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グランディ王国物語(旧タイトル 思いこんだらの後のあと。(三作目)  作者: 雷鳥文庫


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ありがたき幸せ

「ヴィヴィアンナ様。お招きありがとうございます。」


「エリーフラワー様、来ていただき光栄です。」


まわりから、ザワザワと声があがる。

まだこの二人の不仲説を信じてるひとがいるようだ。

「今日はね、私の大親友のレイカさんにくだらない嫌がらせをした人に請求にきましたの。」

「え、何ですか。信じられないな。」


信じられないのはこちらである。

この一連のやりとりは

さっきの子猫ちゃん発言もすべてエリーフラワー様の台本なのである。

ナチュラルに演技をこなす、二人、凄い。

(ちなみにヴィヴィアンナ様は、

子猫ちゃんなんて、そんなに恥ずかしいこと言うんですか?

わざとらしくないですか?

と、言ってたのに。

流石である。

あの流し目とウインクはアドリブだった!)


「ええ、何かね、高級ピザを50人前送りつけたそうですの。

あまりに高額で友人の私が建て替えたのですわ。」


「なんだって?見せて下さい。

…コレは!

高額ですね、それをレイカさんに払わせようと!?ひどいな。」


下を向いて顔を振る、ヴィヴィアンナ様。

おや?顔色を悪くして震えてる娘さん達がいる。



「なんだかこだわりの特製MIXピザなんですって。

コ・イー・ワイ牧場のチーズ。サラミ。

トッピングに金粉。

エビは特にこだわって。

海底を行進してる、

先頭集団の海老しか使わないらしいですよ。」


おや、こちらにもロブスターマーチがあるのか。


「それでねえ、誰が、そんな無体なことをしたのか調べましたのよ。

王家の影も使いましたの。

レイカさんのためはともかく、私のためなら

心よく皆さま調べて下さいますのよ。」


「そうだね、軽いイタズラでは済まない金額だ。

私も抗議する。」


「私も取引はご遠慮するわ。化粧品も引き上げさせていただきます。

フクロウ印の合格祈願グッズも売りませんわ。」


とうとう泣き出した乙女たち。


「ごめんなさい。」

「ヴィヴィアンナさまあ、嫌わないでくださああい。」

「エリーフラワー様、ウチとの取引きを切らないでくださいいいい。」

「うちの弟、受験なんですう。」


「それからね、誤解してる人もいるようだけど、

彼女とリード様の側近のセバスチャンとは、

何の関係もないよ。

その噂でお互いに迷惑をしている。

彼には我が夫でもあるリード様が、

適切な相手を選ぶはずだ。」


嫌がらせなんかする人ではなくてね。


それを聞いてまた泣き崩れる少女たち。


(後日それを聞いたセバスチャンさんも

座りこんだと聞いた。王子妃としての発言は

重い。)



一件落着。

エリーフラワー様は嫌がらせをした令嬢の家に

ピザ代の請求、

嫌がらせへの慰謝料請求、

器物損壊への(トゥシューズとか)

補償、など。

もぎ取って下さった。

良かった。


普段仕事してる時は

フクロウ印のワンポイントがある服を着用するようになった。

エリーフラワー様が仕立ててくれたのである。


私が知らないだけで今まで、

廊下を歩く私の足元に

足を引っ掛けて転ばせようとするひとたちがいたらしいが、

その前にヤー・シチやオー・ギンに排除されていたらしい。


(そういえば時々。

ごめん!

ばたんきゅーとか聞こえてきたな。あれは当て身をくらわせてたのか。)


だが今はこのフクロウ印を見て、

みんながさあっと道をあける。

モーゼか。

葵の印籠か。



今日はエリーフラワー様のところへ来ている。

あと四ヶ月で出産だ。  

最近は食欲も旺盛になられた。

「カツが食べたい。

以前言ってたミルフィーユカツ。」


薄切りの豚肉を重ねてあげる、お財布に優しいカツである。

「中に何をはさみますか?チーズ、ニンニクスライス?」


「両方。二つ作って、ダーリンと半分こする。」

「それは良いでごさるな。片方だけニンニク臭いと

気まずいですからな。」


夫婦仲良しで結構である。


「ヴィヴィアンナ様が面会をご希望です。」

マーズとマーグが現れた。


「突然すみません。」

「どうかなさいましたの?」


「まだ公にはしてませんが、実は懐妊いたしました。

乳母を引きうけて下さる、エリーフラワー様には

すぐにご報告をと。」


白い頬を薄い紅色に染めて、

美貌の王子妃は告げた。

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