すごいよ、あんた、エリーフラワーさん。
「王妃様。私たち結婚いたしました。」
ぶふふーっ!!
王妃様が口に入れていた豚汁を
リード様にぶちまけた!
「ゴホッ、ゴホッ。」
「母上!!大丈夫ですかっ!!
才女どのっ!
…少し状況を見て発言してくれないか、、。」
流石に筋金入りのマザコンリード様だ。
ご自分が味噌汁まみれになっても、
まず、むせている王妃様を気遣うところはご立派である。
だが、爆弾発言の主がご自分の苦手とする、エリーフラワー様なので文句も尻すぼみなのであった。
とりあえずはセバスチャンがタオルをお二人に渡し、洗面所で身なりを整えてこられた。
(お毒見すみなのでぬるめの味噌汁で、
おかげで火傷はなさらなかったらしい。)
「詳しく話してちょうだい。」
「私エリーフラワーと、」
「拙者エドワードは、」
「「昨日入籍いたしました。」」
新しく入れ直した豚汁を王妃様の前に置いた。
やっとニューキッチンが出来て、
豚汁は早速のリクエストだ。
「まずはおめでとうと言わせていただくわ。
ま、2人付き合っていた訳だしね。
お花を送らせてもらうわ。
あとは、、、
結婚休暇が欲しいのかしら。」
「はい。そのために拙者の交代要員として、
ふたり、そこに控えておりもうす。」
「今日から研修にはいります、マイクです。」
「同じくサムです。」
「あら、モブっぽい名前ねえ。」
(あ、コレ、改名させられるパターンかも。)
「王妃さま。コチラがシワトール・改。
それからホワイトニングシリーズ、
シロイーナエッセンス、乳液、クリーム。
塗ると引き締め効果がある、スベルスベルト。ですわ。」
エリーフラワー様が
とん、とん、とん、と試作品を出してくる。
「ありがとう、、。結婚休暇に入るから??
それにしても随分と巻いて作ってるわね?」
「ハイ、実は妊娠しましたから。」
「いやあ、お恥ずかしいでごわす。」
(それで昨日の、朝イチで入籍にいったのよ、ねー?
そうだよ、 ねー。
2人で顔合わせて、ねーねー言ってる。)
ぶふふふーっ!!
「あっ、母上っ!!
才女どのぉっ!!あれだけ空気を読めと!
…母上が味噌汁をお口にインしてるときは
爆弾発言は控えてくださると、
…嬉しいなあ。」
エリーフラワー様、アナタ、ワザとやってますね。
味噌汁まみれのリード様を見る目が
小さく弧を描いてますよ。
「わ、わかったわ。産前産後の休暇もね、
予定日はいつ?
それで調整しましょう。ね。」
王妃様は二度目の洗面を終えられた。
「もしかしたら、交代の方が2人もいるのは?
時々エドワード様も
育休を取る事を考えて??」
「流石、レイカ様でござるな。エリーフラワーには
これからも研究に励んで欲しい。
いくらでもサポートが必要でござる。
拙者の代わりはひとりでは足りないですからな。
はっはっは。」
王妃様は放心状態である。
「セバスチャンさん、これを。」
「これは?」
「まず、私たちの結婚休暇の予定です。
あとは、予定日が予定通りの産休育休のパターン、
一日遅れでこれがこう、ズレていきます。」
「ほう、コレはわかりやすい。」
「それから、お産費用の一時金、子育て支援金の叩き台。
そりゃ、私は困ってませんけど、この国の女性たちの指針として。」
ほほう。
「それから、保育施設の完備。働く女性たちへの
ヘルプ体制の案。
コレからの子育て世代への、、。」
流石にいちを聴いて10を知るエリーフラワー様だ。
あなた、政治家の方が向いてるんじゃないの?
それからエリーフラワー様に尋ねられた。
「日本には使い捨ての紙オムツがあるんですって?」
「ええ、よく構造はわからないんですが、水を吸って膨らむんですよ。」
高分子ポリマー??って浮かぶけど、なんだろう。
「うーん、うんうん。
つまり乾いたら粉末状態のものが、何倍もの
水分を取り込むのかも、、
肌にあたるなら植物性のものがいいかもね??
ええと、そうねえ。
どっかの木の粉末がそんなのあったかも??
寒天やこんにゃく系も考えてみるか。」
OK、ありがとう。
と言って去っていかれた。
私は隣りで聞いていただけだ。
彼女こそ、一皮むけたと思う。
ひどいですわー!と叫んでたときとは別人だ。
頭をうってから、ご実家との決別が
彼女を変えたのだ。
(何しろ憧れの王子様の正体が
思い込んでいたリード様ではなく、エドワード様だとわかったし。)
一か月後。
前世でよく見た紙オムツと遜色ないものが
発表された。
その半月後。
「応用したら出来ちゃった。」
生理用ナプキンも発表された。
貴女、すごいよ。
エリーフラワー様。
スヴェルト。
一回だけ使ったことがあります。




