表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/33

勝算

 ウキタを引きずりながら、キリガクレは、エルヒーたちと合流した。

「キリガクレさん、勝ったんですね?」

「なんとかね。しかしコイツは、さいごのさいごまで、あきらめようとしなかった。ワルイ意味でしぶといというか、なんというか。

 ところで、こうして敵のボスをつかまえたワケだが、のこった連中を、どうするかだ。エルヒー、ヘイハチ、ムネシ、3人とも、まだカンゼンに、体力は回復してないとおもうが、うごけそうかい?」

「オレとムネシは、正直まだダメですが。エルヒーは、もう回復してるとおもいます。だよなエルヒー」

「アナタたちよりは、うごけるようになったかしら。ユキメのおかげで、カナリ、カラダがラクになったわ」

 たしかに、キリガクレの見たところ、ヘイハチとムネシにくらべて、エルヒーは、フツウに立ちあがり、テキパキとしている。

 エルヒーと歩きながら、彼女のようすを見たのだが、たしかに、体力は回復しているようすであった。

(信じられん、もう回復したのか。いくらユキメのチカラで体力を上げたとはいっても、尋常じゃない回復力だ)

「すさまじいな」

「なにかいいました?」

「いや、なんでもない。それよりも、ヘイハチとムネシがあまりうごけない以上、オレとエルヒーのふたりで、のこった敵を掃討することにする。

 とはいっても、のこったヤツラは、ほとんどいないとおもうがね。さっきヤマのなかで、このウキタは、じぶんの部下ごと、オレの分身をつぶした。

 ソレに、ヤマのソトにでたときも、コイツは、部下がいるのもおかまいなしに、君たちに、攻撃をしかけてた。

 そのとき、巻きぞえになったヤツラもいるから、五体満足で無事なヤツは、ほとんどいないとおもう。

 まあ、もしそんなヤツがいたとしても、すべてのフネをこわしたワケだから、島からにげることはできんさ」

「キリガクレさんが、すべてのフネをこわしたと聞いたときは、島からにげだす方法がなくなるし、なんでそんなことをするのかと、正直なところ、カナリ疑いましたけど。でも、その狙いやもくてきは、ヤツラをにがさないためだったんですね?」

「そういうことになる」

 このコトバを聞くと、エルヒーは、キリガクレのようすを、ジッと見つめてきた。

「どうした?オレのカオに、なにかついてるかな?」

「キリガクレさん、差しつかえなければおしえてほしいんですが、フネをすべてこわして、『ヤツラが、この島から逃げださないようにした』っていうことは、最初から、勝算があったっていうことですか?そうでないと、ツジツマが合わないんですが」

 エルヒーからの問いかけにたいして、キリガクレはすこしのあいだ、立ちどまってかんがえていたのだが、決心がついたのであろうか、話しはじめた。

「君にたいしては、ヘタにウソをいうべきじゃないか。オレがこの島にやってくるまえ、このシゴトは、ヤバイ内容だと判断してね。リスクやキケン性が、カナリたかいとおもった。

 島の調査をすることが、オレのシゴトだったんだが、どうもヘタをすると、ソレだけでは済みそうにない。

 もっといえば、戦闘になる可能性も、カナリ高かった。ソレに、おそらくこの件は、キケンな犯罪者が関わるだろうと、そうかんがえた。

 となると、可能なかぎり、万全な態勢を用意するひつようがあった。つまり、たたかいになったばあいも、勝つことができるようにすることと、キケンな犯罪者をあいてにする以上、島からにげだすニンゲンがいたら、後で復讐されるキケン性がある。だから、ひとりも逃げださないよう、フネをこわしたんだよ」

「なるほど、シゴトがおわった後のことまでかんがえて、じぶんの身のあんぜんを図るために、フネをこわしたと」

「そういうことになる」

「ということは、つまり最初から、戦闘になったばあいでも、勝ち目があるとかんがえていたんですね?

 いいかたをかえると、勝てるだけの準備をしていたと。勝てない可能性があるんだったら、こんな発想にはならないはずですし」

「ホントウに君は、アタマがよくまわるな。そのとおりだ」

「そして、勝ち目があるとかんがえたのは、さっきソラから降ってきた、あの巨大なチカラがあるからですか?

 たしかに、あれだけのチカラをつかえるんだったら、よほどの強敵であっても、勝てるんじゃないかって、ワタシでもおもいます。

 ソレで、さっきのあのチカラは、一体なんなんですか?すさまじいプレッシャーを感じたんですが」

「君の推測どおり、あのチカラを確保することができたから、オレはこのシゴトにたいして、勝算を持ってあたることができた。

 あのチカラは、オレ自身のチカラじゃない。オレの依頼主の組織の一員で、あのチカラを持っているニンゲンがいてね、そのニンゲンから借りたモノだよ」

「借りた、ですか」

「そう、借りた」

「ちなみに、その借りたあいてっていうのは、どういうニンゲンなんですか?」

「実はオレも、くわしい素性は知らない。オレ自身、その依頼主の組織にたいして、所属をしてるっていうワケじゃないし、フダンからあまり、接点がないからね」

「そうですか。まあワタシとしても、そのあいてのことを知ったところで、なにがどうなる。というワケじゃないですし」

 こうしているあいだに、ふたりは、施設のあるヤマについた。ウキタによって、こわされそうになったものの、キリガクレのチカラで、ヤマはくずれずに、カタチを保っていた。

 そして、ヤマのなかにはいり、ふたりは、のこったドレイたちを解放し、看守たちにたいして、降伏を勧めた。

 なかには、あいかわらず、たたかう意思を持った看守もいたのだが、ふたりによって、あっけなくたおされた。

 こうして、残敵の掃討は、たいした時間も手間もかからずに済んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ