入学5
入学式が始まって今は学園長の挨拶が始まっている。
ほかのクラスは50人当たりで一クラスで僕たちだけ三人なのは欠落者だからだろう。
当然だ人並みに生きることがつらいなら他の人より努力しないと追いつかないんだから。
一般クラスの誰かがこっちを見てひそひそと話している。
まぁ、どう思われてもかまわないんだけど、ひそひそはやめてくれないかな。
むりだよね。うんあきらめます。
そんなことを考えていると挨拶とかが終わって解散のようだ。
他の一年生が帰るなか僕らは残ってほしいみたいだ。
なにかあるのかな?と思って待っていると
一年生が帰っていなくなったところで学園長がこちらに来た。
挨拶のときも思ったけど整った顔立ちに銀色の髪、黄金の瞳、かけている銀の眼鏡が似合っている。
やさしそうな男性印象を受けるけど隙がなさそうな感じだった。
「やぁ、新入生の『欠落者』の人たちだね。
まずは自己紹介と謝罪を。
私の名はクラウス・アレイスター。よろしく。
さて、君たちのクラスわけについて謝罪しよう。
差別的にとられても仕方ないことだが、区別するしかないのだよ。」
「かまわないですよ。ハンデがあることは理解しています。」
マックスが返事をする。
「君はマックス・ホーエンハイムだね。
筆記試験は見事だった。満点を取ったのは君ともう一人だった。」
「ありがとうございます。」
マックスが頭を下げる。
「俺も別に気にしてねぇぞ。いちいち気にしてたら身がもたねぇ。」
ギルがぶっきらぼうに言う。
「君はギルバート・クレメンスだね。
実技試験は見事だ、教官を倒してしまうとはな。」
「もう少し、手ごたえのあるやつを試験にしてくれ。」
「検討しよう。」
「あの、みんなの試験内容を覚えているんですか?」
気になっていたことを聞いてみる。
「君はアレン・アークライトだね。
お父上からよくお話は聞いているよ。
さて、質問の返答だが当然だろう?
私はここの学園長だ。なら生徒を把握するのは当然のことだ。」
「父さんを知っているんですか?」
学園長は笑いながら
「よく知っているよ。いろいろとお世話になっていてね。
さて、私の用事はこれぐらいだ。
最後に一言。ようこそ、我がエスペラントへ歓迎しよう。
よく学びたまえ。」
そういって歓迎してくれた。
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教室に戻る彼らを見る。
これからいろいろと苦労があるであろう彼らを。
「『特異点』、『天剣』、『救済の盾』。
それに加え『呪い』か・・・。」
通常欠落者が入学することはない。
基本、そのまま働くことを選ぶからだ。
彼らは私とアークライトの当主が招いた。
彼らは戦乱に巻き込まれるのが見えている。
生まれたときから背負わされているのだ。
「ほんと、ままならないな。」
彼らにしてあげられるのは三年間の安定と準備だけだった。