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十代のお金入門 ~ お金持ちになる最初の一歩 ~  作者: 凪野 晴
第4章 価値とは何だろう?

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第12話 需要と供給

「売る方の人たちが、値段を決めることはわかったよー。でも、パパ、値段の決まり方は、もうひとつあるんだよね。それも教えてほしいなー」


 そして、カノはハンバーグランチのフライドポテトを口に運ぶ。


「さっきのが売る側が値段を決めていたから、今度は買う側が決めるのかな?」


 ハルは、自分の見解を述べた。


「うーん。買う側の影響は受けるけど、必ずしも買う側が決めるわけではないかなぁ。二つめの値段の決まり方は、『需要と供給が値段を決める』だよ」


「? じゅよーも、きょうきゅーも、知らない言葉だよー」


 カノは、右に左にと首を傾げる。


「ぼくも、よくわからないなぁ」


「では、先に需要と供給がどういうことを説明しよう。その後で、値段がどう決まるのかを理解していこうか。『需要』という言葉の意味は、求められている、必要としている、買いたいという意欲のことをいうんだ」


「ということは、ものを買う側の気持ちってことかな。のどがかわいたから、飲み物が欲しいとか?」


 ハルは、例を挙げて確認した。そして、ドリンクバーから持ってきていたコーラを一口飲んだ。


「そうだよ。簡単にいうと、『これ欲しい。買いたい』という気持ちのことだ。何かを買う前には、この気持ちに必ずなっているものだろう?」


「うん。わかるー。チョコが食べたいから、チョコのお菓子を選ぶもんね。あと、ノートが終わりそうだから、新しいの買わなきゃってのも需要なんだね。必要としているから」


 カノは、自分の生活をふり返って言う。


「個人的な気持ちの話をしてきたけど、この気持ちを多くの人が持っていれば、その商品に需要があるということになる。みんなが欲しいと思っているってことだ」


 箸を置いて、パパは両手を広げて説明する。


「つまり、人気があるってことだね。人気のゲームソフトやマンガ本は、みんな買うから需要があるってことか」


 ハルは、うなずきながら言った。


「二人とも『需要』という言葉は理解できたみたいだね。では、次に『供給』だ。これは、需要に応じて、ものやサービスが提供できる状態のことを言うんだ。みんなが欲しいと思っている、需要がある状態に対して、どれだけそのものを提供できる、売ることができるかということだよ」


「欲しい人みんなが、買えるならハッピーだね!」


 カノは、ニッコリと微笑む。


「でも、待って。欲しい人が多すぎて、ものという商品がいきわたらない、買えないこともあるんじゃない? 売り切れちゃうってことがあるよ」


 ハルは、よくある現実を示した。


「そう。需要に対して供給が不十分だと、売り切れになってしまう。逆に、あまり欲しい人がいないのに、たくさん商品を用意してしまって、供給が多すぎてしまうこともあるね。供給が過剰な状態だ。こうなると、作ったものは売れないので、お金に変えることができなくなってしまう。どうしたらいいだろう?」


「えっ。うーん……。あっ、仕方ないので、安く売るのはどう?」


 カノは、思いついたことを披露する。


「売る側が決めた値段で売ろうとしても、欲しいって思う人がいないなら、安くしてみるしかない気がするよ」


 ハルも、カノの意見に同調した。


「あーっ! ってことはだよ、お兄ちゃん。値段は買う側の気持ちに左右されちゃうんだよ」


「買う側が欲しいと思える値段になっていないと買ってもらえない。これはとても大事なポイントだ。素晴らしい商品だったとしても、値段が高ければ買う側の人は悩むだろう。ペットボトルの値段の話を思い出してごらん。人によっては、一本百六十円だったり一本百円だったりと値段の感覚が違っていたね。買いたいと思っている人の値段の感覚に近づけて、商品の値段を決めないと買ってもらえないわけだ」


「それじゃあ、原価+利益=値段だから、しっかり利益を得ようとしたら、原価を低くする努力が必要ってことだね」


 ハルは、納得した顔になっていた。


「もちろん、商品の宣伝などで情報を提供して、値段の感覚よりも高くなっても、価値があると思ってもらう。買ってもらうように努力することもあるわけだ」


 パパは、少し違った視点を提示する。


「売るのって大変なのね。買う側はお金を出すだけだから、楽そう」


 カノは感想を述べた。


「いや、そうでもないんだよ。供給が多くて需要が少ない場合のことをみてきたけど、逆の場合もある。つまり、みんなが欲しがっている需要がある状態だとしても、供給が少なかったらどうだろう?」


「あ、売る側は値引きして、安く売る必要ないのね。欲しくてお金のある人が買ってくれるもの」


 カノは、ハッと気づいた。そして、大好物のフライドポテトが最後の一本になっていることにも。


「それどころか、もっと利益を確保して値段を上げることも可能じゃないかな」


 ハルは、考えついたことを伝える。


「そのとおり。もうわかってきただろう? 値段は、需要と供給のバランスで決まるんだ。用意できる商品の量が決まっていたとする。需要が商品の量よりも多い場合は、値段が上がっていくことになる。なかなか手に入らないという希少性が出てくるからね。逆に需要が商品の量よりも少ない場合は、値段が下がっていくことになるわけだ。欲しい人にいきわたっても、まだ商品が残ってしまうからね。さらに売るには値引きをすることが多いだろう」


「ものの値段の決まり方って、なんだか面白いわ」


「売る側が商品の値段を決めたとしても、買うか買わないかと考えている人たちの影響を受けちゃうところだね。これはたしかに興味がわくなぁ」


 ハルもカノに同意した。


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