わらじシリーズはうちの人気メニューです。
「王妃様は健啖家であらせられますねえ。」
「あら、そうかしら。」
結構な大きさのわらじハンバーグだが、どんどんなくなっている。
さかのぼること一時間程前。
さあ、何をつくりましょうか?と
ありがたくも、料理人のお仕事と寮のお部屋をいただいた翌日である。
張り切って質問した。
「あなたの前世の食堂の人気メニューは何かしら?
」
「わらじシリーズです。」
「わらじ。」
「ハイ。学生さんが多かったですから。
わらじハンバーグ。
わらじメンチカツ。
わらじコロッケ。
わらじチキンカツ。」
「トンカツではなくて?」
「チキンの方がお財布に優しいですからねえ。
鳥の胸肉を叩いてうすーくしてカリッと揚げます。」
「なんか切ないわねえ。
某美味しいもの漫画で
トンカツをいつでも食べれるくらいが
人間ちょうどいいってね。」
「それ結構有名なセリフですね。」
「では、わらじハンバーグにするわ。」
「僕も。」
「わたしも。」
リョーユーパンか。
王子様とセバスチャンの分も作る。
お毒見係(今回はセバスチャンではなく、騎士っぽい人である。エドワードっていったかな。)
が食べて30分くらいあとか。
学校給食の調理師やってる友達が
校長先生が30分くらい前に検食(毒見?)して何も無ければ出すって言ってたな。
王妃様があっという間にたいらげた。
すげえ。
セバスチャンとリード王子様まだ残ってるぞ。
「ほろほろ。母上が元気で沢山食べてる、ほろほろ。」
ほろほろ鳥?美形王子様の泣き声か。
泣くか食べるかどっちかにしろ。
「あーいいわー、なんかこう、
街の食堂という感じで。」
その通りです。
「ちょっとチープさがいいのよ。」
健啖家の上に毒舌家であらせられる。
(王室御用達とくらべんなや。)
「ねえ、ねえ、ハンバーグのタネがあまったら
それを揚げてメンチカツにするんでしょ?」
なんて事言うんだ。
「いえいえ、うちは違いますー、メンチカツは刻んだネギとキャベツ入れてますよ。
ハンバーグは玉ねぎのみですからね。
それをね、ポン酢で食べるとあっさりして、
良いんです。」
「素敵!!美味しそう!!明日はそれね。」
「あっハイ。」
「楽しみだわ。わらじメンチ。」
明日もわらじかい。
「僕も。」
「わたしも。」
セバスチャンと王子様もか。
王子様、ご成婚控えてるのに
ぶくぶく太ったらどうする。美しさがとりえなのに。
「拙者も。」
…うん?
どこのゴエモンかと思ったらエドワードかい??
「お毒見だけでは足らないでごわす。」
西郷どんかい。
「仕方ないわねえ。お毒見の後に食べるのを用意してあげて。」
「アッハイ。」
「ところで昨日御実家の方はどうだったの。お城に就職して、寮に住むって言ったんでしょ。」
ちょっとセバスチャン様と顔を見合わせて、
「それに関しては本当に感謝してます。」
「ご自宅には釣書が3枚もう、届いてたんですよ。」
「あのカス野郎、いえ、カスティンからもです。
だけども、就職決まって自立するし、しばらく結婚考えないし、
あいつ大嫌いなんで絶対断るように親には言っときました。」