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【完結】長い眠りのその後で  作者: maruko
第三章 長い眠りのその後で

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第十六話 私の出した答え

よろしくお願いします

side キャンベラ (スパナート伯爵令嬢)


私の最初の記憶は掌にりんごを乗せてくれた女の子の優しい笑顔。

孤児院のみんなに「はいどうぞ」と言って乗せてくれる。

そのお姉さんはお祖母さんとよく来てくれてて笑顔で接してはくれてたけど手を握ると体が強張ってたのが印象に残ってる。


その後の事はあまり覚えてないけど私はそのお姉さんの家に引き取られた。

引き取られて最初の頃の事はよく覚えてないけど伯爵家では大事にされていた。

と思ってたんだけどお姉様がお父様とお母様は私達の事が嫌いなんだってよく泣いてた。


私はそうかなぁ優しいけどなぁって思ってたし私はともかくお姉様は本当の子供なのになぜ?って思ってた。

そしたら「内緒よ」と言ってお姉様は自分はここの家の子じゃなくて王族なんだって言ってた。

びっくりしたよ、何でお城に住んでないの?って聞いたら言いたくないんだって。


絶対に誰にも言ったらだめって喋ったら二人とも追い出されるって言われちゃったから黙ってようと思ったの。

だってキレイな服や美味しい食事は孤児院では出ないもん。


そんな子供の頃の記憶を辿る。

何故か私は子供の頃はよく、したくもない事や言いたくもない事が勝手に口から出たり手が出たり不思議な事がよく起こっていた。

そんな時お母様が近くに居ると直ったりしたから私は母にくっついていたかったけれどお母様に嫌われるわよってよくお姉様に言われたので我慢していた。


実際にお母様は私と一度もお茶会には付いて来てはくれなかったから少し嫌われていたのかもしれない。

アディルやアンディーは私にとって義理でも弟妹で、とても可愛いのに何故か二人に対する時ほど体が言う事を聞いてくれない。

だからあまり近づかないようにしていたの。


それでも強制的に近づかないといけない時もあってそんな時は二人とも魔法を使って私を追い返してくれるから酷い事を言うのも途中で遮られてホッとしていたわ。


私はきっと病気なの、でもそんな病気持ちは直ぐに追い出されるって思ったから誰にも言えなかった。


お姉様が結婚した時、私も学園を卒業したら結婚するものだと思っていたら、父母も祖父母も私の行く末はどうでもいいみたいで結婚の話しはひとつも出なくて、益々いらない子なんだと正直いえば悔しさが大きかった。


夜会で会ったお友達達もどんどん結婚して行くから私の周りには、私よりもアディルに近い年の子ばかりで夜会も全然楽しめなかった。

それにアディルの悪口が夜会で噂になってたみたいで、私が気づいた時にはその噂は私が言ったことになってた。

違うと否定してもみんな信じてくれない。

結婚してない事で私が伯爵家で虐げられてるとか言われて、そんな事無いのにお祖母様もお祖父様もとてもよくしてくれてるのにと、思っても実際に結婚の話も勧めてくれないのだから、やっぱりそういう事なのかなって悲しくなった。


将来に夢も希望もないなと思っていた23歳になった時、突然降って湧いたように縁談が持ち込まれた。

お祖母様とお祖父様から「待たせてしまってごめんね」と謝られながら頂いたお話は後妻の話だった。


最初はやはり嫌われてるからと思ったけどお相手が公爵様と聞いてびっくりした。

だって伯爵家とはいえ私は養女なんだから調べれば孤児院出とわかるはず、それなのに公爵家との縁談を持ってきて下さるとは思わなくて、嬉しくて泣いてしまった。


直ぐにでも結婚したいからと(私の歳を考慮してくれたみたい)婚約して2ヶ月で結婚した。

結婚式にはお母様が悪阻が酷くて遠い所にいらっしゃるお医者様の所で出産する為に父母は来れないと言われたけれど、弟妹達は来てくれた。


できればお父様には来て欲しくて私のウェディングドレスを見て欲しくて、願ったけれど来てはもらえなかった。

でも二人からとても豪華な花束が届いて嬉しくて泣いてしまったの。


公爵様は10歳も上の方で初めは緊張したけれどとても優しい方だった。

何故か私は公爵家に嫁いでからは体が勝手な行動をする事もなくて心穏やかに過ごすことが出来たの。


そんなある日お姉様が旦那様と尋ねて来られて、私へ謝罪を始めたのでびっくりしたのだけど、話を聞いてなんとも言えない気持ちになってしまったの。

お姉様は魔力持ちだったみたい。

全然知らなかった、そしてあろうことか私はお姉様に精神を支配される魔法をかけられていたんだそうです。


しかも最近まで⋯⋯。

お姉様も誰かに洗脳されていたという事だけど私はどう答えればいいのか解らなかった。

許せないって気持ちのほうが強いの。

だから謝罪は受け入れたけど許すことは出来ないって言ってしまった。


旦那様は優しくそれでもいいんだよって言ってくれて私の気持ちをわかってくれた。

いつかは許せるかもしれないけど今は無理だわ。


それから暫くして今度は父母が訪ねてくれたの。

とっても嬉しかった。

弟が生まれて家に帰ってきてたのは知ってたけど私が訪ねて行ってもいいのか解らなくて、お祝いだけ贈ってたんだけど二人が来てくれるなんて、感動して泣いてしまったわ。


それから父が大事な話があるからって言って話してくれたのはとんでもない話だった。


私が侯爵家の娘で誘拐されて捨てられていたなんて、しかも取り替えられていた上に切り刻まれた産着のせいで平民の子は死んだと思われて探すことも無かったって。


私は言葉が出なかった。


何故私はこんなことばかり起こるの?

私が何かしたの?

私は、私はこれからどうすればいいの?


無意識に心の葛藤を口にしていたみたい。

父母はなんとも言えない顔になっていた。


「君はこれから公爵夫人としてこの家を切り盛りして、私やこの邸のみんなに愛されて、そしていつか可愛い子供を産んで。そうだねこれから幸せになればいいんだよ」


旦那様が優しく頭を撫でながら子供に言い聞かせるように話してくれました。


私は()()()居てもいいのね。

ずっと居てもいいのよね?


お父様とお母様に私は言いたかった事を言います。


「お父様、お母様。長らく育ててくださってありがとうございました。私は幸せな縁を頂きました、これからはここでしっかりと生きていきます」


心の澱みがスッキリと洗われたようにとても気持ちよく言うことが出来ました。

旦那様ありがとうございます。

ここまでお読み頂きありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。


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