嵐を起こして。すべてを壊すの。
もうこんな国際問題は私の手にはおえない。
どうすりゃいいの。
ヴィヴィアンナ様は蒼い怒りのオーラに包まれて
退出された。
あの方がこんなに怒るなんて。
「まず、エリーフラワーさまはラブラブです。
彼女の方から交際を申し込みました。
私はその場で見てました。
ヴィヴィアンナ様は周りの六つの国の言葉がお話しになられ
歴史にもお詳しい。
幼少期から厳しいお妃教育に耐えられました。
王妃様は生死の境を彷徨われました。
6年たっても傷が痛むそうですよ。」
「こんなことは王宮みんなが知っております。」
おお、アンちゃん。
遅いじゃないのよー、泣きそうだったよ、
おばちゃん。
「アメリアナ。私たちは話をする必要がありそうだ。」
「アラン様。」
アメリアナ様が弾かれたように振り返る。
良かった。アンちゃんが、アラン様を連れてきてくれた。
「行きましょう。さ、アンディ、レイカ嬢をお送りしろ。」
「あんなに思ったことをポンポン言う王族とはね。」
アンちゃんはただ気の毒だよねと言った。
「何でそんなに上から目線なんでしょうか。」
「半分は道具にされてるね。
ろくに護衛もつけずに、フラフラ。
彼女自身が軽んじられてるのをわかってるんだろうね。
まあ、それと同じくらいウチの国も
馬鹿にされてる。」
あーあ、シリアスなアンちゃんだ。
「ヴィヴィアンナ様を怒らせるなんてね。
彼女に嫉妬してもどうしようも無いだろうに。」
「アラン王子様との仲はどうなんですか?」
「あの人は口に出さないから。
カレーヌ様と接触させたのは裏目に出たね。」
視線を感じると、タマちゃんがこっちを見てた。
顔を半分隠してる。可愛い。
やはりこれは猫ならでは。
カレーヌ様かあ。
まきこまれないといいけど、と暗い声でつぶやいていた。
アンちゃんの予感は当たった。
「だって、カレーヌ様がそう言ってたのですもの。
ヴィヴィアンナ様は綺麗なだけな人寄せパンダ。
エリーフラワー様は無理やりに、
護衛騎士と結婚させられたって。
だからうちの国に来ていただいてお助けしようと。
王妃様は癇癪待ちで王様に幽閉されてるって。
違うの?そうでしょう?ウチの国ではみんなそう言ってるわよ?そんなしょうもない国だけど仲良くしてあげるって。アラン様だけは見どころあるからって。」
‥カレーヌ様は似たような事は言ったのかもしれない、
しかし、それはここだけの愚痴だったはずだ。
リード様と結婚出来なくて
傷心してた彼女の。
「ここまで来ると、あの子、自爆を狙って送り込まれたと思うわね。」
「エリーフラワー様。」
あの後私はエリーフラワー様のところに送りこまれた。
彼女は六月に出産を控えている。
色々世話をしてやって欲しいとのことだ。
「マタニティドレス?授乳用ケープ?
なるほど??」
私から聞いた知識で
「誰かあ、紙と鉛筆持ってきて。」
さらさらとその場で書き起こす。
「授乳時は
前あきの服が。母乳パットが。
あらこれはこないだの吸水シートが使えるわね、
誰か、紙と鉛筆を。」
ああ、すごいなあ。
彼女が開発したものは外国にも輸出されている。
ホワイトニングのシロイーナシリーズなんか、
プレミアがついてるくらいだ。
お土産は政府の公認の正規店でどうぞ。
「やはりね。マークをつけたことで偽物との判別ができるわね。」
私は彼女のグッズを売りだすとき、
イニシャルとフクロウを組み合わせるといいんでは?と言ったことがある。
(*第二作、思いこんだらの後を読んでね。)
それでの採用なんだけど、
偽物はフクロウがミミズクになっていたりする。
なんで、余計なものを足すかな。
「隣りは2人姫がいだけど、途中でアメリアナ様に変わったの。初めは姉姫の方だったの。
ま、出来が悪い方を押し付けられたのよ。
色んな意味で処分したかったんだと思う。
ネガティブな事を沢山吹き込んで、
爆弾発言を誘ったのね。」
「そんな。」
「そしてね、彼女の失言がもう国中に広がってる。
どこが広めたかわから無いところが、嫌ね。」
「彼女の護衛もやる気が無さそうでしたから。」
事故が起こってもいいと思ってたのか。
「どっちしても、彼女は王妃には向かない。
ここの王族の悪口をここで言うなんて。
王様が厳重に抗議したみたい、ご結婚はなくなるわ。
私も抗議した。そちらには何も売らないと。」
それは慌てたろう。
「アメリアナ様はもう帰国されたのですか?」
「向こうの国は引き取りを拒否したわ。」
ええっ?!
「それはおもてむきで、ちゃんとあちらの
修道院に送り届けられてるわよ。」
良くご存知で。
「さて、出て来たら?」
「すべてお見通しなんですね。」
そこにはアンディ様に連れられて、青い顔をした
カレーヌ様がいた。




