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グランディ王国物語(旧タイトル 思いこんだらの後のあと。(三作目)  作者: 雷鳥文庫


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そうだね、可哀想ってことは。

「兄上!まだ馬鹿なことを言ってるんですか!」

「レイカ様にはとっくに断られてるでしょう!」

セバスチャンの弟たち、ツインズが現れた。


「いや、しかし、彼女の位が上れば

父上達だって、」


「…以前、王妃様の怒りでうちがお取り潰しになろうかと、もちろん兄上も失職の危機にあった時、」


「レイカ様が助けて下さったと聞きました。

それなのに。うちの父たちは感謝もせず、」


「兄上が結婚したいと言ったら大反対。」


「しかも、他の縁談を用意して、そこのお嬢様が

レイカ様に嫌がらせをしようとして返り討ち。」


「申し訳ありません。」

「兄に変わってお詫び致します。」


交代で謝罪してくれる、マーズ&マーグ。


「だいたい兄上はリード様のご紹介のご令嬢と

お付き合いなさってますよね。」

「形だけだよ。」


ええー⁈


ドン引きする一同。

「レイカ様、私は。

いつもリード様の近くにいたので、媚を売って寄ってくる令嬢たちには慣れていました。

…もちろん目的は私でなくて、私と仲良くなってリード様に取り入りたい人がほとんどでしたけど。」


それで?


「だけどね、レイカ様。あなたは違った。あなたは私にもリード様にも興味はなかった。

ただ王妃様のお相手をしていただけでした。

そして、あっさりばっさりとした言動。

あなたといると楽しいんです。」


しまった!いつのまにか、

「おもしれーヤツ

の枠にはいってしまっていたのかっ!!


「兄上、それじゃ今お付き合いされてる、

ジェーン・ドゥ令嬢がお気の毒ですっ!」


うわ、お名前もお気の毒かも。


「それにね!兄上はまだ伯爵家の三男にしか過ぎないんですよ!」

「それをまあ、ご自分で子爵になられるレイカ様にどこまでも上からの目線!」


本当にそうだよ。

良くあんな価値観の家庭で、君らはまともに育ったなあ。

えらい、えらいよ!ゴット○ーズ兄弟。


「それは今関係ないだろ?」



「あー、もう!

レイカ嬢、引導を渡してやって下さい!」



言いたいことはある、正直、

ののしってしまいたい。

1番私を差別していたのはセバスチャンさん自身だと。


だけど。それでは何も解決しない。



「セバスチャンさん、

私は常々おもってたんですけど、」

私の中のととのうくんよ、出てこい。


「何を常々思ってたんですか?」


よし、ノリいいぞ。


「仕事仲間って、同性だと上手くいくのに、

どうして異性だとややこしくなるんでしょうね?」


「え?」


「だってそうじゃないですか。

最初、私が貴方に助け舟を出した。

貴方はそれに感謝をした。

これが私が貴方より、歳上でしかも同じ部署の男性だったとします。

貴方は私に感謝し、慕ってくれたはずです。

兄貴までは呼ばなくても、先輩と慕ってくれて。

その後も細かな気配りをして仕事をスムーズにしてくれたのでは。」


「…。」


「またはその人がわたしと同じ、料理担当の場合。

直接な業務のかかわりはないから、

その場で感謝をしてもそれっきりだと思うんです。」


双子たちも神妙に聞いている。


「しかし、今回私は異性だった。しかも貴方と年齢的にも結婚可能だった。貴方は私に好意を持った。

それで、普段は関わらない業務でもある筈だったにもかかわらず、

貴方は根まわしをしたり、余計ないざこざを起こした。


ねえ。私はただ仕事がしたかっただけなんですよ。

どうか、ビジネス(仕事)と色恋を一緒になさらぬよう。」


セク○○ー部長だよ、私は。


「……。」


「初めにお仕事を下さったのは感謝しています。

しかし、その後の兵糧攻めはいただけません。

あのお金でやっていけましたか?」


「…すみませんでした。自分の身に降りかかってわかりました。」


「ああ、あの時!」

「兄上がいつもの美容院に行けなくて、激安カットで髪がガタガタになってたときかな!」

「半額シールを柱のかげから貼られるのを待ってらした時でしたね!」



わあ、もうやめてあげて。

セバスチャンのライフはゼロよ。


「ではこれからは同僚としてやっていきましょう。

お互い王妃様の所では顔を合わせるのですから。」


それから、と声を強めていった。

「貴方と結婚することはありません。」


「はい。」

というセバスチャンの声はかすれていた。


ふう、これで大丈夫だと良いんだけど。


つるかめつるかめ。





「助け船をだそうとしたけど、自分で上手くやれたみたいね。感心、感心。」


寮の手前で、アンちゃんに声をかけられた。


アラ、ミテタノネー。


「これで収まるといいけどさ。」


「そうだねえ、あいつ面倒くさいやつだからなあ。

で、叙勲受けるの?」


「なんかそれも面倒になってきたわ。」


「では、俺が連れ出してあげようか。」


オネエ言葉は封印されてる。

でも、目はとても涼やかだ。

その目をじっと見つめ返した。



「出て行きたいときは、自分で出れるよ。

でもね、その時は

一緒に街で食堂をやらない?」


うん、多分家族愛に近いと思う。


自分が言ったことがかえってきたかな。



「あっ…⁈ああ!!」

アンちゃんは目を丸くした。


「…いいね、それは!」


そしてくしゃっとした顔で笑った。


その表情は歳相応でとても晴々としていた。




終。

とりあえずこれで終わりです。

途中まではセバスチャンエンドのつもりでした。

どうしてこうなった?


この後番外編があります。


読んで下さった皆さんに感謝を。

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― 新着の感想 ―
セバスチャンエンドではないことを知ってから読みだしたので、まさか途中まで迷っていらしたとは。 あまりにも貴族根性丸出しなので、そこはセバスチャンに行かないための性格設定かと。弟はわかってるのにね。 本…
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