任務
ジャラジャラと、手枷足枷と、クサリをつながれながら、オトコは歩いていた。いや、歩かされていた。
「おい、そこのオマエ、さっさとあるけ、このグズが。チャントはたらくまえに、くたばるんじゃねえぞ」
怒鳴られ、急かされながら、オトコは前に進んでいる。
ドレイあつかいとなった、今のじぶんの身分にたいして、一種の可笑しみというか、自嘲ともいえる気分を味わいながら、各種の非人道的なヒドイ労働・あつかいをおもうと、やりきれないキモチになる。
(こんな任務は、さっさと終わらすべきだ。でないと、コイツらを皆ゴロシにしかねん)
つぎつぎに浴びせられる、怒声やら、侮辱のコトバにたいして、「シゴトだから」と、割りきってはいるのだが、ソレでも、感情が高ぶるのを止めれそうにない。
(イカン、怒りをカオにだすのはマズイ)
オトコは任務として、違法なドレイをあつかい、強制的に労働をさせている、違法な施設にたいして潜入捜査していた。
(ソロソロだとおもうが)
こうおもっていると、あちこちで、怒声が飛びかいはじめた。そして、ニンゲン同士が、はげしく争っていると、ハッキリと感じとれるほど、騒ぎがおおきくなりだした。
(はじまったらしい)
「なんだ、なんの騒ぎだ」
オトコのそばにた看守が、騒動にたいして気を取られた瞬間、オトコは、その看守にたいして、つよい当て身をあてた。すると、うめき声を上げながら、看守は気をうしない、たおれた。
(さっさとシゴトを済ませよう。こんな胸くそのワルイ場所に、一秒でもいたくない)
こうおもうと、オトコは手足につながれた、手枷足枷とクサリを、アッサリと解いた。そして、ドレイがあつまり、看守と争っている、広場に向かっていった。
広場では、手枷足枷とクサリを、外されたドレイたちが、看守たちと、はげしく争っていた。そして、各々が、手に武器を持っている。
「どうなってんだ。なんでコイツら武器を持ってんだ。それに、なんで手枷足枷とクサリがハズレてやがる」
看守のひとりが、そう叫びながら、反乱をおこしたドレイたちと、たたかっていた。看守が、そういうギモンを持つのも、あたりまえのことであった。
なにせここは、ドレイをあつめ、強制的に労働をさせる施設なのである。ドレイが反乱をおこせぬよう、武器の持ちこみを、きびしく禁止しているのは、とうぜんの対策といえる。
さらにいえば、ドレイの行動の自由を奪うために、手枷足枷と、クサリをつけているのだが、ソレもハズレているのだ。
(いいぞ、いい感じに、パニックになってきた。看守たちは、突発的な暴動がおきた上に、ドレイが武器を持って、手枷足枷もハズレて、自由にうごきまわってるから、対応ができてない。今がチャンスか)
こうおもい、オトコはすばやく、施設の奥に向かった。フダンは看守が常駐しており、なかに入ることはできない。だがしかし、今は暴動の鎮圧に手一杯であり、入るのはむずかしくなかった。
オトコは、フダン入ることができないヘヤにはいり、証拠となる書類をさがしていた。すると、この施設でつくられる違法薬物や、違法な売買の証拠書類というものを、見つけだすことができた。
(よし、コレでオレの依頼された任務は、一通りこなしたことになる。ここでずらかったとしても、もんだいはないが)
こうおもい、騒ぎがおきている方向を見た。そして、
(乗りかかったフネだ。ここまできたら、この施設を丸ごとつぶしてやろうか。こんな胸くそがワルイところは、一分一秒でもはやく、つぶしたほうがいい)
このように決意し、オトコは、暴動がおきている場所に、走っていった。
では、このオトコは、なぜ今げんざい、このようなことをしているのか。ソレをせつめいするためには、今この時点から、すこしだけ、さかのぼらなければならない。