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光明

 キリガクレとエルヒーが、のこされたドレイを解放して、残敵の掃討をしたあとに、キリガクレは、ヤマにある施設のなかから、島でおこなわれていた悪事や不祥事をしめす書類をはこびだした。

 そのあとに、キリガクレは、補強しておいた施設のカベや床などにたいして、みずからの異能を解除した。そして、ヤマはくずれだし、施設は土砂に埋もれてしまった。

「エルヒー、あのウキタってニンゲンは、たくさんの異能者が所属する、異能者ショーカイの大幹部でね。

 オレは、このショーカイの依頼をうけて、この島の調査にきた。オレもまさか、ショーカイの大幹部が、この件の黒幕っていうのは、ここにきてから知ったんだ。

 しかもショーカイは、この件を、大っぴらにしたくないらしい。だから、所属してないフリーのオレに、調査を依頼したようだ」

「なるほど、じぶんたちの悪事や不祥事を、オモテ沙汰にしたくないと」

「そういうことになる。でもオレはこんかい、調査依頼の範疇を超えて、この施設をカイメツさせてしまった。

 もちろん、任務の性格上、その途中で、はげしい戦闘になる可能性があるっていうことは、あいてにたいして、チャント念を押してある。

 でも正直なところ、なりゆきとはいえ、君たちを解放し、さらに、施設をつぶすことまでやった。

 だから、ショーカイにたいしては、チョットしたせつめいというか、言いわけがひつようになる」

「たしかに、そうでしょうね。ぐたいてきには、どうしようとかんがえてますか?」

「おそらくショーカイは、じぶんたちの大幹部が、こういう違法行為をしていた。ということを、世間にたいして知られたくはない。だから、あのウキタのそんざいが微妙になる。

 ウキタの身柄を、ショーカイにわたそうとしても、ショーカイは、『ウキタが、この島にいた』ということ自体、ダレにも知られなくない。外部のニンゲンどころか、ショーカイ内部のニンゲンにたいしても。

 だからこそ、ヤツのあつかいが微妙になる。いっそのこと、この場所で、ヤツを処刑すべきかもしれん」

「たしかに、あいてにとっては、じぶんたちの大幹部が、こういう、『違法な犯罪行為がおこなわれるところにいた』ということ自体、つごうが悪くて、マズイ事実でしょうね。その上さらに、ここの首謀者だったとなれば、なおさらだとおもいます」

「そういうことになる。そこで相談なんだが、この件をうまくまとめて、いいぐあいに着地させる、なにか良い案というか、かいけつ策はないかい?

 オレなりに、イロイロとかんがえてみたんだけども、どうにも、ソレがうかんでこない」

 このキリガクレの相談をうけて、すこしのあいだ、エルヒーはかんがえていた。

「だったら、ワタシたち反乱したドレイが、ウキタを処刑したってことにしてはどうですか?」

「ドレイが?」

「そうです。チョット順を追ってハナシをしますと。まあコレは、キリガクレさんはあくまでも、この島にたいして調査にきた。そうしたら、ドレイたちの反乱がおきてしまい、巻きこまれてしまった。

 そして、その反乱の隙に、キリガクレさんは、施設をしらべて、証拠となる書類を押収した。でも、反乱がおわらないかぎり、うまく島からでることができない。

 だから仕方なく、反乱にたいして加わり、加勢し、味方をした。その結果として、不本意ながらも、戦闘をせざるをえなくなった。そして、反乱は成功し、施設のボスは、反乱者たちによって、処刑されてしまった。

 このボスは、ドレイにたいして、今まで散々ヒドイあつかいをして、ボウリョクも振るってきました。

 たくさんのドレイが、無実の罪で、処刑されもしました。ですから、ヤツは、ワタシたちによって、処刑されても仕方ないんですよ。ダレも文句をいえません。

 この島にやってきた、ショーカイのニンゲンにたいしては、『解放されたドレイを、この島からでるのに協力してほしい』とつたえる。

 そうすれば、感謝したドレイたちは、ショーカイにたいして恩を感じて、このことを、島のソトで言いふらすでしょう。

 となれば、ショーカイは、『違法な犯罪行為がおこなわれ、そこにいたドレイたちをたすけた』という、セイギの味方のたちばになる。

 ショーカイのニンゲンが、この島のボスっていうことは、つまり、その事実は伏せておいて、ショーカイは、ドレイをたすけだした側のたちばになる。

 こうなれば、ショーカイとしても、じぶんたちの悪事や不祥事ですが、ソレをオモテにだすことなく、それどころか、むしろ、ショーカイは、『違法な犯罪行為のギセイ者にたいして、救いの手をさしのべた』っていうカタチになるんですから」

 このエルヒーの意見を聞いて、キリガクレは、うなってしまった。

「なるほど、ソレはたしかにいい案だ。あのウキタが、ショーカイのニンゲンだっていうことは、解放されたドレイたちは知らない。だから、ショーカイが、救いの手を差しのべれば、ソレを、あちこちで言いふらすだろう。

 というか、オレたちから、かれらにたいして、ショーカイが救ってくれたことを、たくさんのヒトにつたえて感謝しろと。いっておけば、よろこんで言いふらすだろう」

「ちなみに、つかまえた看守のなかには、ウキタの素性を知ってるニンゲンがいるかもしれませんが、コイツらは、そのままショーカイに引きわたせば、おそらく、シャバというか、世間にでることはない。

 つまり、ウキタのことが、世間にバレたり、つたわることはないでしょうし。ショーカイとしては、ヤツラを隔離して、どこかの刑務所やら監獄に、閉じこめるでしょうから。

 もっといえば、さっきキリガクレさんが、施設からはこびだした書類のなかに、ウキタの関与をしめす書類があるでしょうが、このウキタの関与をしめす書類は、ショーカイにたいして、いい交渉材料になるかと。

 ショーカイにたいしては、『ウキタの関与をバラされたくなければ、ワタシたちに協力して、ハナシを合わせろ』といいやすい。

 まあショーカイとしても、じぶんたちの悪事や不祥事っていうものを、世間にたいして、バラされたくはないでしょうし。

 ワタシたちの案に乗ったほうが、『犯罪行為のギセイ者にたいして、救いの手を差しのべた、セイギの味方』っていう立ち位置になるワケですから、ことわる可能性はひくいかと」

「たしかに、ソレでいこう。ショーカイからフネがきたら、このながれで、ハナシを進めることにする」

 その後、勝利したドレイたちのまえで、エルヒーたちによって、ウキタは処刑されたのであった。

 ドレイたちの気分が高揚したのにたいして、看守たちは、意気消沈していた。ソレと同時に、「もうこれからは、ウキタのことを、おそれずに済む」と、ホッとしている看守もいたのであった。

 つまり、もやは看守たちに、「ふたたび、たたかいをおこそう」というキモチは、スッカリなくなったといっていい。

「ところでエルヒー、君は、島からでたらどうする?」

 キリガクレは、エルヒーにたいして話しかけた。

「そうですね。ハッキリしたことはキメていませんが。ヘイハチ、ムネシ、ユキメの3人といっしょに、しばらくのあいだ、これからのことを、かんがえたいとおもってます。

 あえていえば、せっかくこうして、異能をつかえるようになったので、コレを生かすことができないかと、かんがえてはいますが」

「そうか、たしかにコレは、ダレにでもつかえるものじゃない。えらばれた一部のニンゲンにしかない、特殊なチカラだからね。せっかくつかえるんだったら、コレを生かすのは、ワルイことじゃない」

「そうですよね。でもまあ、今までずっと、このちいさな島のなかに監禁されてましたから、とにかく、まずはワタシたち4人で、ソトのセカイを見てみたいかなと。ソレから先のことは、まだなにもかんがえていません。というか、わかりません」

「たしかに、このちいさな島のなかにいたら、セカイのことはわからんよ。実際に見たり、聞いたり、体験してみないと、わからないことはおおい」

 こういうと、キリガクレは、じぶんのむかしのことをおもいだしていた。彼自身、かつては、東の果てにある、ちいさな島国のなかに住んでいた。

 しかも、この島国は、ガイコクとの貿易や交流というものを、きびしく制限していた。そのために、外来とのニンゲンの行き来というものが、むずかしかったのである。

 つまり、彼自身、この島国をでてから、ひろいセカイを知って、イロイロと、かんがえさせられたのであった。

「ですが」

「ですが?」

「こまったことに、まったく当てがないんです。島をでて、ソトのセカイに行ったところで、行く当てのあるヒトはいいかもしれませんが、ワタシたち4人は孤児なので、親も兄弟もおらず、故郷もありません。

 ですので、いざドレイから解放されたのはいいですが、コレから先、どうしたらいいのか、サッパリわからないんですよ」

「なるほど。じゃあ君たち4人の身の振りかたについても、いっそのこと、ショーカイに、便宜を図ってもらったらどうだろうか。

 ウキタのことをバラされたくないだろうし、これくらいの条件をつけたしても、連中は、飲むんじゃないか?

 君たち4人は、異能のチカラをつかえるワケだから、異能者が所属する、異能者ショーカイとしては、君たちのことを、まったく無視するワケにもいかんだろう」

「そうですね、せっかくですから、そのショーカイに頼ってしまいますか」

 エルヒーは、これから先のじぶんの身の降りかたについて、それまで、まったく当てがなかったのであるが、すこしだけ、光明が見えてきたような気がした。

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