表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚師(?)さんが召喚されました。  作者: 平野 笹介
第二部 生存 認識 旅立
13/106

♯12 頭痛

♯11を含めて、重蔵の移動速度と、背景描写を少し改変しました。

多分、違和感は無いと思います。えぇ、多分‥‥。

 走る。とにかく走る。

全力で足を動かし、姿勢を何とか保ちながら、木の枝や背の高い草に体がぶつかるのも無視して、息を切らしながら遮二無二走る。


途中、文目さんにお願いして、敵性感知と周囲探知を発動して貰って。

走り出した瞬間に、一瞬体が軽くなったのは、恐らくあのカメレオンが命を落とし、図らずも経験値が流れてきたからだろう。


頭痛が激しくなっていく、息が苦しい。でも、足は止められなかった。


途中の川も小さな湖も、四編結界を足場にとにかく真っすぐ走って、走って、走った。


それでも滑るように僕の後を音もなく追ってくる、赤く激しく点滅する矢印は、数時間走り続けても、静かに付いて来るのだった。




▼ルゴナ大森林パゼロ山南側付近



 既に走り続けて四時間が経過したらしい。文目さんに、転移魔法を使えないか確認した時に、だいたいの時間を教えてもらった。


因みに、転移魔法は使っても無駄だと言われた為、理由も聞かずに諦めた。

『無駄な物は無駄なのだろう』



そして周りには、日の光に照らされて、夜はどこかへ、静かに沈んでいったかのように、辺りには木漏れ日が差し始めていた。


追われてとは言え、かなりの距離を走った以上、十日で付く道を数時間ちょっとで踏破しても、おかしくは無い話だと思う。


何せ獣の脚力だ。チーターなんかは、時速100㎞を超える速度を出せるのだし、不思議はない。‥‥無いと思う‥‥。


景色も途中から一気に入り口と同じ程度の密度になって、樹海や密林から、森林に戻った感じに見受けられた。


で、問題は後ろに有った気配。


夜の暗がりと一緒に消え去るなんて事はなく、相も変わらず僕の後ろで存在感を発揮していた。


『アレが近付くと頭痛が激しくなるんですけど、文目さん、原因分かります?』


『分からないけど、多分、倒すなら今よ』


『へぇあ?』


間の抜けた声が出た。心の中でだけど。



■■■



 文目さん曰く

『朝が近づくにつれて、敵の大きさと、存在感、感じる強さがどんどん小さくなっていっている』

らしい。


言われてみれば、敵性感知の矢印は、サイズが小さく、点滅も緩やかになっていた。


因みに、点滅の仕方で此方に気が付いている。とか、敵対する意思の強さ(実際は、強い意識の向き)が分かったのも、或る意味収穫と言えば収穫と、言えなくもない。気がする。


こんな形じゃなければ、尚良かったんだけどね。


『はっきり言って、行き合った瞬間だったら、重蔵、‥‥アンタ多分死にかけたわ』

でも今なら戦える。と続いた文目さんの言葉に愕然としながらも

『自身満々スね‥‥』

としか言えないのは、僕が弱いからだろうか。


っていうか、あんな巨大なパック○フラワー(闇)みたいなのと戦って

死にかけるだけで済むって、相変わらず文目さんの補助魔法の異常さが際立つ話だと思った。


 まぁ、文目さんが言うなら、何とかなるかな。

頭が痛いままってのも嫌だし、原因が分かり切っているなら、取り除きたい。


僕はゆっくりと迂回して体勢と息を整え、○ックンフラワー(闇)と向き合うのだった。



■■■



 立ち止まってしばらくすると、目の前に現れた巨大な顎と、ソレに付随する小さなワニの体。


いや、体を見る限り、目も鼻の穴も見つけられない大きな顎も、ワニのソレなんだろうか‥‥。


なんか汗だくになりながら、ゼェハァしつつ、ゆっくり歩いてきた。


「お、おmヴェッホ!ゲーホ!オェ!!」


緊張感の欠片も無くて、心底申し訳ないけれど、黒いワニは人語を話した。


割と若めな、青年と言えるような声だった。



■■■



 頭が痛くて、眉間に皺が寄るのを隠す気すら無くしながら、ワニに声をかけてみた。


「あの、敵対するつもりは有りませんので、出来れば追いかけてこないでもらいたいのですが‥‥」


未だにむせているワニに、あくまでお願いをしてみるも、ワニの矢印は相変わらず点滅している。


『これじゃあ、無理かなぁ』

などと思っていると、漸く落ち着いてきたらしいワニが、人の形に変貌しながら、口を開く。


「ふん、獣人風情が舐めた口を叩くな」


『ムッ』

『かっちーん』


え、それ口で言うんですか?文目さん。


「私の名前はバル・エネス・ソルザード!闇の魔法をこの身に宿し、世界を破滅に導く、最強の騎士だ!」


『あっ(察)』

『よし、やっちゃって良いわよ』


良くはないです、文目さん。


「どうやら身体能力は悪くないようだし、毛並みも美しいものと評価してやる。私の奴隷になる事を許すぞ?獣人よ!」


『伸します』

『GO!』


頭痛に任せて、バッキバキに折りたたんでやるので、文目さん、魔法だけお願いしまーす。


苛々を解消すべく、平和主義者の僕は話し合い(打属性)で決着を着ける事にしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ