1月4日午前零時 地獄の始まり
最初の投稿です。生暖かい目で見守ってください。
我らが日本連邦は、国家として非常に強大だ。第三次世界大戦の終わりから、再び秩序が戻るまでの戦後動乱を生き延び、発展してきた。結果、2030年には経済力は世界2位、軍事力は世界1位にまで成長し、世界中から認められる超大国、"連邦"としての地位を確立していた。
そんな世界に誇る自慢の連邦軍の1人、星凛は、年始から業務に追われていた。
「ったく、年始も相変わらずの書類作業…」
リンは中性的で整った顔をしている。その名前も相まって、声を聴くまで男性とわからない。
彼は青年兵制度により16歳で徴兵され、現在20歳。年間で銃を握る回数は平均2回。しかも内乱派遣である。平和は有難いことだが、どっちかというと税金泥棒の立場にいる。
しかし、リンが16歳で徴兵された理由は、彼の身体能力と知能の高さ故である。本人曰く、「徴兵?じゃなくてスカウトね」らしい。
「大変そうだなーリンは」
と気楽に呟くのは、リンの同期の田村博斗である。同期と言ったが、小学校から中児学校までの9年間を同じ学舎で過ごしている。
自分は追い詰められているのに、他人事のようなその言葉に、リンは怒りを覚え呟く。
「じゃあ一緒にやれ?」
「無理」
「…何故?」
「今3万負けてるの!ここで気抜いたらとんでもないことなるの!!」
そう、ヒロトは生粋のギャンブラーなのだ。なんでそんな奴になってしまったのか、振り返れば、180円のカードパックから6万円弱のカードを引いたのが最初だった。否、あれを売らなければ、彼はまだ健全な青年に育っていたことだろう。しかし、あくまでタラレバ。並行世界にでも行かない限り、そんなヒロトは現れないのだろう。
平常通りのヒロトに、リンはため息をつくしかない。そんな2人を横目に、1人の女性がつぶやいた。
「もうそれやめて2人でレストラン行かない?」
そう言ったのは、本条翠だ。親がロシア系のため、日本人離れした美貌を持っている。なおリンのストーカーであり、しかし、自覚がない。
「そんな時間ねぇよ...」
「暇がないなら、時を作ればいいじゃない」
「上位存在版マリー・アントワネットヤメロ」
「マリー・アントワネットじゃなくてジャン=ジャック・ルソーね」
「雑学は求めてない」
「そんなオタクっぽいからいつまでも彼女出来ないんじゃないの?」
グサッと鈍い音が聞こえた気がするが、幻聴であろう。否、ヒロトの顔は十分良いほうなのだが、吹部出身であるが故、女友達は多いけれど彼女はいない。全国の吹部男子──なお、極々一部を除く──の現状を体現していた。''全国の吹部男子よ、性格を直せ''クラーク博士もそういっている。
「...最後は余計だろ」
「時に事実は人をさらに苦しませる」
「他人の表情は自分の性格の鑑」
好き放題言われてしまっている。なお、リンもスイも同じ学校の吹部出身だが、リンはスイにストーカーされてるのでモテない訳ではない。成立してないだけで。
そんな漫才を繰り広げているうちに、携帯のタイマーが鳴る。時刻は零時を回っていた。その時、扉が開く。
「中尉殿、管理官がお呼びです」
「ご苦労。下がれ」
「ハッ‼︎」
リンが早急に兵を帰す。内心大焦りで。
こんな時間に呼び出しされる理由と言えば、大抵お咎めを食らうときである。煩すぎて苦情を食らったか、報告書の提出が遅れてる件についてか。はたまた別の何かか。理由が多くて恐ろしい。
「管理官殿もバカだよな。わざわざ人使わなくてもメールでいいじゃん」
「じゃああとで直接言ったら?」
「火葬準備しといて」
「葬式用意しといたぞ」
廊下の先、管理官室に到着する。三回ノックをすると、「入れ」と返答が来る筈なので、その間に遺書に遺産分配の仕方を書いておくヒロト。
コンコンコン────
───────「入れ」
リンはドアを開けた。その後、三人は横に並び、管理官の机の前に立つ。
振りむいたのは、若い女性だった。黒髪を膝まで伸ばしていて、そのくせして後頭部にお団子が作れている。なにより、雰囲気が恐ろしい。眼は輝いているはずなのに何処か空虚で、老兵のような威圧感を放っている。
彼女こそ、管理官だ。本名は聞いたことがないが、SNSでオリジンと名乗ったアカウントを運用しているということは公然の秘密だ。
「あけましておめでとう。さて、集まってもらったのは他でもない。わかっているよな?」
「……コイツらが手伝ってくれないから遅れてるんです」
「…何の話をしている?」
意外なことに、報告書の件ではなかった。じゃあ何だ、と問おうとした時。スイはスマートウォッチに一件の速報が来ていることに気づいた。
「中国が香港に宣戦布告───!?」
「なんだ、今気づいたのか?まぁ、それだ」
香港民主共和国は、1997年に中華社会主義共和国から独立した小規模国家だ。2028年には連邦と安全保障条約を結んでおり、これは遠回しに、中国による連邦への宣戦布告と取ることができる。
「君たちは、香港への支援物資とともに、現地で戦ってもらう」
連邦軍が海外へ派遣されることは滅多にない。それこそ、1991年の共同体と連合王国の間で起きた湾岸戦争以来であろう。その後各地で戦争が起きることはなく、今まで平和だったのだ。だからこそ三人は、税金泥棒でいられたのである。
「君たちは、私直属の班だ。命名権も私にある。ので、ずっと未定だった班名を、’’竜皇女’’とする」
「やっと決まったんですね」
「...某作品読んだな。この人」
と、ネタっぽく始まった班、竜皇女の門出だが、そんなことなんぞ言ってられない。
彼らはまだ知らない。これから、地獄の業務が待っていることを─────
あれ?一話どのくらい書けばいいんだ?を繰り返してとりあえずここで止めました




