―――銀色、届かない憎悪
―――エイジ機体
「……殺してやる、殺してやる、殺してやるっ」
エイジが低く重みのある声でボソボソとそう呟いていた。
鋭く尖った目はギラリと恐ろしく光っており、顔には憤怒と憎悪が張り付いている。およそ、いつも冗談を抜かし馬鹿を言う者の顔とは思えなかった。
次々と現れ眼中に入るPGに、なり振り構わず光線を連射しては撃破してゆく。複数体目下に現れると、ミサイル弾を撃ち込みまとめて撃破してゆく。理性のとんだ状態である今のエイジは、弾切れを恐れることなく所構わず弾を連射し続け、前へ前へと前進していった。しかしどんなに前進しても、銀色に弾が届くことはなく、目の前のPGのみが撃沈してゆく。
「……クソッ!死ねよっ!」
撃っても撃っても、銀の前に群がるノイズが消えなくて、苛つきばかりが募ってゆく。
その状況に、突然悲しみが込み上げてきて、エイジは瞳に涙を浮かばせた。
「……クソ、死ねよ、死んじゃえよ……。俺が、俺が殺してやるんだ……。母さんと、妹の仇を取って……俺が……」
涙を零しながらもなお、エイジは弾を撃ち続け、PGを撃破してゆく。しかしその弾は、何度撃っても銀色を掠めることはなかった。