持つべきものは。
「では、私からもレイカ嬢にドレスを送りましょうか。」
流石に麗人。涼やかな声で一瞬で場の雰囲気を変えた。
ヴィヴィアンナ様!?
「私とお揃い?までいくと大袈裟か。
似た感じのドレスにしましょうか。」
ええええー!嬉し過ぎます!!
「そうね。ドレスメーカーを呼びましょう、
やだわ、ワクワクする!
娘がいなかったからこういう機会がなかったもの!!」
「私たちの庇護の元にあると、もっと知らしめたほうがきっといいのです。」
「そうですな。」
「侍従長。例の話か?」
「そうです。リード様。セバスチャンを婿にしたいという話はいくつかございます。
それで、レイカ嬢に嫌がらせを。」
えっ、やだ。
「もちろん、だいたいは影のものが排除しております。」
「そ、そんな?」
セバスチャンは蒼白だ。
「もしかしてこないだ多量に出前が届けられたのは!!」
自宅の寮に五十人分のピザが届けられたのだ。
とりあえずエリーフラワー様のところへ持っていった。てっきり誤配と思ったのだ。
※筋肉自慢たちがおいしくいただきました。
(お代はエリーフラワー様が払ってくれました。)
私も美味しくお相伴に預かりました。
「トゥシューズの中に画鋲が入っていたのも!?」
「そんな60年代から70年代のベタな少女漫画的嫌がらせを!!
でなくて、怪我はなかった?」
「アッはい。見えるほど山盛りに入っていたので
気がつきました。」
「え。」
「分別して小さい金属なごみに出しました。
面倒くさいから、やめて欲しいですね。」
まあトゥシューズは学校の授業用に買ったので
もう要らないのだ。
「そんな問題ではないだろう、、セバスチャン、
どうせレイカ嬢の給料もそいつらが、
一緒じゃないと不公平とか言って来たんじゃないのか?」
「…実はそうです。」
はあーーっとため息をつく、リード様。
「おい、セバスチャン、もう誰かと婚約しろ。
レイカ嬢は脈がない。迷惑ばっかりかけてるだろ。」
「い、いやです。」
「偽装でいい、偽装で。
良く物語であるだろ、契約で婚約者になったりする奴。」
「そんな!
初め期間限定だ、契約だ、なんて言っておきながら、結果的に
そこそこしあわせになって行く奴じゃないですか!」
…しあわせになるなら、いいじゃないか。
王妃様が
なろうで見たわね、そういうの、とつぶやいた。
「エリーフラワー様を呼びましょう。
彼女もドレスを送ってくれると思います。」
「…!あ、ああっ、才女様まで加わってくれれば。100人乗っても大丈夫だ!」
リード様、それ、物置きの強度。
エリーフラワー様が絡むと混乱されるようだ。
半時後。
「もちろんですわー!
呼んで下さってありがとうございます♡
レイカさんのタメなら、
フクロウ印をあしらった、ドレスを何枚でも!」
「それならエリーフラワー様が後ろについていると分かりますね!」
「それに、ヴィヴィアンナ様。お茶会を開きませんこと?」
「それで、私たち2人が参加するのですわ!
この場合、ドレスはあえて、
王妃様から下賜されたものにしましょう。」
速攻でお茶会がヴィヴィアンナ様主催で開催された。
ヒソヒソ。
(あの人って、ただの男爵令嬢ではなかったの?)
(王妃様が以前お召しになったドレスきてるわ?)
(あの刺繍、間違いない。)
「やあ、子猫ちゃんたち。」
おおー!!今度はリアル猫ではなく、
貴族のお嬢様方への発言だ!!
きゃあああっ、ヴィヴィアンナさまあっ!!
悲鳴のような歓声が巻き起こる。
流石だ。ホントに流石だ。
この人以外が子猫ちゃん、と婦女子を呼べば
さぶいぼが立つ。
その後の流し目からの
バチン
ウインク。のぞく、白い歯。
本当。どこかの組のトップスターのようだ。
ああっ、素敵。
よみがえる前世の記憶よ。
ヅカの友の会、ランクはプラチナでした。
「私の親友のレイカ嬢に何か?
彼女はね、王妃様のお相手、とても頑張っているんだよ。」
ふう、とそこで切ないため息。
「それなのにね、彼女を誹謗中傷する人達がいるみたいで、私はとても心をいためてるんだ。」
「まあっ。ヴィヴィアンナ様を苦しめるなんて!許せませんわ!」
「万死にあたいしますわ!」
「処す。」
そこで1人1人の目を見ていくヴィヴィアンナ様。
「ありがとう、君たちの中にそんな心が貧しい人達がいるとは思えない。
…信じていいんだね?」
花の様に微笑む麗人。
「はいいっ♡」
今日はあえて男装でいらしてるのだ。
効果はばつぐんだ。




