皇太子が婚約破棄を宣言する場に居合わせました――しかも、本人です
巨大なシャンデリアが三つも吊り下げられた、煌びやかな照明に照らされた広間のど真ん中にいた。
楽団も止まり、ただ、オレの声だけが響き渡るのを、誰よりもオレ自身が唖然として聞いてた。
「みなの者、この場を借りて、サスティナブル帝国皇位継承権第一位、ワルター・ライアン=エターナルが宣言するものである!」
ザワザワザワザワ
オレは何をやっている?
パーティー会場のど真ん中で、全員の視線を浴びていた。
頭に浮かんだのは、ここが世界初のフルダイブ型RPGでやり込んできた『スキル「ゴミ」いや、マジで』の世界らしいってこと。
瞬間的に、それが分かってしまうくらい、このゲームをやり込んできたんだよ。
しかし、考える余裕もないまま、オレの口からは容赦なく、あってはならない宣言がスルスルと出てしまった。
「スコット公爵家令嬢、クレッシェンドよ! お前との婚約関係を解消する!」
やめろー オレ!
こんな発言、地獄の「ざまぁ」の末路が決まってるって!
自分の声が、最初に響き渡った瞬間、記憶を取り戻してしまったオレは、絶望のドン底だ。
今のオレは、この世界に生きてきたワルターの18年と、前世の22年の意識が混ざり合っただけに、この末路が分かるからね。
今、この瞬間が、ゲーム世界の破局決定の場面だった。
ちょー不幸なんですけど。
分かったときには、もう遅い。
わかっちゃったんだよ。ここは、序盤のフィナーレとなる、帝国学園の卒業パーティーの会場だ。
シーンとなった会場のど真ん中だ。もう消えたい……
現実から逃避したいオレの頭の中で「すげぇ、ワルターの視点だと、この場面はこう見えているんだ~」と言うノンビリしたオレの声が響いてもいる。
目の前にいるのは親(皇帝)が決めた婚約者で「氷の令嬢」と言われるほどの美少女、クレッシェンド。彼女を中心に3メートルほどの半円で囲んでいるのは、婚約者の取り巻き令嬢達だ。
ついさっきまで、会場に静かな音楽を響かせていた楽団はピタリと動きを止めている。
全員が、こちらに注目していた。
「ワルター殿下」
「殿下、そのような!」
「皇太子殿下、どうか、落ち着かれますように」
良識派のクラスメイト達は、腰が引けつつも、何とか食い止めようとしている。一方で、オレを取り巻く、頭の悪そうな男どもはイケイケで応援していた。
「げへへ、殿下ついに!」
「やっちゃってください!」
「とり澄ましてる女が悪い!」
哀しいほどにクッキリと別れた登場人物の真ん中で、オレとクレッシェンドが対峙していた。
こんなに完璧な婚約者に何が不満だというのか。婚約破棄を突きつけているのはオレ――ワルター。
サスティナブル帝国皇太子。皇位継承権、暫定第1位の存在だ。
大陸統一国家である我が国は、皇位の安定のためと同時に、血縁が濃くなり過ぎぬよう努める義務がある。
それが、代々、御三家と呼ばれる三大公爵家と10侯爵家から順番に婚約者を選ぶ習慣だ。
今回の皇太子のお相手は御三家の一角であるスコット家の長女クレッシェンドを選ぶ番だった。
それなのに……
現代人として、このゲームをやり込んできたオレは、今が、いかにピンチなのかわかってる。
そもそも、このゲームは、戦略シミュレーションとしても、バトルゲームとしても、いろいろなやりこみができることでも有名なゲームだった。
婚約破棄イベントの真っ最中ということは、今は乙女ゲームってことらしい。
卒業パーティーでの婚約破棄イベントの真っ最中。
ここで、幼い頃から恋心を持って尽くしてきた皇太子から、無実の罪を着せられて婚約を破棄されたクレッシェンドは、傷心を騎士団見習いの主人公に慰められることになる。
そして実は幼い頃から想って、命を捧げる覚悟をしているイケメンに心を開いて、恋に落ちるというストーリーだ。
そう、オレはこのルートで、ヒロインを不幸のどん底に突き落とす悪役なんだよ!
そして、オレの腕に掴まってプルプルと怯えた表情をしてみせるのは定番の偽ヒロイン。
ほのかなお色気に見せかけて、実は濃厚な色仕掛けのアタックを得意とする、マーン男爵家のご令嬢であるヤリィちゃん。
甘ったるいしゃべり方と、柑橘系のフルーティーな甘い芳香を放つ身体で男を片っ端から蕩かしていく。ファンの間では「隠しスキルに魅了があるに違いない」とか「インキュバスの末裔ってあたりが隠し設定なんだろう」と言われてる。
かくいうオレも、ヤリィちゃんの魅力に惑わされてしまった結果として最悪のイベント中なわけ。
シナリオ通り、クレッシェンド嬢は、表情も口調も氷のような冷静さを保って問い返してきた。
「皇帝陛下もお認めになった婚約ですので、ここで勝手に婚約解消をするのは不可能だと思いますが?」
クレッシェンド嬢…… いや、子どもの時から呼び慣れてきた「クリス」と呼ぼうか。こういう場面でも、いつもながら論理的であり、そして正しかった。
実はクリスのハイスペックなパラメータはゲームの全キャラの中でも上位3人のひとりだと言われている。そのクリスのごく当然の指摘に、物語の強制力が許す範囲で応じた。
「ですよね-」
クリスは声こそ抑えたものの、ポカンとした「す」の表情を一瞬見せてしまった。
ははは。
どんなことでも冷静に対応できるクリスの、こんなにビックリした顔を見るのは久し振りな気がする。一方でヤリィちゃんはオレの腕に掴まるフリをして「お胸の魅力」でオレの思考力を奪いに来た。
グニュ
その瞬間、スイッチを入れられたみたいに、オレの口は勝手に言葉を紡いでいた。
「しかし、お前はつまらない嫉妬から、学園でヤリィ嬢をいじめたな!」
「そのようなことはしておりません」
「シラを切るつもりか」
やめろー オレはクリスが正しいのを知っているんだぞ! 止めろ、オレの口を誰か止めてくれ!
けれども、オレの焦りはちっとも顔に出てないらしい。クリスは、またしても冷静に返してきた。
「身に覚えの無いことで攻められるいわれはございませんもの」
「ですよねー」
「は?」
今度は、さすがにクリスも困惑の声を漏らしていた。いや、マジで。
だが、かろうじて出せた言葉はそれだけ。
おそらく、メインのセリフ以外の「相づち」だと判断されているのだろう。
けれども、オレの「ですよねー」で、周囲の空気が変わった。
そうしたら、今度は、何をやっているのよ! と言わんばかりに、オレの腕をやわらかな膨らみにムニュ、ムニュと押しつけてくるヤリィちゃん。
またしても頭がボーッとなって、オレの口が勝手に動いていた。
「しかし、これは覚えてないとは言わせないぞ。先週のあー えっっと、えーっと、んっ、んっ、ん~」
意志の力で懸命に口をモゴモゴさせると、ヤリィちゃんが「水曜日ですよ。4日前です」とオレの耳に吹き込んできた。
「銀獅子寮の階段です」
ダメだ、口が勝手に動く。
小さな声で「そうだったな」と返事。なるほど。やっぱり、相づちの感じだと言葉になるらしい。それなら、単語くらいなら挟み込めるかも。
無条件で動き始めたクチに、オレは目一杯の意志を入れ込んだ。
「お前は4日前の夕方、銀獅子寮の階段でヤリィ嬢を突き落としたという申し出があったんだぞ!」
ヤッた! 単語ひとつだけど、入れ込めた!
オレの顔は勝利に輝いているはずだ。でも、それが「何に対する勝利か」は別問題。
ふうっと大きく息を吐き出した後、クリスは言った。
「その日は午後からドレス合わせで自宅に戻っておりましたが? それは殿下にも申し上げていたはずです」
皇太子妃の婚約者として、クリスには影の者が護衛と監視のために付いている。嘘を言えるはずがないのは初めから分かること。
だが、丸一日全く隙が無いのかといわれると、証明は難しい。
だからこそ「夕方」という言葉を入れ込んだんだ。時間帯だけでも限定してしまえば、クリスは自宅にいるのが確認できるからね。
やったぜ!
これで決まったと、頭の中で決めポーズ。
オレはさっきと同じ言葉を吐く。
「ですよねー」
クリスは、もはや『この男、何をしたいんだよ」というワケのわからなさから来る怒りすら浮かんでいる。
そりゃそうだよなぁ。
しかし、物語の呪縛は、もう一つだけセリフが残していた。
背筋を伸ばし、今度は、勝手に右手まで動かして、人差し指をクリスに突きつける。
「よって、クレッシェンドよ! 婚約は今、この場で解消する」
「恐れながら申し上げます。いままでの会話は、一体何だったのでしょうか?」
「ですよね- そう思います」
「ワルター様。あの……」
さすがに、そこに見えるのは怒りを通り越した困惑、さらにそれを通り越したのか、可哀想なモノを見る目になっていた。
そりゃ、婚約解消の理由が、全部、あてはまらないと認めておいて「この場で婚約解消」と言いつのるのは、いくらお馬鹿キャラでもあってはならない体たらく。
しかし、この最後のセリフを吐いたお陰で、どうやら呪縛は完全に解けたらしい。
よし!
口が自由だ!
頭の中で思いっ切りガッツポーズ。
だけど……オレは今、婚約者を大勢の前で罵倒して、婚約破棄を宣言しちゃった男なんだよね。
うん。考え得る限り最悪の状況。
このままだとゲームのシナリオどおり、彼女は騎士団見習いのイケメンに慰められ、そいつと幸せになる。
そしてオレは破滅する。
いや、別にクリスが幸せになるなら、それでもいい……なんて言えるわけないだろ! オレの破滅は、王家への反逆者として首チョンパか、最北の教会に幽閉ってな末路しかないんだぞ!
そんなことになってたまるものか。
運命は断固として拒否する!
第一、オレだって幸せになりたい!
胸の中でチクッと刺さる感情を、オレは確かめていた。
十八年間のワルターとしての記憶が教えてくれる。
オレは、この素敵な女の子――クリスが大好きなんだって。たぶん、ずっと、ずっと前から。
だからこそ、こうして自由になった今、最初にすべきことは決まっていた。
「クレッシェンド」
「はい、殿下」
冷たい声だ。
そりゃそうだよね。
「まず、謝罪したい」
「はい?」
「公衆の面前で、君にとって、わけの分からないことを言い立ててしまった。許してほしいとは言わない。だが、申し訳なかったと謝らせてくれ」
深々と頭を下げながら、会場のざわめきを聞いていた。
いや、これくらいで済むなら安いものだ。
なにせ、このまま進めば、いずれ首が胴体からお別れする可能性まであるんだから。
「殿下、みなが見ております。謝罪なら受け入れます。どうぞ、お顔をお上げください」
「いや、この際だ。皆に伝えておこう」
オレは顔を上げて、会場を見渡した。
「まず、先ほど申し立てられた銀獅子寮での事件について、クレッシェンドには明確なアリバイがある。この件は皇太子として正式に調査することを宣言する。私が再調査を宣言するんだ。その意味は、分かるな!」
これは、告発したも同然のオレが、それを取り下げる、すなわち「無罪だぞ」という宣言に他ならない。
ついさっきの告発は何だったのかと、クリスを取り巻く女の子たちは、唖然と硬直している。
全員が、クリスの冤罪が晴れた嬉しさとか、喜びよりも「ポカン」とした顔だった。
ま、そーなるよな。
「ワルター様ぁ!」
ヤリィちゃんが悲鳴を上げた。
オレは、横目でピンク髪を振り乱して口元を押さえる彼女の顔を見た。
オレは君のことを知っている。いや、正確にはゲームのシナリオで知っているだけだけどさ。
今は、ここで断罪する気はない。どうせ、勝手に破滅してくれるんだし。
オレは一つ肩をすくめた。
「ヤリィ嬢。君の申し立てはウソだとオレは知ってる。銀獅子寮の話も皇帝の影の者たちが証言するはずだ。その意味は分かるな?」
「そ、それは、あの、ウソって言うかぁ、ヤリィ勘違いしちゃっていたみたいでぇ」
「聞く意味は無さそうだな」
「そんなぁ」
返事っていうか弁解は聞くまでもない。
それより、今のオレには、もっと重要なことがある。
「さて、クレッシェンド、改めて言わねばならない。私の気持ちを」
「はい」
さすがクリス。このわけの分からない状況でも、顔色を変えずに、オレと向き合ってくれてる。
「婚約を解消したい」
またしても、会場が凍りついた。
クリスが、心底困ったような顔をして、けれども毅然としていった。
「さきほど、私めへの疑いは晴れたと、おっしゃったように思いましたが、それでも、なお、でございますか?」
そりゃ、そうだよね。オレの言葉は矛盾してるもん。
でも、今度は自分の意思だかんね!
「オレはもう、君の婚約者ではいたくないのだ」
「殿下、それは、いったい?」
「もはや、君と婚約者ではいられないと言っている」
その時の反応は、クリスよりも後ろの取り巻きたちの方が早かった。
「殿下! そんな!」
「早まったことを!」
「クレッシェンド様のお立場が!」
片手を上げて、後ろの応援団の言葉を遮ってから、オレは、語りかけるように言葉を出す。
この場にいる全員が、見つめていた。
「婚約者というのは、将来結婚する約束をした者同士のことだな?」
「はい。そのように理解しております」
さすが、クリス。こんな場面でも理屈をちゃんと受けとめて、反応してくれる。この冷静さと、頭の良さだけをオレは信じて、とっさに書いた脚本を進めていく。
「オレは、その、将来という時間を待ちたくなくなったんだ」
クリスが小さく目を見開いたが、オレが次に何かを言いたいんだと理解して、まだ立ち止まってくれる。
すごい。やっぱりクリスって信頼できるよな~ こういう時でも、オレの立場を尊重してくれてるんだもん。
ここまでは想定どおり。いや、最初は、全然想定していなかったけれど。
「クリス」
幼い頃から呼んできた名前。
その名前を口にした瞬間、胸の奥が熱くなった。
「オレは君が好きだ。皇太子妃として優秀だからでも、スコット公爵家の令嬢だからでもない。子どもの頃から大好きでいた君と、早く一緒の人生にしたいんだ」
クリスの唇が、かすかに震えた。
「だから、婚約者という関係を終わらせて、今すぐ、夫婦になりたいと思う」
「あの、それは、いったい?」
「もちろん、今すぐ式を挙げられないことくらいは知っている。父上のお許しも必要だろう。でも、オレの気持ちは決まっている」
ここで大きく息を吸う。
「クリス。オレと結婚してくれ!」
よし!
言った!
とうとう言えた!
ところが、クリスは返事をしない。
普段の彼女からは想像もつかないほど、目を大きく見開いている。
えーっと、もしかして、失敗した?
皇太子妃として、いや、将来の皇后として、人前で表情を変えることをよしとしてないクリスが、ここまで驚きの表情を見せるのは珍しかった。
あちゃ~ まさか、このルートには隠しバッドエンドがあるとか?
「……殿下」
「はい、何でしょうか!」
皇太子が、つい敬語でお返事をしちゃったよ。でも、クリスは、それを訂正せずに聞き流して、一つ息を飲み込むと、その美しい声を響かせた。
「私は、ずっと殿下の婚約者として、お傍におりました」
「うん。知ってる」
「ですが、それは皇帝陛下から賜ったお役目でもございました」
「そうだよね。君はいつでも力になって、オレを支えてくれた」
「ですから、殿下が私をどう思っていらっしゃるのか、確信が持てなかったのです」
そこまで言って、クリスは一度だけ目を伏せた。
それから、一つ、大きく息を吸った後、オレを真っ直ぐに見つめてきた。
「私も、殿下の妻として人生を共に歩みたいと思ってまいりました」
「!」
とっさに、息をするのも忘れながら、内心で、絶叫したオレ。
うおおおおおっ!
よっしゃあああああ! 勝った! 運命に勝った!
いや、クリスの気持ちを勝ち負けで語るのは失礼だな。
でも、これはもう、心の中で万歳三唱しても許されるよね?
「ただし、殿下」
「はい、なんでしょう」
また敬語になっちゃったよ。
「ひとつだけ、お約束していただきたいことがございます」
「なんだ?」
「いくらプロポーズに凝るためとは言え、二度と、ここまで無茶なことはなさらないでくださいませ」
そう言って、クリスは初めて、いつもの優しい笑顔を見せた。
さすが、クリス。いろいろなことを飲み込んで「これは、皇太子が、サプライズのプロポーズでやり過ぎてしまったんですよ」という形にまとめてくれたんだ。
居並ぶ貴族たちも、このやらかしを「婚約者が好きすぎての大暴走」という形にクリスがまとめてしまえば、それ以上、横やりも入れられない。
すごい。いろいろ言いたいことはあるんだろうけど、こんな時でも、オレの立場を立てる気遣い。
さすが、クリス。
けれども、オレにだけ分かる、本来の少女の表情を覗かせているのもクリスだ。
「本当に、心臓が止まるかと思いました」
それは、クリスが、素直に、オレへの思いを言葉にしてくれた瞬間でもあった。
その表情は、作られた微笑ではなくて、心からオレを慕ってくれてる安堵の表情だとヒシヒシと感じられる。
そうさ、いつでも冷静に微笑を浮かべる「氷の令嬢」なんて言われても、オレにだけは、この、心のこもった笑顔を見せてくれるんだもん。
クリス!
考えてみれば、クリスだって怖かったはずだ。どれだけ冷静で、どれだけ優秀でも、自分の結婚が突然取り消されると言われれば、怖くないはずがない。
ゲームの中では、彼女は婚約を破棄されても毅然としている。
でも、それは傷ついていないという意味じゃない。
「約束する」
オレはクリスの手を取った。
「もう二度と、こんなムチャはしない」
「はい。信じております」
その瞬間、後ろで囲んでいる令嬢の誰かが、遠慮がちに拍手をした。
ひとつ、ふたつ。
やがて会場に拍手が広がっていく。
……いや、みんな。
さっきまでの婚約破棄騒動を、そんな簡単に忘れてくれていいの?
まあ、いいか。
とりあえず、今日のところは。
そうしてオレは、クリスの手を取って、婚約破棄会場となるはずだったパーティー会場を後にした。
もちろん、父上への説明も、ヤリィ嬢の一件も、これからきっちり片付けなければならない。
でも、今だけは。
オレの隣で幸せそうに笑ってくれるクリスと手を繋いで、その温かさを受け止めていたかった。
考えてみれば、この帝国は、二百年前に現代日本のゴミを宝に変えた、とんでもない先祖が初代皇帝となった国だ。
その末裔であるオレは、婚約破棄という、とんでもないゴミみたいなイベントを、一生に一度の求婚に変えてしまった。
偉大なる初代皇帝、ショウ様。
これも、我が家の伝統ってことで、よろしいでしょうか?
もっとも、クリスにこの話をしたら、きっと呆れられるだろう。
だから、これは、オレだけの秘密にしておく。
何しろ、オレが手に入れた宝物は、帝国中のどんな宝石よりも価値があるんだから。
fin.




