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女は嫌だ
私は女に生まれ落ちたことを、特に不幸だとも幸運だとも思ってはいない。
ただ、どうしても女のこういうところが嫌だ、ってのはやっぱりある。
よく言われる、月一のあの日じゃない。
どうして、女は化粧をせねばならんのか。
私は、毎日しなくてはいけない、化粧が、嫌いで嫌いで嫌いで仕方ない。
見ているだけで、怖くなる。
どうして、みんなは平気で目の回りにペンを走らせたり、つけまをつけたり、コンタクトレンズを入れられる?
私は怖くて仕方がない。
知り合いは言う。
「化粧中に失明した人なんて、探せばいるかもしれないけれど、私は聞いたことも見たこともないよ」
そのぐらい、私だって知ってる。
私だって、聞いたことも見たこともない。
だけれども、誰になんと言われても、怖いものは怖いのだ。
コンタクトレンズは、まぁ、男でも入れるだろうけれど、今そんな話をしてるんじゃない。
私が目の周りの化粧が嫌いだって話なのだ。
怖い。
恐ろしく怖いと書いて、恐怖しているのだ。
あぁ……男に生まれたかった、とは思わないけれど、化粧は嫌いだ。