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ボス

 ショーカイが、ウキタの取り引き先を突きとめるのに、さほど時間はかからなかった。数日後には、キリガクレの下に、れんらくがきた。そしてキリガクレは、知らされた場所にたいして出向き、その取り引き先をつぶした。

「あっけないもんだった。もっとはげしいたたかいだとか、キケンや抵抗があるかとおもったけど、あっという間におわった。ホントウに、エルヒーの読みどおりだった」

「そうですか、ソレはよかったです。おおきなキケンやリスクがなくて、なによりですよ」

「ショーカイが、組織力をフルに発揮して、取り引き先のアジトをつかんだのは、巨大な組織のチカラってワケだが、ソレができたのも、エルヒー、あの施設から書類を持ちだすときに、取り引き先のことがわかる書類を、君が、テキセツにえらんだからだ。

 だからオレは、ソレを、ヤツラにわたすことができた。いくらショーカイの組織力がスゴイとはいっても、テキセツな情報や資料がなければ、もっと時間がかかったはずだろうし。

 ソレに、君の読みどおり、『取り引き先には、あまりつよい異能者がいない』っていうのも、そのとおりだった。

 ウキタにたいして有利な条件で、長年にわたり、取り引きがおこなわれていた以上、ウキタにたいして、つよくでることができない状況やたちばだった。

 つまり、『ウキタほどのつよさをもった異能者は、いない可能性がたかい』と、君はそうかんがえた。そして、実際、そのとおりだったよ」

 ショーカイのフネで、解放されたドレイたちを島からだしたあとに、エルヒーとキリガクレもまた、島からでたのである。そして、ドレイたちは、しばらくのあいだ、ショーカイが用意した施設に保護された。

 この施設に、エルヒー、ヘイハチ、ムネシ、ユキメもまた、しばらくのあいだ、滞在することにした。

 そして、キリガクレは、ショーカイが、ウキタの取り引き先をしらべて、ソレが判明したために、その取り引き先を、つぶしに向かったのである。

 そのときに、エルヒーから、「この取り引き先には、ウキタほどの強者はいないので、はやくおわるとおもう」という想定を、聞かされたのであった。

 そして、シゴトを終えて、帰ってきたキリガクレは、その想定があたっていたということを、こうして、エルヒーにたいして、つたえにきたのである。

(なんだか、オレのボスがエルヒーで、ボスにたいしてシゴトを終えた手下が、ソレを報告しにきたみたいな絵面だ)

「以上が、ウキタの取り引き先をつぶした件のあらましになる。報告はコレでおわるが、ヨロシイですかな、ボス」

 キリガクレは、わらいながらいった。

「なんですか、ボスっていうのは、ジョーダンはヤメてくださいよ」

「いやいや、半分くらいはジョーダンじゃなくて、ホンキでいってるんだけどね」

「なにをいってるんですか、まったく」

「なんにせよ。ウキタをつかまえて、その処分を悩んでたときに、君がかんがえた絵のとおりになったワケだからね。そしてオレは、君の案に乗っかったってワケだ。

 つまり、ウキタをつかまえてから、今にいたるまでのオレは、君がかんがえた絵というか、案にしたがって、そのままうごいたワケだから。

 となると、君がボスで、オレは、君の指示に従った手下っていうのは、あながち、間違いじゃないとおもうけどね」

「さあ、どうでしょうかね」

 キリガクレが、ジョーダンをいっているとおもい、エルヒーはわらいながら答えた。だがしかし、キリガクレとしては、半分どころか、正直なところ80%くらいは、ホントウにエルヒーがボスであり、じぶんが、彼女の手下になって、うごいていたようなキモチだった。

 キリガクレが、ウキタをつかまえて、じぶんが依頼された「調査」ということを、はるかに越えた事態になり、そのこともふまえて、ウキタの処分をどうすべきか、悩んでいたとき、つい、身近にいたエルヒーにたいして相談をした。

 ほんらいであれば、「じぶんがうけた依頼の内容を、たにんにたいして明かす」ということは、けっして良いことではない。

 だがしかし、この島のなかで、エルヒーというニンゲンと、深くかかわっていくうちに、「彼女にだけだったら、ホントウのことをいって、相談したほうがよいのではないか」というキモチになったのであった。

 そうすれば、「今のじぶんの状況を、良い方向に持っていけるような、良い案をだしてくれるのではないか」と、おもえたのである。

 そして、エルヒーにたいして相談し、意見を聞いてみたところ、「ドレイたちの反乱の結果として、処刑したらどうか」といってきたのである。

 エルヒーの案を聞いて、キリガクレは、ソレにたいして賛同したのであるが、施設から書類をはこびだして、その書類を読んだあとに、彼女がキリガクレにたいして言ったのは、つぎの内容であった。


 ウキタを処刑したところで、ショーカイとしては、じぶんたちの幹部が関わっており、まして、首謀者だったということを、オモテ立って、大っぴらにすることはできない以上、文句はいいにくい。

 むしろ、ヘタにウキタがいきていれば、どういうカタチで処分すべきか、こまるかもしれない。

 だから、「大キボな反乱による、こんらん状態の結果として、ウキタが死んでしまった」ということであれば、ショーカイとしても、むしろたすかる。

 そして、ショーカイは、キリガクレにたいして、こまかい付帯条件をつけず、さらに、戦闘になることもふまえた上で、島の調査を依頼した。

 そうである以上、「予期せぬ戦闘の結果として、こういう事態になってしまった」といえば、やはり、文句をいいにくい。

 ウキタのおこした悪事・不祥事というものは、ショーカイとしては、対内的にも、対外的にも、バレてはマズイ内容になる。

 だから、ショーカイにたいしては、「ドレイの反乱を知り、ソレによって、解放されたドレイたちを、島からたすけだして保護した」という名目・たちばで、うごけば良いとつたえる。

 そうすれば、ショーカイとしては、「じぶんたちの幹部がおこした、悪事・不祥事」というカタチではなくて、「虐げられたニンゲンを、たすけだした」という、セイギの味方・ヒーローのたちばになる。つまり、ショーカイのイメージアップにつながる。

 そして、ショーカイは、セイギの味方のたちばになるのだから、コレを積極的に、社会・世間にたいして、アピールすべきだとつたえる。

 ショーカイのほうから、積極的に新聞につたえて、「ドレイがはこばれて、他の土地に着いたとき、そのようすを、新聞がつたえるようにすれば良いのではないか」とつたえる。おそらく新聞は、写真つきで報じるであろう。

 だがしかし、この島をカイメツさせたとしても、ウキタと長年にわたって、取り引きをしていたあいては、ウキタの正体を知っている可能性が、カナリたかい。

 となると、この取り引き先が、どこかのだんかいで、ウキタの正体というものを新聞につたえて、バラす可能性もある。

 この点を、ショーカイにたいしてつたえれば、カナリ焦るのではないか。ウキタのそんざいを、オモテ立って、大っぴらに、みとめることができない以上、そのウキタの取り引き先というものを、ショーカイ自らが、オモテ立ってつぶすことはむずかしい。矛盾が生じてくる。

 さらにいえば、新聞をつうじて、ドレイを解放したことを知った取り引き先が、報復のために、「実は、この件は、ショーカイの幹部がおこなっていた、違法な悪事・不祥事が原因であり、ドレイたちは、そのギセイ者であった」ということを、新聞にたいして、公表するキケン性・リスクがある。

 だから、一刻もはやく、ウキタの取り引き先を、たたきつぶすひつようがある。だがしかし、ショーカイは、オモテ立ってうごきにくい。

 そこを突いて、キリガクレのほうから、ソレをおこなうといえば、良い金額の条件で、これまた、キリガクレが、シゴトを請け負うことができるのではないか。

 そして、取り引き先の情報というものは、施設にある、取り引きかんけいの書類をしらべれば、おそらく、手にいれることができる。

 コレをショーカイにわたせば、「時間が経つほど、取り引き先がウキタのことを、新聞にたいして、ばらすリスク・キケン性がある」という以上、必死になってしらべるだろう。

 キリガクレとしては、ショーカイが手にいれた情報を基にして、取り引き先をつぶせばよい。そして、書類を見るかぎり、この取り引き先は、ウキタにたいして、カナリ下手にでており、じぶんたちに不利な条件で、つまり、ウキタにとって有利な条件で、長年にわたり、取り引きをおこなっている。

 このことから、この取り引き先は、ウキタにたいして逆らえるほど、つよい異能者はいないかとおもわれる。

 となれば、キリガクレとしても、おおきなキケン・リスクがなく、このシゴトを、おこなうことができるであろう。つまり、追加のシゴトの報酬というものを、割のよいカタチで、うけとることができる。

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