/53

幽霊の出番です

 この洋館に来て3日目、今日から初出勤の橘 茜です。


「よし……」


あのあと幽霊のルイさんと友情を確かめた(?)私は2度寝して朝5時に起きて初出勤する準備を整える。


「今日から……お仕事?」


幽霊のルイさんが話しかけてくる。洗面台の鏡を見ていた私はルイさんの姿を確認しつつ


「ぁ、起こしちゃいましたか? すいません……はい、今日から初出勤です」


「私も……お仕事するから、何か有ったら言ってください……尾行とか得意です……」


それ最強の尾行では……と思いつつ時計を見る。あらかじめ団長からは8時から出勤してね~と言われていた。 現在の時刻7時30分……よし、早めに出社しようではないか。当たり前だが。


「じゃあそろそろ私行ってきますね、何かあったらお願いします。」


「いってらっしゃい……」


鞄を持って、幽霊のルイさんに送り出され部屋を出てる。


そして団長と初めて会った部屋に向かう……


コンコン……とノックした後……まだ誰も居ないか……よし……と思いつつドアを開けると……


居た、っていうかソファーで爆睡してる……団長がいつもの黒いファッションで……


「し、しつれいしまーす……」


なんとなく起こさないように部屋に入り、私の為に用意された机にカバンを置き……


「ん? お、団長……ちゃんと私の教育方針とか立ててくれてるんだ……最初は凄い適当な感じだったけど……」


机の上には、まず何から始めるか指示が書いてあった。


「えーと、何々……まずは、俺を起こしてね……」


おい


「この人ここで寝てるのか……ちゃんとお風呂入ってるのかな……次は……依頼がポストとパソコンのメールボックスに届いていると思うので確認……お、これはマトモだな……」


時計を見る……時間は7時50分、そろそろ起こした方がいいな……


「だ、団長~……朝ですよー……」


軽く呼び掛けてみる、しかし反応がない。


「団長~、朝ですよ~?」


今度は肩を揺すりながら声をかけてみる、ダメだ、反応がない。


「団長~~? 朝ですってば~」


大きく揺すってみる、ダメだ、まったく起きる気配がない。


どうすればいいのか……この人起きる気配が……と、団長の机の上にタバコが置いてあるのに気が付く。


「団長タバコ吸うのか……私も20になった時に吸ってみたけど……」


なんとなく……タバコに火を付けてみる。いや、吸わないけど。


すると案の定……


「ぁ、あー……うお、ごめん、おはよう……」


ムクっと起き上がる団長、タバコ吸ってる人はタバコのにおいで起きるのだ……個人の見解だが……


「おはようございます、団長。じゃあ私ポスト見てきますね」


お、おおう……とまだ寝ぼけてる団長に軽く会釈しながら洋館の正門の前のポストに……なんかギッシリ入ってる……結構仕事あるのか、この会社……


そのままハガキやら封筒やらを回収して戻ると団長が窓辺でタバコを吸っていた。


「ぁー、ごめんね。」


まだ半分も吸ってないタバコを消そうとする団長


「ぁ、私タバコ平気なんで。父も吸ってますし私も昔吸ってましたんで……」


「え、マジで……今はもう止めてるんだ……えらいなー」


いいつつ最後までタバコを吸った団長が自分の机に座り……


「えー、では……橘さんにお願いする仕事は……っていうか、もう見てもらったみたいだね、それ」


はい、と答えつつ自分の机に置いてあるA4のプリントを手に取って……


「じゃあ、まずは依頼の確認からおねがいね、それから仕事を振るんだけど……まあ、誰がどんな仕事が得意とかはおいおい覚えてもらうとして……」


幽霊のルイさんは尾行ですよね……


「ぁ、あと、そこに書いてあると思うけど、手紙とかもパソコンに打ち直して貰える? パソコンの使い方は大丈夫?」


問題ない、これでも私はオンラインゲーマーだ。


はい、と頷きながらパソコンに向かう……まずはメールボックスの中を確認して……


何々……依頼は5つ来てるな。えーっと……浮気調査……おお、探偵っぽい。 行方不明の娘の捜索……ま、まじか本格的だな……あとは……風呂掃除、犬の散歩、宇宙人の世話……


3つはイタズラかな……


「どう~?」


「ぁ、いえ……探偵と関係ない仕事はどうするんですか? 風呂の掃除とか来てますけど……」


「ああ、そういうのは近所の爺さん婆さんの依頼だから、大抵……まあ、でも可哀想だからやっちゃうんだけどね~ そういうのはタクマに回してるけど……あいつ車の運転くらいだからさ……」


な、なんかタクマさんのポジション可哀想……でも宇宙人の世話とか明らかにイタズラなのでゴミ箱に捨てる。


よし、次は手紙と封筒か……パソコンに打ち直すんだな……


全部で合わせて15通……凄いきてるな……と思いつつ確認する……


庭の手入れ、また犬の散歩、猫のトリミング、ハムスターの餌やり、宇宙人の……エトセトラ……


って……これパソコンに打ち直す必要あるのか……まさかこれ全部タクマさんに押し付けるのか……?






そのあと一応団長に確認して……「関係なさそうなのは俺からタクマに言っとくから~」と返事を貰い、私は……


「浮気調査に……あとは行方不明の娘の捜索ですか……この娘の捜索って警察に言ったほうが……」


「あー、たぶん警察にも言ってあると思うよ~。なかなか見つからないからコッチに回ってきたんだろうね~、えーっと……じゃあ橘さん……初めての仕事で申し訳ないけど、この行方不明の娘さんの事調べてもらえる?」


あ、はぃ、とパソコンのインターネットで娘の名前を入力する……名前は……


「えーっと……漆原……由良ちゃん……と……」


名前を検索するとすぐに出てきた……まずはトップに出てきたサイトから……


「行方不明、謎の疾走……11歳の子供が半年近くも見つからない。両親は各方面に助けを求める……か、それでここにも……ん? この子双子なのか……えーっと……姉妹で喧嘩して家出……マジかー……私弟と喧嘩とかしたことないな……歳離れてるからかもしれんけど……」


ブツブツいいながら検索する。


「半年……」


半年以上も11歳の女の子が見つからない……これは……もう……


私の中で最悪のケースが思い浮かぶ……


「橘さーん、どう? その女の子」


ハっとして団長の方を向いて……


「え、えっと……漆原由良ちゃん、11歳……半年……じゃない、行方不明になったのは去年の夏ですから……もう一年くらい経ちそうですね……」


うーん、と唸る団長。


「それ、ルイに振っといてくれない?」


いや、ちょいまて。幽霊に頼むって事は……


「あー、なんか想像してるの分かるけど違うからね? ルイは探すの得意だし……空も飛べるし……」


なるほど……しかし……


「でもこの子の実家は関東ですよ、ここ東海だし……だいぶ離れてますけど……」


うーん、と再び唸る団長。


「名前……なんていったっけ?」


「え、漆原由良ちゃんです」


おっけー……とパソコンを操作しだす団長……それからしばらくして……


「お、あった。」


何が? と思いつつ団長の机に行き、一緒に画面を見ると……そこには行方不明になった子の顔写真と当時の新聞記事……


「んー……これは……なんか結構大変そうだなぁ……」


何だろう……何か気が付いたんだろうか……


「橘さん、君がもし家出したら……ドコイク?」


な、なんだいきなり……


「家出したら……ですか? まあ、その子の歳から考えると……良くて友達の家とか……まあ、最悪学校とか知ってる所行きますけど……」


「だよねー……11歳の女の子が一年近くも見つからない理由はなんだろう。」


私の中では一つしかない。


「橘さん顔に出るタイプって言われない……? 凄い怖い顔してるけど……」


ハッ、と顔を戻しながら……


「ま、まあ……その……誘拐……ですか?」


「そうなるよね……でも、この新聞記事さ……たぶん、警察が誘拐の恐れもあるって事で、ある時期まで伏せてたって感じだけど……んー……なんか気になるなー……」


ふむ、ドラマとかで良く見るな……


「橘さん、申し訳ないんだけど……この子の実家まで行ってくんない?」


あ、はぃ……






んで。「私もヒマだからいくー」とシアさんとルイさん、3人で新幹線で東京駅へ……


「あー……私……東京初めて……」


幽霊ルイさんが呟く、そういえば私は中学の修学旅行以来だな……


「私は何度かあるよー、今日みたく仕事とか友達に会いにとかで……」



そんなこんなで3人で二人分の切符を改札口に通し……サラリーマンでごった返す東京駅の、とりあえず喫茶店へ……


「じゃあ……えっと、これから向かう先は……タクシーで行けって団長言ってましたけど……いいんですかね……」


「いいよいいよー、ウチの会社実は結構儲かってるんだよ? 団長ああ見えて頭いいし……」


ああみえてって……まあ、私も同じ印象だけども……


「とりあえず……その子の家いくの……?」


ルイさんの言葉に頷き、3人でアイスコーヒーを飲みつつ……店員が3つ頼んだのを不思議そうに見ている……


「でもなんで家出しちゃったんだろうねー、可愛いのに~」


「ぁ、なんか姉妹で喧嘩したとかで……双子らしいですよ」


「双子……私……一人っ子だったから……羨ましい……」


私は弟と2人だけど……そういえば弟と同い年か……11歳……


「実家に行ってお話聞くって事?」


「ぁ、いえ、私達はそうですけど……本命はルイさんです……」


そこで二人に団長からの作戦を説明する。団長いわく、その家族は何か隠してるらしい。


「隠すって……何を? 凄い心配そうに探してるけど……」


「いや……私も分かりませんけど……団長が新聞記事見てなんか凄い違和感あるとかで……」


「団長……頭いい……から……」


3人でアイスコーヒー飲みながら、うーんと唸る。


「それで……ルイちゃんで何するの?」


「ぁ、えっと……ルイさんに数日……その家族の家で過ごして貰います……ようはスパイです……」


「わかりました……スパイも得意……」


ですよね……


「まあ、でもその家族を驚かせたりしないようお願いします……」


一応念を押す……そんなことしないとは思うけど……


「じゃあ、そろそろ行こうか~、その子の家!」


そして私達は3人でタクシーに乗り、その子の実家へ向かう。


その子の写真を眺めながら……どこか寂しそうに映っているその写真を。






「宇宙人と同居しました」の主人公のお話を混ぜちゃってますが、別にソッチ読まなくても大丈夫デス。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ