―――討伐隊、確認
―――月近宙
月が暗い闇の中にぼんやりと浮かんでいる。その月の輝きは何処か冷たく寂しげで、儚さをも感じさせるものだった。しかし闇に鎮座する月は尚も静かに輝き続け、存在し続けている。それは何処か他の天体や生命に対する無言の圧力のような、静かな生命力を感じるものだった。そんな月の周辺に、二機のPGが飛行するのが見えた。その二機のPG―――エイジとイバラの乗るPGは、月明かりに照らされながら迷いなくしっかりとした様子で突き進んでいた。
二人の乗るPGの遙か側方には、瑠璃色をした美しい惑星の姿が見える。半分ほど闇に飲み込まれた状態ながらも気高く宝石のように輝き続け、瑠璃色に浮かぶ白い筋をゆっくりとたゆたせる。それはまるで自分は生きているぞと証明し主張しているようで、人類に見放された地球の悲しげな声のようだった。
そんな地球を側方に置きながら、二人のPGが月の上空を飛行している。と、そのうちその二機の前方に数台のPGとその奥に輸送艦らしきものが見えてきた。
それを捉えたエイジのPGが急に加速し、その集団へと近づいてゆく。エイジの口元が楽しそうに歪んだのが見えた。
「さて、もしかして討伐隊とやらはあれのことかな~っと」
「ねぇ、ちゃんとやりなさいよ」
「お、おう、すまん……」
そんなエイジの後ろを追従しながら、イバラが巫山戯た様子のエイジに苛ついて低い声のトーンで一喝した。イバラのキッと細まった目とその怒声を聞いて、エイジが驚き謝った。少しPGの速度を落とす。
しかし、段々と前方の目標へ近づくにつれ、またエイジが加速し始めた。エイジの目が訝しそうに、しかし何処か焦ったように細まっていった。そしてそのうち、前方の目標との距離が近くなり、目標の姿をしっかりと捉えられるようになると、その目が大きく開かれていくのが分かった。その目には、驚きと恐怖が浮かんでいる。
「ちょ、ちょっと!急にどうしたのよ、ちゃんとやれっていって……っ」
エイジの後に追いついたイバラが、少し焦りながら怒鳴る。しかし、モニタに映るエイジの様子を見て、イバラは思わず声を止めた。
そこに映っていたエイジの表情は、まるでこの世の終わりを告げる魔物の姿を見ているように何かに酷く怯えた顔をしていた。
「エ、エイ……ジ?」
イバラがそんなエイジの姿を見て、顔を強張らせながら尋ねた。しかし、エイジからの返答はなく、こちらの声も聞こえていないようだった。