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【完結】長い眠りのその後で  作者: maruko
第二章 サンディル過去戻り編

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第六話

よろしくお願いします

2、3日してダンテ会長がティーナを訪ねてきた。

そこでジョイ達を埋葬してきたとティーナに告げる。

今は命を狙われてるし子供も危ない。

何年かして落ち着いたら一緒に墓参りに行こうと言っていた。


ティーナは今度は泣かなかった。


「ジョイの分までこの娘を守るのが私の役目だわ。お義母様が私にしてくれたように母の愛をこの娘に注ぐの」


ティーナの誓いが胸に痛い。


ダンテ会長がティーナに話があるんだと言って長い話を始めた。

それを俺も聞かなければ。


「昔過ぎて何年前だろうな。わからなくなるよ。

ジョイの母親は私の本当の妹ではないんだ、彼女は幼馴染でね。ジョイの父親もそうだ。

3人で良く遊んだ。私の祖父が既に商会を立ち上げていたし、私の父の兄弟も王宮で働いたり、役人だったりしてたからさ。うちが裕福なのもあってジョイの父親ジョセフの母親がうちを頼って来たんだ。父の従兄妹だと言っていた。キレイな人だったよ」


会長がお茶を口にする。


「ジョセフも連れてきてたから本当に小さい頃から私とジョセフは一緒にいたんだ。

そのうち隣に住んでたジョイの母親キャリーも一緒にね。そのうち2人は恋に落ちて結婚してジョセフもうちで働きながら生計を立ててた。

ジョイが産まれる少し前にジョセフの母親が王宮に呼ばれて王城でそのまま亡くなったと連絡が来たんだ」



「引き取られた遺体は酷いものだった。

全身にムチで打たれた後があったよ、何故か私の祖父と父はジョセフには見せずに私に見せた。

そして言ったんだ「これが王家のやり方だ、お前も心してかかれってね」

そしてジョセフ親子の身の上を聞かされた。

ティーナ、君も聞いておくんだ。

この娘は王家の血が流れている例え庶子でも」


驚くティーナ、娘を抱きながらハンカチを握りしめている。


「ジョセフの母親は王宮で文官として働いていた時にその時の陛下に見初められた。2代前の陛下の事だ。

でも側室にするには身分が低すぎた、だからジョセフの母は断ったんだ。でも諦めない前々陛下に離宮で囲われたんだ。その時の王妃様が大変なご立腹でね。

元々気性の荒いお方だったらしいのだが、ジョセフを身篭って何度も命を狙われるから、前々陛下が避難させたんだよ。そして彼女と子供に手を出したら王族なのに離縁するという誓約魔法を結ばせたんだ」


誓約魔法、なるほどだから生き延びれていたんだな。


「でも前々陛下が亡くなった途端にジョセフの母親は鞭打ちの刑だと言って殺された。これではジョセフもキャリーも危ない。それでだまし討の形ではあったが私の父が前々王妃様に誓約魔法を仕掛けたんだ。

その時にジョセフとジョセフの母がもらえる遺産がある事も解ったからそれも組み込んだ。

だがここに盲点があったんだよ。

前々王妃は手を出せないが他の者は出せるんだ、それでジョイが10歳の時にジョセフが馬車に轢かれて亡くなった」


会長が一息つく。

俺は結構頭が混乱していたが少し整理する。

俺の曽祖父が見初めたのが原因で曾祖母が嫉妬して執拗に命を狙ってたって事か。

ジョイの父親を馬車で轢いたのもミント伯爵が裏で糸を引いてたんだろうな。

姉の為に。


「ジョイは生まれた時から危なかったからな。

でも私の父が生きてる限りは大丈夫だった、そして君と会って恋をしたんだよ。

ジョイには20歳になった時に全てを話した。

その頃には前々王妃様はかなりお年でいつ死んでもおかしくなかったからね、遺産の話もしていたんだ。

君がスパナート伯爵との婚約の時も遺産を貰って君とキャリーを連れてこの国を出るって言ってたんだが、なかなか前々王妃は亡くならなくて。

君を救うのが間に合わなかったんだ。悔やんでたよ。

先に攫っておけばよかったと後悔してた。

君も知っての通り半年前に私の父が亡くなった、でも前々王妃様は既に亡くなっていたから私達は油断した。

ジョイも油断してたのかもな。まさかそこまで執拗に狙ってくるとは思わなかったんだ」


俺はその血を引いてるのか⋯⋯。

自分の血が恥ずかしい。


「おそらくは今後その娘が危ない。

だから安全な場所に避難させようと思うんだ。

ミラー侯爵家が前々から乳母を探してたんだが決まった女が産み月を誤魔化していて、生まれてくるのはまだまだ先なんだ。

乳母の役目を担えないから馘首にしたそうなんだよ。

ミラー侯爵家なら、しかも乳母なら住み込みだし当主には私が事情も話しているから、ミラー侯爵家に行かないか?子供と二人で」


「会長様、何から何までありがとうございます。夫と義母の分までお礼申し上げます。

ミラー侯爵家にお世話になります」


「そうか、それなら早い方がいい。

少し体はきついかもしれないが明日には行こうか」


ティーナが涙ぐみながら頷いている。

それから会長はティーナが着る服や赤ん坊の服など必要な物を荷造りしていった。

誰もここには通さないつもりなんだろう。

会長自ら動いてる。

あの服とかも会長が揃えたんだろうな。

会長は独身を貫いていたからひょっとしたらジョイにあとを継いでもらいたかったのかもしれない。


次の日、2人はミラー侯爵家に着いた。

当主と夫人に挨拶をして乳母の部屋に入った。暫くするとミラー侯爵家の娘を連れて侍女が来る。

その娘にティーナがお乳を飲ませてる。


あの娘が俺と同い年の侯爵家の娘か。

と、見ていたら突然侍女がティーナの後ろから何かを含ませてあるんだろう、ハンカチで口と鼻を塞いだ。

一瞬魔法が発動仕掛けたが間に合わなかったようだ。


それから侍女は不思議なことをした。

今まさに乳を飲んでいたのが侯爵家の娘だ。

その娘を抱き上げ、そしてベッドに寝ていたティーナの子供の横に置き、2人の衣服を取り替えた。

そして侯爵家の娘を抱き上げ窓の方に行く。

窓の外にはアッパール夫人がいた。

お金と赤ん坊を交換している。

とんでもない物を見せられた。


赤ん坊の取り替えだ。

その後ベッドに寝ていたティーナの娘を倒れているティーナのそばに置く。

そして先程のハンカチを自分の鼻と口に当てハンカチをその辺に投げたあと意識がなくなったようだ。


ではあのミラー家の娘が王家の血を引く娘なんだ。



ここまでお読み頂きありがとうございます


面白いと思って頂けましたら評価・ブックマークなどいただけますと今後の励みになります。


次回もよろしくお願いします。

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