三章 最終話 感謝
最終話です
よろしくお願いします
私の朝は侍女のノックから始まります。
「旦那様、アディル様お目覚めでいらっしゃいますか?」
本日の侍女はシャンテだ、サンディル様がお戻りになった後、スパナートで元々私の専属侍女だった彼女も公爵家に来てもらったの。
「私は起きてるわ、サンディル様、朝のようですわ、お目覚め頂けますか?」
「う⋯⋯ん、ん⋯ん、ん?おはようアディル」
「おはようございますサンディル様。シャンテが起こしに来ましたの、起きられますか?」
「⋯⋯起きる!シャンテ少し待て」
起き上がったサンディル様は私を抱きしめ口づけを顔のあちこちにひと通りした後、シャンテに入る許可を出しました。
毎朝の事とはいえ恥ずかしいけれど人前でないだけましかもしれないですね。
朝食を一緒にとりそれぞれの執務室に移動します。
そうそう、何故当主の執務室が使用人の方に近いのかドーランに教えてもらいました。
メイナードは色々な国から報告が届くのだけど、その方法が相手の状況や国の情勢など、それぞれあったりするので人目に付きにくい所でこちらが直ぐに対処できる物も他に気取られることなく動くためだそうです。
右隣の図書館のような所の奥に隠してある入り口がありましたの。
築200年、そんな前から特殊な家ならではなのですね。
執務が終わると昼食を取り、何もなければ庭弄りをします。
マリーが植物に詳しく庭に建てられた温室では薬草なども育て始めました。
午後のお茶は時間が合えばサンディル様とガゼボでお茶をして少しお話をします。
たまには街でショッピングなども二人で行ったり、結婚まで二人でデートなどしてなかったけれど今は少しの暇を見つけては、サンディル様は私を誘ってくださいます。
夜会がなければ夕食後は二人で部屋で読書などして過ごしております。
毎日、同じ事の繰り返しのようですが、私達は不満などありません。
好きな方と過ごせる事はそれだけで幸せなのです。
それを私は知っています。
もうすぐ私は子供を産むことになります。
だいぶ大きくなってきました。
無事に産まれて来てね。
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♢♢♢♢5年後♢♢♢♢
私の庭に魔法で小川を作りました。
その小さな川を覗き込む小さな男の子、息子のリディラインです。
サンディル様にオタマジャクシを教わっております。
捕まえようと必死に手で掬うけれど未だ成功しておりません。
服をビショビショにして親子で夢中です。
私の横には、私の作ったクッキーをミルクに何度も付けて必死に食べてる女の子、娘のオリビアです。
そしてお腹には新たな生命がもうすぐ産まれます。
「お母様、僕もう疲れました。絵本を読んでください」
オタマジャクシに飽きてしまった親子はお絞りで手と顔を拭きながらこちらに歩いて来ます。
「ばっちぃよぉ、だぁめよ、おにちゃま。パパもだめー、ばっちいと赤ちゃんめーよ」
「ごめんよオリビア。そうだな、リディお風呂に入ってから絵本はお父様が読んであげるよ。お母様は赤ちゃんがお腹にいるからね、清潔にしてないと近づいたら駄目だな。オリビアがちゃんと覚えていたよ」
「はい父様、お母様後でお部屋に行ってもいいですか?」
「サロンにいらっしゃい。おやつを用意しておくわね」
サンディル様がリディを連れて邸に戻ります。
私もオリビアを抱きしめて「守ってくれてありがとう」というとオリビアは照れながら「いいのでしゅ」って、可愛い!私の子供。
私は物心ついたときには家に血の繋がらない姉がいて、父も母も祖母も祖父も、それぞれが考えながらの特殊な子育てをされていて、普通と違う事を幼いながら気づいていました。
辛いこともあったけど私が忘れていただけで楽しい思い出も沢山あった。
私は好きな人と結婚できました。
それが尊い事なのだと気づかせてくれたサンディル様の過去戻り。
これからも幸せな日々を噛み締めて過ごして行こうと思います。
サンディル様、無事に目覚めてくれてありがとう。
これからもよろしくお願いしますね。
心の中で感謝を込めて。
「長い眠りのその後で」は、ここで完結致します。
また番外編を出すことがあるような、ないような(笑)
三章まで長いお付き合いありがとうございました。
読んで下さった皆様に心より感謝申し上げます。
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maruko




