いやはや、なんとも。
にこにこにこ。
セバスチャンさんは一週間の謹慎から帰ってきた。
それからずっと、私に対しては
スマイル満開だ。
「もう、私の気持ちはバレてしまいましたから。
好きになってもらうように努力します。
レイカさんの意にそえば、結婚、ありですからね。」
そうなるのか。
…面倒くさい。
「何あいつ、気持ちわるい。ニタニタしちゃってさ。
真面目さが取り柄だったでしょ。」
否定できないところだ。
寮に帰る護衛はアンちゃんだ。
彼も一週間の謹慎でもどってきた。
「いつもお嬢を寮まで送るのはエドワードだったでしょ。
これもね、セバスの野郎の全面的な嫉妬でさ、
妻帯者のエドワードなら
いいだろって。
キモいよねーー、あいつ。いやん。」
それも否定できないところだ。
次の日。
リード様達が新婚旅行から帰ってこられた。
というより半分公務だ。
お疲れ様です。
「リードには釘を刺しておいたわ。
セバスチャンに協力しないように。」
「ええ、何かご不快があれば私にもご相談ください。好意がない人からグイグイこられる程、嫌なものはないですから。」
王妃様とヴィヴィアンナ様の発言は、男性陣に聞かせるものだ。
(ちなみにセバスチャンさんは、リード様の
旅行のお土産を各部署に配らされている。)
「ごめんなさい、レイカさん。
リード様から以前、2人はお互いに好意を持ってる、と聞いていたもので。」
「私も。」
久しぶりに顔を出したエリーフラワーさんと、
「拙者も。」
エドワードさんだ。
「「私らも。」」
ジークとフリードもかい。
「ふん。あいつ、リード様にまで根回ししたの。しかも、嘘を。まったく油断ならないわね。」
リード様はうつむいていた。
「兄弟みたいなものだからな。力になりたかったんだ。」
その気持ちは尊いかもしれないけども、迷惑です。
「ねえ。コレ。」
エリーフラワー様が、チューブに入った軟膏を
アンディさんに渡した。
「コレはなんでしょうか?」
「その、左頬の傷。塗ると薄くなると思うわ。
細胞の新陳代謝を促進するの。」
すげえ。つわりで苦しんでただろうに。
いつの間に。
本当に、すごいよ。
「ええー!!私にもある?」
王妃様が食いついてきた!
背中に傷がおありだから、ね。
「はい、王妃様にもこのとおりでごわす。」
エドワードが一箱かかえてきた。
「…あ、ありがとうございます、が、
護衛は少しぐらい、強面でも、いいので、
その、若き日の過ちも忘れずというか、その。
いやん、ばかん。うふふーん。」
珍しい。アンちゃんがドギマギしてる。
軟膏を持って逃げるようにさっていった。
「アンディが照れるなんて珍しいわ。」
「彼は兄に見いだされるまで、苦労してきたからな。」
他人の愛情に飢えてるというか、
だから、お坊ちゃん育ちのいかにも貴族の
セバスチャンが気に要らないんだろうね、
と、リード様がつぶやいた。
「でも、セバスの方がアンを嫌ってるようにも
見えるわよ。」
王妃様、名前略し過ぎ。
「ただいま戻りました。
マカデミアナッツチョコと、キーホルダーと、絵葉書!みなさんお喜びでした!!」
それ、本当か?
セバスチャンさん、
私をみて、急にニコニコニコしなくてよろしい。
そういうスイッチが入るのか?
はあ。
それから、エリーフラワー様の研究所兼自宅前には。
朝どれフレッシュ野菜が置かれるようになったそうだ。




