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ETERNAL BREATH  君のための鎮魂歌  作者: 小野宮 夢遊
第三話「sea‐through communication」
22/26

―――饒舌者、救出


―――月近宙

 「どうだい?僕を捕虜にしてくれよ」

 「どういう意味だ」

 まだ幼さが表情に残こる少年―――アサギが、眉を顰めて困ったように微笑んだ。

 それを見て、怪訝そうに俺は尋ねる。

 するとアサギは不満そうに頬を膨らませて、少しふて腐れたように口を開いた。

 「どういう意味って……。だって僕、このままじゃ死んじゃうじゃん?でも僕、まだ死にたくないんだもん。僕は、月のためなら命もかけて戦おう!みたいな熱い忠誠心は残念ながら持ってないんだよねー。月に命かけるより、僕はもっと生きて楽しいことしたいな。えーじゃあ、なんで戦ったのかって?うーん、そんなのなんとなくだよね。そんなものだよ、正直。でも、このままじゃ僕死んじゃうじゃん?でも生きたいから、だったら捕虜にして欲しいなぁって。そしたら、僕は生きられるし、君たちは情報を得られる。そしたらWIN-WINでしょ?ほら、WIN-WIN!WIN-WI……」

 その時、アサギが酸素残量を見て顔色を変えた。相当やばいらしい。

 「と、とにかく、悪い条件じゃないでしょ……?助けてよお願い!」

 その時、アサギが手を合わせて懇願してきた。恐る恐る酸素残量を覗き見て、ぎょっとしてまた手を合わせる。

 「ど、どうするの?スバル……」

 クレハが困ったような表情で俺の顔を伺い見た。俺は少し考え込みながら、その少年のことを見つめる。

 真剣そうに拝むアサギの周りでは、警告音がけたたましく鳴り響いており、赤いランプがチカリチカリと点滅していた。

 俺は、アサギをじっと見つめる。

 「よし、分かった。助けてやろう」

 俺がそう言った瞬間、周囲が少しざわついた。しかし、俺は腕につけられた通信機器に向かって話しかける。

 「イバラ、聞こえるか?出てくれ」

 すると、なんだか不機嫌そうな返事が帰ってきた。声色からして、少し仮眠を取ろうとしていたところのようだった。

 「……何?」

 「……すまないな、イバラ、ちょっと頼み事があるんだが」

 そう言うと、すごく不満げな返事が返ってきた。しかし、その後少し間を置いてから、「何をすればいいの?」とけだるそうに返事が返ってくる。

 俺はそれを聞いて、画面の少年を見ながら口を開いた。

 「今、半壊した敵のPGに乗る少年が、助けを求めてきた。彼を救出してくれ」

 イバラの、はぁ?という怪訝そうな声が耳によく響いた。



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