第43話 みんなが生きていける社会のために
「もう少しだけ、『税金』の大切さを話そう。『税金』を使う難しさはさっき話したとおりだけど、それでも『税金』は社会になくてはならない仕組み。みんなから集めて、なるべく平等になるように再分配するのが基本だ。そして、国が発展していくための『投資』という使い方もあると説明したね」
パパは、復習するようにもう一度説明した。
「オリンピックのようなお祭りイベントにも、『税金』は使われるのでしょ?」
「そうだよ。オリンピックでいろいろな施設を作る。オリンピックというお祭りが終わったとしても、それは社会に役立つ施設として残ることが多い。それに多くの国から、オリンピックを観るために旅行者がくるし、国内ではお出迎えするために様々なサービスが用意される。開催されるオリンピックで、『税金』を使うことでより多くの経済的発展が期待できるんだね。言いかえると、魅力的な価値を作り上げて、みんながお金を使って、作られた価値の恩恵を受けとり、良い方向にお金が流れていくと期待できるんだ」
「なるほど。オリンピックは、ただのお祭りじゃないのね」
カノが感想を述べた。
「災害とかで活躍する自衛隊も『税金』だっけ?」
ハルは、確認するように言った。
「そう。自衛隊のおかげで、何かあったとしても守り助けてくれる安心感がある。警察や消防も街の安全には欠かせない。どれだけお金を使うかは別にして、みんなが安心して生きていけるために、『税金』は使われていると思っていいだろう。もちろん、そんな使い方いいのかなって思うものは、確かにあるかもしれないね。遠い異国のために『税金』を投入、つまり日本が投資をする場合もある。これは賛否両論になるケースがある。そんな遠い国ではなく、自分たちに税金を使って良いことをしてほしいと思う人もいるわけだね」
パパが、優しく説く。
「それはそうだよなぁ。そういえば、納税は国民の義務だって、学校の授業で習ったよ。憲法で定められているんだよね」
「えーっ、やっぱり義務なんだー」
カノは、ちょっと嫌そうな雰囲気をまとってつぶやいた。
「どこの国に住んでも、ほとんどの場合、『税金』はあるよ。ただし、それぞれの国の事情で、いろいろな『税金』が設定されているから、調べてみると面白いかもしれない。もちろん、集めた『税金』の使い方もだね」
「へえー、なんか自由研究のテーマにしたら面白そう。あ、そしたら、自分で何か『税金』を考えてみるのも面白いかもね。ゲームばっかりして遊んでいると良くないから、ゲーム税を導入しますとか」
カノが、ふざけて言う。
「ええっ! それは絶対、反対! そもそも、そのゲーム税とやらは集めたお金を何に使うのさ?」
「うーん。困った。使い方はこれから考えます」
「それじゃ、ダメだよ、カノちゃん。まぁ、自分で『税金』の仕組みを考えてみるのは面白いだろうね。『税金』は、社会をより安全でより良くするために使われる強制的な『募金』と考えてもいいかもしれないね。だから、『税金』は良いお金の流れを作る仕組みだと理解していいだろう。そして、そのお金の使い方は……とても難しいということもね。もちろん、集め方の公平性というのもポイントだろう」
「『税金』の話、面白かったよ。きっと奥が深いものなんだろうなぁ」
ハルは、感想を述べた。
「そうだよ。税理士という専門的な仕事があるくらいだからね。自分が納める『税金』について、それにとても詳しい人、つまり税理士に助けてもらうんだね」
「ほぇー。それって何のために?」
カノは、不思議そうな顔をしている。
「納める『税金』も、自分の持っているお金の使い方だと考えている人もいるんだね。だから、『税金』を納める時により自分が納得できる使い方にしたくて、税理士さんに相談するのかもしれない。寄付をすれば税金を減らしてもらえたり、自分の今住んでいるところでなくて他の地域に納めたり、いろいろな納め方があるからね」
「そういう考え方もあるのかぁ。興味深いなぁ」
「お、そろそろ家に到着だよ。お金の話は今日のところはここまで。二人とも、買ったものを運ぶのを手伝ってくれよ」
「はーい」
「了解!」




