トカゲのシッポ
キリガクレが、指定された場所にいくと、異能者ショーカイが用意したのであろう、衣服や備品が揃っていた。そして、「指定された船に乗り、目的地に向かう」とのことであった。
「コレに着がえて、さらに、この手枷足枷をつけろと?」
「ええ、そうなります。アナタに潜入してもらう施設は、違法なドレイを売買したり、そのドレイに、違法な強制労働をさせたり、さらには、違法ヤクブツを作っている疑いがあります。
ですので、アナタには、ドレイのフリをしてもらい、施設の内部にたいして侵入し、その証拠を、あつめてもらいたいんです」
「なるほど、前に聞いたとおりの内容ですな。コレはいいとして、チョット確認をしたいことがあるんですが、ヨロシイですか?」
「なんでしょうか?」
「その施設の内部にたいして潜入し、捜査するのは良いとして、ばあいによっては、ワタシの身にたいして、キケンが降りかかってくるケースも、ありえるとおもうんですが。
そのとき、ワタシは、じぶんの身を守って良いと、こう聞いております。この点は、間違いありませんよね?」
「ええ、そのとおりです」
「では、もうすこし、突っこんだことをお聞きしますが、あいては違法なことをおこなう、キケンな犯罪者であり、違法な犯罪組織となる。
ということであれば、ばあいによっては、ワタシの身に降りかかってくるキケンは、カナリ、キケン度のたかいものかもしれない。ということですよね?」
「とても言いにくいことになりますが、そういうことになりますね。だからこそ、キリガクレさん、アナタのように、一定レベル以上の実力を持っている異能者にたいして、こうして依頼したんです」
「ワタシのことを、どうやら、実態以上に過剰評価している気がしますがね。まあソレはソレとして、かなりキケン度のたかいことが、ワタシの身にたいして、降りかかってくるかもしれないと。
ということは、ばあいによっては、ワタシはあいてと、カナリはげしい戦いをすることになる。と、こういうことですか?」
「ソレはありえるでしょうね。その可能性は、カンゼンに捨てきれません」
「そのときは、単純な潜入捜査をするだけではなくて、ばあいによっては、ワタシはあいての組織と、全面的に衝突したり、戦うことになって、イノチを落とすかもしれない。
あるいは逆に、あいてをカンゼンに叩きつぶすまで、戦うことになるかもしれない。と、こういう事態になる可能性も、ありえるワケですよね?」
「もしかしたら、そうなるかもしれません。そのときは、十分に気をつけてくださいね。まあ、カナリ無責任ないいかたになりますけどね」
「そうですか」
こういうと、キリガクレは、あたえられた服に着がえだした。
(なるほど、イザはげしい戦いや闘争になったとしても、オレをたすけることはない。っていうことか。
となると、そういう事態になったときは、あくまでも、オレ自身が、ひとりで切りぬけるひつようがあるワケか)
あらためて、こんかいの依頼については、たかいキケンが伴うということを、再確認したキモチになった。ソレと同時に、
(だからこそ、こういう、破格のたかいギャラになったっていうことだろう。キケンな状態になっても、ショーカイは、オレにたいして、まったく助け船をださない。つまり、援軍をださない)
「ヤレヤレだ」
「なにかいいましたか?」
「いえ、なんでもありません」
たとえキケンな目に遭ったとしても、ダレかにたいして、助けをもとめたり、頼ることができそうにない。
これから先の任務のことをおもうと、『可能なかぎり、体力を維持しておくべきだ』とかんがえて、キリガクレは、眠りについた。