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被害七 そういえば、某Fテレビの人気クイズ番組のタイトルの、本当の意味を知っている十代は何人居るんだろう?



直美「『お●●りひ●り』!」

恋歌「このあとすぐ……な―

大志「だァーッ!『白い巨像第三部』!」






―前回より―


「ソ・れ・デ・はァァァッ!第一問の『贄』となって下さる哀れな方をご紹介ッ!」

リージョンが細長い腕を翳すと、その場に最新型の大画面プラズマテレビが現れた。

何処かも電力を供給されているとは思えないテレビの電源は何と自動で入り、テレビの画面には自宅で拘束されたある議員の姿があった。


リージョンから『テレビ電話のようなものだから会話が出来る』と告げられた首相は、テレビに向かって叫んだ。

「せ、仙田君!」

『は…鳩谷総理!助けて下さい!こいつら、私を殺そうと―

「判っている!あのキチガイの化け物が言うように、その問題は君の命がかかっているんだ!絶対に正解してみせるとも!」

『そ…総理ぃ~』


内閣府特命担当大臣・仙田の左肩には、シェルツェマダニの疑似霊長・ハーカーが立っており、画面無いにアトスの姿は見えない。


『あ、リージョンじゃん。やっほ~元気~?』

「オォゥ!ハーカー!ハーカージャマイカ!アトス兄さんはどウシたンだイ?」

『アトス?あいつなら今頃他の「贄」さんのところに行ってるよ~』

「ホォウ?君と仙田大臣の周りは機械兵が取り囲んデイるけれド、彼の処刑は君が執り行うのカイ?」

『うぅん、この人殺すのはアタシの仕事~。

だけど総統が機械兵さん達にも仕事あげなさいって言ってたから、協力はしてもらうよ~』

「ホォォォォォ!ソレは楽しみだネィ!

君は僕と同じ益獣部隊内部の分隊が一つ『五死頭(イツシズ)分隊』のメンバーだかラネ!

君の能力で、ドンナ処刑が見られるのか楽しみだなア!」

『リージョンてば。まだこのおじさんが死ぬって決まってないじゃん。

そんなに早い内から決めつけちゃ駄目だよ?

古藤様(パパ)もよく言ってるじゃん。

「ラプラスの悪魔は存在しない」ってさぁ~』

「そうだったネ!では早速問題と行きまショウ!


第一問!」


デデン!

と、何処からともなく空中に「第一問」と書かれたカラフルなテロップのような立体が出現する。


「先程私のキュートでプリティーな萌え萌えの親愛なる同僚・ハーカーの話に出てきた固有名詞『ラプラスの悪魔』とォはァ…一体何の事でしょウ!?


さァさ、考える時間は一分間!

他者の手助けは違反と見なし一切禁止ですヨ!

違反が発生した場合は(ry(イカリャク)!」


首相は考えに考えを巡らせ、制限時間が尽きる前に確信できる答えに辿り着いた。


「タイィィムアァァップ!

そレデは首相、お答えをドウゾ!」


首相は自信たっぷりに答えた。

「17世紀、航海士首ラプラスによって召還された、巨大な首の長い海亀に似た、海を支配する力を持った悪魔の事だ!

この悪魔の力を以て航海士は半年にして太平洋の支配者となる事が出来たが、その後部下の反逆に逢い暗殺されてしまった!

オカルト分野のマイナーなおとぎ話さ!」


首相はこれが正解だと確信していたが、当然それは不正解の答えであった。

そもそも航海士ラプラスなど存在しない。いや、話自体が寓話だから当然なのだが、そんな寓話自体何処にも存在しないのである。


その正解は、主に近世・近代の物理学の分野で未来の決定性を論じる時に仮想された超越的存在の概念である。

提唱者はフランスの数学者、ピエール=シモン・ラプラス。

「ラプラスの魔物」或いは「ラプラスの魔」とも呼ばれる。

それは即ち、ニュートン力学とも呼ばれる古典物理学が席巻した近世科学・近代科学において見えていた世界観、演繹的な究極概念、「因果律」なる概念の終着点とでも言うべきものであったが、量子論登場以後は既に古いもの、ともされるようになった世界観・パラダイムである。


ラプラスの主張内容とはこうである。


もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。

– ピエール=シモン・ラプラス 『確率の解析的理論』1812年より抜粋


つまり世界に存在する全ての原子の位置と運動量を知ることができるような知性がもし仮に存在すると仮定すれば、その存在は古典物理学を用いれば、これらの原子の時間発展を計算することができるだろう。

よって、その先の世界がどのようになるかを完全に知ることができるだろう。


と、こう考えたわけである。

この架空の超越的な存在の概念を、ラプラス自身はただ「知性」と呼んでいたのだが、後にそれをデュ・ボワ=レーモンが「ラプラスの魔」と呼び始め、その名称が広まることになったわけである。

この概念・イメージは、未来は現在の状態によって既に決まっているだろうと想定する「決定論」の概念を論じる時に、ある種のセンセーショナルなイメージとして頻繁に引き合いに出されたりもした。


「全てを知っており、未来も予見している知性」については、遙か昔から人類は意識しており、通常それは「神」と呼ばれていたりして、「全知の神」と形容されることもある。

そのような存在についての様々な考察(つまり神の正体を暴く研究)は、様々な文化において考察された歴史があるが、ヨーロッパの学問の伝統においては特に、キリスト教神学やスコラ学が行っていた。

デュ・ボワ=レーモンはそのような学問の伝統を意識しつつ、あえて「神」という語を、「悪魔」という言葉に置き換えて表現している。

(レーモンがどういった考えを持ってそう命名したかは当然知らないが、仮に作者が通称を付けるとしても、悪魔とかそんな感じの名前をつけると思う)


で、後々このラプラスの悪魔という理論ががどうなったかと言うと、20世紀前半から始まった量子力学では、原子の位置と運動量の両方を正確に知ることは原理的(不確定性原理)に不可能であり、原子の運動は確率的にしか把握できない。

全てを知ることは出来ないのならラプラスの悪魔でさえも未来を完全に計算することはできないということになってしまう。

一方、エヴェレット解釈の立場を取れば、観測者も確率とは無縁であり、決定論的であるとする人もいる。その意味では、ラプラスの悪魔は古典的な意味とはまた別の意味で生き続けているとも考えられる。

またコンピュータが実現し、情報科学が進歩した現在では、より具体的な分析をし、情報処理の速度というものを考慮すれば、たとえラプラスの悪魔が全原子の状態を把握していたとしても、その1秒後の状態を予測するのに1秒以上かかったのでは未来を知った事にはならず、間違いなく現実の速度より計算速度は劣るので、ラプラスの悪魔のような知性は、科学的・現実的に見れば絶対に実現不可能、と断定されることもある。

ただ、その場合はラプラスの悪魔が把握していなかった過去を時間をかければ把握できるようになるということであるから、いずれにせよ決定論的考えは残っているわけである。


まぁ、ラプラスの悪魔云々言ってようが首相が不正解なのは決まり切った事実である。

リージョンは嬉しそうに、また悲しそうに不正解を告げ、首相に決定を迫る。

仙田は泣きながら命乞いをしていたが、その内に生きることを諦め始め、最終的には『殺せ。殺してくれ』と、死を望むまでに追い詰められていった。


「仙田君…すまない…」

『いいんですよ…首相…日本には貴方が必要だ……貴方のような総理大臣が…』

「仙田君…」

「アー、ホイじゃ本人たっテの希望とイう事で此処は仙田氏処刑でヨロシーですネ?」

『はい…ですが、その前に首相に遺言を…』

「遺言?イイでしょウ!寧ろ大歓迎ですヨ!大歓迎ですワ!大歓迎ですとモ!」

『では……総理…』

「何だね、仙田君…」

仙田の口から出た"遺言"は、とんでもないものだった。



『鳩谷幸満………。



…手前如きが……手前みてぇな腐れボンボン如きが総理大臣になったぐれぇで粋がるんじゃねぇぞ!?

よくもまぁ易々とこの俺を見殺ししやがって!

兄弟揃って馬鹿高ぇ個人資産でんな豪華な別荘作ってよ!


つっかな、俺ァ大川の野郎に絶望してたんだ!

秘書逮捕の一件で奴が政界から追放されてくれりゃあ国主党(ウチ)もちったぁ安泰だろうと思ってやがったのになぁ!

奴ぁ代表辞めただけで幹事長っつー立場でしっかり政界にこびりつきやがってあの糞汚れめが!

だからな…次期代表が手前に変わった(とき)ゃ、そりゃあもう手前に期待てたんだよ!

それが何だ!?麻田のバカめをぶっ潰して念願だった政権交代を成し遂げたかと思えば、まるで大川の野郎の操り人形に成り下がりやがって!

自我もなくバカ臭ぇ政策押し通して、国民どころか俺達議員にまで苦労させやがって!

これじゃ鳩谷内閣じゃねぇ!大川内閣じゃねぇか!そんなもんやってられっかよ!

それに手前が打ち出した、あの児童ポルノ法って奴よ…アレ通ったらアダルトゲームの大半が販売禁止になっちまうじゃねぇか!

それに何だ。確か何だか漫画だの絵だのの表現がどーたらって法律もあったよな?

テメェよ…ウチの長女が漫画家で、長男がエロゲメーカーのシナリオライターで、次女はイラストレーターやってて家族揃って大の漫画好きだって話、飲み行ったときしてやったの忘れたのかよ?ふざけんじゃねぇぞ!

ウチのガキ共から仕事奪って破産させる気か!この不況のご時世に失業したらどうなるか、手前判ってんのかァ!?

まぁ手前は金持ちだからわかんねーだろうがな!んな貧乏臭ぇ庶民やら、派遣にしか頼れねぇ低学歴連中の事なんぞよ!

ガキと言えばよ…手前にゃあ妻一人に娘一人が居るんだろうがな、俺には妻と一人の息子に二人の娘が|居た(○○)んだぞ?

どういう事か判るか?

そうだよ!殺されたんだよ!

あの人禍って連中が連れてきた太ったマムシの親玉みてぇなバケモンに丸飲みにされちまったんだよ!

あの人禍って連中が連れてきたロボットの兵隊共に撃ち殺されちまったんだよ!

畜生ー!テメェなんぞさっさとその化け物にブチ殺されちまえば良いんd―』


仙田は突如人格が豹変したかのように怒鳴り散らし始めたが、突如自我を取り戻したかのように、その態度が豹変した。


『―っは!?


私は…何を…?』


「仙田君……君という奴は……」

『い、いえ総理!私は何も知らないんです!私が何を言ったか、私自身でも判りませんが…とにかく言ったのは私じゃない!

私はただ、出すつもりもなかった大声を出してしまったという事しか記憶がないんです!

私はそれと全く別のことを言おうとしたんですよ!

貴方の政策はとても素晴らしく、従っていればきっとこの国は救われるだろうと…そう言ったはずなんです!

そうか!きっと私は、何者かによって嘘を言わされていたんだ!

でなければ貴方をそんな表情にさせるような事を、喉が痛くなる程の大声で言うはずがない!』

「では仙田君……君の子供達の職業は、それぞれ何だったかね?」

『は…はい……長女は、漫画家として週刊誌に連載を持っています。

次男はアダルトゲームメーカーでシナリオを書いていますし、その下の次女はイラストレーターとして成功していますが…』

「さっき怒鳴り散らした時も、君はそう言っていたんだぞ?

何者かの細工によって嘘しか言えないのなら、子供の職業だって出鱈目に言う筈だろう!」

『そんな……総理…』

「君に総理と呼ばれる筋合いは無い…死ね!」


―仙田が何かの細工をされていた


これは紛れもない事実であり、彼はハーカーの能力能力『虚実』によって都合良く台詞を改変させられていたのである。

その能力の概要とはつまり、自分の遺伝子を持つ存在が取り付いた物体のあらゆる「動向」を「真実でなくする」というものである。

つまりそれが人間の舌に取り付けばその人間は嘘しか言えなくなり、転がる球体に取り付けばそれは全く逆の方向へ転がっていく。

この能力は一見その物体が動きたい方向と逆の事をすれば解決出来るかと思いきや、能力の本質はあくまで「相手に真実を伝えさせない」という事であるため、取り付かれた物体は決して真実を伝えることが出来ない。

またその行動や言動が複雑であれば有るほど、「逆」は幾らでも存在する為、発言内容をねじ曲げるにしても全てねじ曲げる必要性は無いのである。

更に言えば、取り付くのは彼女自身でもその子供でも可能な為、彼女の身を危険に晒すこともそう無い。

先程もハーカーの子供が一匹仙田の舌の裏に取り付いていた為、彼は自分の言葉をねじ曲げられてしまったのである。


「ハーカー、許可が出たヨ!そのおじさん、殺っチャっテ!」

『はぁ~い。そんじゃ、一気に殺っちゃうかな~』

ハーカーの言葉と共に、彼女の"子供達"が何処からともなく大量に現れては、仙田の全身に取り付いていく。

仙田は極小のダニ達を振り払おうとするが、子供達は人間の抵抗を余裕綽々とかわしながら取り付いていく。

そして最後にハーカーが顔面へ取り付き、こう言った。


『サヨウナラ』


直後、ハーカーの口の中から鋭い針のような者が飛び出て、それが仙田の額に突き刺さった。

かと思えば、ハーカーとその子供達は仙田の身体から一瞬にして一斉に離れ、男の身体は地面に崩れ落ちてしまった。



全身の細胞が実行する「生きる」という事を嘘にしたのである。




仙田の死後も尚、クイズショーは続けられた。

その後も贄として出されたのは名だたる内閣閣僚達であり、正解し救われる者も居れば、不正解で死んでいく者も居た。


そして問題も残すところ後六問だと告げられた、時であった。


「ソ・れ・デ・はァァァッ!続いテの『贄』となって下さる哀れな方をご紹介ッ!」


他の贄達と同じような展開で現れたのは、椅子に縛り付けられた幹事長・大川次郎と、その隣に立つウィナグの姿だった。


「お、大川先生ッ!」

『鳩谷君……私は君を信じている……頼んだぞ』

「はい」


「でハ!早速問題と行キマしょウ!」

テロップが現れ、リージョンが問題を読み上げる。

「理科でO☆NA☆JI☆MIの動物細胞と植物細胞!

コレにはカァァナァァァリッ!相違点がゴザイマス!

シカシその決定的な違いッテぇなァ、一言で言い表せルんですネェっト!

其処で問題ッ!


動物細胞と植物細胞の、決定的ナ違いトォはァッ!

一体全体何でゴザイマショォォォォォウッ?」


その問いに、幸満は考えもせず笑いながら素早く答えた。



「はっはっは!そんなもの決まっているだろう!

葉緑体と細胞壁の有無じゃないか!

この期に及んで君がそんな問題を出すだなんて信じられないよ、リージョン。

君は以前私達に容赦しないと言っていた癖に、心の何処かで優しさによる容赦を考えていたんじゃないか!

何だい?怪物である君さえ、内閣総理大臣である私には怖気づかざる終えなかったというわけかね?

スウェメで虎に勝つ鉄砲が上官に負けるように、人を殺す怪物も権力の前では形無しというわけだ!」


当然、首相のそんな態度もすぐに打ち砕かれる。

何故ならこの答えは不正解だからだ。

正解の答えが何であるか、勿論読者諸君ならば判っていると考えるが、どうしても判らないのなら一度二部の直美とヤールーとの対決を読み直すと言い。


「自信タァァァッぷリに御回答なサッた所悪いンデスけド!

そレ、不正解!不正解なンデスねー!HU☆SE☆I☆KA☆I!」


「なん…だと…?」

「ソォォォンナッ!中学レベルの回答ガァァァァッ?

首相様の回答で許さレるとか思ってルんでスかネェェェェッ!?

許さレナいよネ!ソうだネ!そウダとモ!

貴方ハ内閣総理大臣なんデスよォォォ!?

つマり国民を遙かニ超エた一等日本人ってコトですよネ!

そんな御方ガ!ソンナ安直な回答で許さレルとかアリエナイデショオおおおオガア!


ソーイウ訳で、貴方の回答は不正解っテ事になりますデス!ハァイ!」

「そんな…」

『馬鹿な…』


暫くして、大川幹事長は覚悟を決めた。

『…もう良い…………怪物のお嬢さん、私を殺してくれ…』

『宜しいのですか?』

『あぁ…構わない……その代わり、国民の皆様に謝らせてくれないか?』

『どうぞ』

『国民の皆様…私は確かに、私欲に任せて何も知らない鳩谷首相を操りながら、自分に都合良いように生きていました…。

その事は皆様に深くお詫び致します……これからは、きっと鳩谷首相が日本をより良くしていくでしょう…。

国民の皆様…今後とも、鳩谷内閣を宜しくお願いしま―』


言い終わらない内に、大川はウィナグの能力により惨殺された。



「大川先生ッ!大川先生ッ!」



首相は叫んだが、その言葉には何処か想いが感じられなかった。


「そォれェでェはァ!最終問題と参リまショウッ!」

「最終問題!?どういう事だ?

人禍に指定された鳩谷内閣の閣僚は最早、私を除き居なくなった。

という事は、残る贄は五人程居る筈だろう?十問目を終えた時、お前は残る贄の名簿を見せた筈だ。

それによれば残る贄は…幸恵に、百合子に、父さんと母さん…それに弟の国良!

それで五人だから、残りは五問の筈じゃないのか?」


首相は思っていた。

残り一問だとしても、このリージョンが普通に残り一問一人解放して企画を終わらせるわけはないと思っていたからだ。

残り五問なら、五人の家族と自分の首相としての威厳その他諸々を無事に護りきることが出来る。

しかし、リージョンは言った。


「いやア!普通に考えテレばそウなンデスけどネ?

ソレじゃ何かツマンネェとか思いまセン?

それニ次で最後ってのハツマリ!ツマリツマリツマリツマリツマリツマリィィィィッ!

博打形式トハいえ、貴方は贄にされタ家族全員を、一度に救い出す事が出来るンですゼ!?

それニ!そウシて家族を救ったならバァ、国民は貴方をカッケェェェェェ総理だっテ思うデショウナア!


どうでス!?」


そう、リージョンは最終問題の贄に、首相の家族全員を差し出して来たのだ。

そんなふざけた話が、逢って良いはずがないと思った首相は、何処からか取り出した包丁を片手に、リージョンを思い切り怒鳴りつけた。


「ふざけるなよこの怪物め!誰がそんな掛けなど飲むものか!」

「…つマリ…貴方は通常通り、五問の問題に挑戦ナサルと…?」

「いいや…そんな事などしない……要するにだ、リージョン……この企画の終了条件は……私が死ぬ(●●●●)贄が全滅する(○○○○○○)かだろう…?


…国良を……弟をここに連れて来させろ、リージョン……」

「判りマシたァ!ソレでは、鳩谷国良様の所ニ行っテ居りマス同僚めと連絡を取りまショウ!」


リージョンは何処からか携帯電話を取り出し、ある番号を押して電話をかけた。


「アァー、もシモし?隼人(・・)ォ?隼人(・・)かイ?隼人(・・)なんだネ?」

それは嘗て、第二部でイェロウアイズ・ビリジアンに襲われ悲鳴を上げていた益獣部隊の人員であった。

『そういうお前はリージョンだな?そのウゼぇ程に独特な言い回しは、確かにリージョンだろ!?』

「そうサ!私はリージョン!五死頭の皮肉・リージョンサァ!」

『そうかよ。で、リージョン。お前の用件は?何となくとか声が聞きたかったからとか言ったら吹き飛ばすぜ?』

「アァ!用件!ソウね!イやァ、首相がネ!弟サンを別荘ニ招待したインだッテサ!」

『あのオッサンをか?判った。最長二分待ってくれ』

「アいヨ。ホイジャネ!」


リージョンは電話を切り、首相に向き直る。


「ンマ!アイツの事ですンデ、二分ドコロカあと40秒くライで来るト思いマスぜ?」


そして40秒もしない内に、二人分の人影が別荘の窓を突き破って勢いよく現れた。

40代程の男を抱えた、20代ほどの女…に見えるほど美しい顔立ちの、翼を持った男。

翼を持った男―隼人は、抱えていた40代程の男―鳩谷国良を床に放り捨てた。

「いやア、隼人!YB(イーブ)隊長に頂いタ傷ハモう癒えたのかイ?」

「おう!古藤様の御陰でこの通りだ!」

「いヤイや!君の生命力モ流石だネ!流石だヨ!流石ダとモ!

それニしタッてYB隊長も運がナカッタよネエ!」

「だな。彼はこの計画を誰より楽しみにしてたんだもんなぁ」

「そうだヨね!そうだとモ!それジャ早速最終問題―「あ、兄貴!?何を―ぐぇぁあああああっ!」


リージョンの言葉を遮ったのは、国良の悲鳴と断末魔であった。

見れば、首相の私服には血糊がつき、血まみれの右手には血糊で紅く染まった出刃包丁が握られていた。

そしてもう一方を見れば、そこには首を切り裂かれて死んでいる国良の姿。


「あ、貴方ッ!?なっなっなななんて事したのよッ!?」

「………掃除だ…」

「掃除!?なにが掃除な―

首相は服を掴んできた自分の妻を、刺した。

「幸満!何やってるの!?やめなs―」

更に首相は、それを止めに入った両親を蹴飛ばし、母の胸を刺しては父の首を切り裂いた。

信じ難い光景に、百合子は動くことすらままならなかった。

賺さずリージョンがはやし立てる。

「オォォォットォ!?コレはドォーイゥ事なんでショウ!?

マサカ!?マサカマサカマサカ!?

鳩谷首相はマサカァ!?この企画を終了させる為ニィ!?贄の方々を自らの手にカケヨーといウノでしょウカァァァ!?」

「おいおいリージョン、ありゃあルール違反とかじゃねぇのか?」

「アイや。確かニルール上の企画終了条件ハ挑戦者死亡或いハ贄全滅ダカラねェ!?

まァ、司会の私が死ヌッテのモ企画終了条件ナんだけドサ!」


そんな感じに二人が話し込んでいると、首相はとっくに百合子を殺していた。

保身のために家族を皆殺しにした首相は、叫んだ。


「さぁリージョン!どうだ!?これで贄は全滅したぞ!?お前の巫山戯た企画は終了だ!

さぁ国民の皆様!私、内閣総理大臣鳩谷幸満は、この卑劣漢リージョンの罠を見事破って見せました!

今こそ我ら国民が立ち上がり、人禍と名乗る卑劣なる国賊共をこの国から根絶やしにしてしまおうではありませんか!」

「卑劣漢ねェ…言うジャアないスカ…それジャ、今まデの鳩谷首相のご活躍を御覧にナッテおられタ国民の皆様のお声を、直に聞いテ見チマいまショウ!

日本全国の機関員諸君、インタビューのホゥヨロシクぅ!」


リージョンのかけ声と同時に、別荘内のプラズマテレビと日本全国に浮かぶ全てのモニターに、バラエティ番組等でお馴染みの光景が映し出された。


休戦という事でくつろいでいた一人の中年男に、機械兵が歩み寄り、マイクを近付けこう言った。

『先程の首相が仰った勇敢な御言葉をどう思われますか?』

『どう思われますかだと?決まってるだろ!あの男は総理どころか政治家として―いや、人間として最低の、ゴミ同然の男だ!

例え俺が死んでも、地球が一瞬にして爆発したとしても、あの男が死んでくれれば俺はそれを許すさ!

だが逆に…俺が生き延びても…地球が無事でも…あの男が生きていたら…ましてあの男が総理であったなら…俺は…死んでも死に切れない!


以上だ。次を当たってくれ、ロボット君。

まぁ、どのみち気の狂った奴でも無い限り俺と同じような事を言うだろうがな。』


男の予想は当たっていた。

誰も彼も、首相の存在を否定したり死を願う者ばかりで、今にも殺してやらんとばかりの気迫で迫る者も何人か居た。

子供に笑顔のまま毒舌を言わせた親まで居たのには、流石のリージョンも少し驚いたようだ。

そんな国民の言葉に、鳩谷首相は怒り狂い叫んだ。


「この……口だけの恩知らずども……この…何も出来ない弱者共め!

お前達…総理大臣の重要さを…首相の有り難さを判っているのか!?

我々政治家という神に等しい存在が、貴様等国民などという蟻のような脆く弱々しい雑魚共どもを護ってやる為だけにどれだけ苦労しているか判っているのか!?

お前達国民は、我々の存在がなければ何も出来ない!

飯も、仕事も、金も、家も、人も!冠婚葬祭の全てを司るのは我々政治家であり、そして政治家の頂点に立つのは内閣総理大臣―つまり、この私だ!

その私が、お前達の上に立つこの私が、己の身を案じて何が悪い!自分を大切にして何が悪い!

そもそもこの世とは、上位が下位を統率するものだ!そうだと決まっている!そうでなくてはならないからだ!

そして下位は上位に対し尽くす義務がある!

いや、それは義務などという生温い者ではなく、この世の全てが一生逃れることのない絶対の理だ!

それは何にしても同じだ!

妻は夫の為に、娘は父の為に、親は長男のために、弟は兄の為に…そうあるべきだ!そうでなくてはならないんだ!


リージョン…この気違いの怪物め……どうする?

もう相方の変態は居ないぞ?きっとこの状況に恐れを成して逃げたんだろうな!

あれだけ早く飛べたら、逃げるのも簡単だろうし?

さぁ、イカれた化け物め!この私に命乞いをしろ!

どんな生き物であろうとも、不老不死で滅ぼせない奴なぞ居ない!

お前が言った言葉だったな?

確かにその通りだ!よってお前も死ぬ!殺すのは当然、この私だ!」


長々と怒鳴り散らした首相は、当然リージョンを殺す気で居た。覚悟があった。

しかし、その覚悟は当然、打ち砕かれることになる。


「……糞ガ……」

「何?」

「糞ガ…糞ガ糞ガ糞ガ糞ガ糞ガ糞ガ糞ガ糞ガ糞ガ糞ガ糞ガ糞ガァッ!

ドイツモ此奴モ何ナンダァッ!俺ノ()リ方の何ガ不服ナンダヨォォォォッ!」

「…は?」

「俺ハ真面目ニ授業受ケタイダケダッツーノニ!ソレヲアイツ等ハ何故邪魔スルンダァァァッ!」

「おい、お前何を…」

「何ガ社長ノ息子ダッ!?何ガライオンダァ!?テメー等、何ヲ目的ニ学校来テンダヨォォォォッ!?

ンナ真似スル為ニ、態々家財削ッテ私立入ッタノカヨォォォォッ!?

ソレガ本望カァァァッ!?

糞メ!糞メ!糞メ!糞メェェェッ!」

突如、リージョンのマントの中から4本の腕が飛び出し、計6本となった腕で狂ったように意味不明な言葉を喚き散らしながらそのマントを引き裂いていく。

黒いマントに隠された、リージョンの本体が徐々に露わになっていく。

本体の全貌とは、まさに眼を覆いたくなるようなものだった。

雅子「ねー黒沢さん」

健一「何です?」

雅子「黒沢さんの好きな食べ物って何ですか?」

健一「そうですね…海豚肉の他には、黒飴でしょうか」

雅子「黒飴…以外だなぁ…」

健一「他に、和歌山の特産品であるみかんや梅、柿も大好きですよ」

雅子「なんというフルーティライフ…まぁ良いや、タイトルコール生きましょう」

健一「では…次回『白い巨像第三部』」

雅子「『このお話には、一部作者の本音が含まれています』…突っ込んだら負けかな…」

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