やめろと言われても。おそすぎる。
「前から思ってたんだけども、」
「はい。」
「から揚げと竜田揚げどうちがうの?」
王妃様が先日お尋ねになった。
「そうですね、最近は両方の区別があまり、つかなくなってますけども。
私が二十代の頃は、衣が片栗粉で、下味がついてて、少し小さめなのが竜田揚げでした。
から揚げは小麦粉の衣で、塩胡椒味だったんですが、
今はから揚げにも下味がついてますね。」
「ふーん。」
と言うわけで作った。両方。
「ちなみにこっちはとり天です。」
「こっちは?」
「爆弾です。」
「ニンニクをひと株丸ごと素揚げにした物です。
自己責任でお願いします。」
「ほほほ、アタクシがニンニク臭かったとして
文句をいうものがいるかしら?」
それもそうか?
「リードこれがから揚げよ、美味しいでしょ。
レモンは好みだから。
くれぐれも自分のものだけにかけるのよ。いいわね!」
以前から思っていたが、
から揚げのレモンに何かトラウマでもあるのだろうか??
「美味しいです!」
「特にこのタルタルソースかかってるのがいいです!」
「それはもう、チキン南蛮という固有の料理ですね。」
パクパク食べるセバスチャン。
良かった、失恋?の痛手から立ち直ったようだ。
あの後、カレーヌ様の隣国行きが決まった。
若鷹のアラン様が上手く王妃様と話をつけたようだ。
即日旅立たれたのでセバスチャンとの縁談から早く離れたい意思を感じた。
少し不憫である。
「美味しいでごわす。」
「美味しいですわ。」
「右に同じです。」
皆さんに好評で良かった。10代の若者たちよ。
どんどん油と脂とカロリーをとるがよい。
前世の食堂のおばちゃんの気持ちがよみがえる。
「から揚げにわらじはないわよね?」
「はい。大盛り、メガ盛り,にゃんこ先生盛りですかね。」
「前二つのはわかるけど、最後のは??」
「猫の目食堂名物です。わがままボディの
お猫様くらいの大きさの大量なから揚げの盛り合わせです。
三日前までにご予約をいただいたお客様のみですが、お持ち帰りもできますし、忘年会なんかでは好評なんですよ。」
「その場合の先生は、
にゃんぱらりと回転する方か、
白い大きなモノノケに変身する方か、どちらかしら。」
「年代によって違いますが、一つ、人よりもチカラもち?その次なんだっけなーとおっしゃる方は1960年代前後の生まれですかね。」
あとは最近は
◎この料理に猫ちゃんは使用してません
って張り紙を強いられるようになった。
面倒くさい時代だ。
以前も言ったが毒見が必要なので、
王妃様、王子様は出来てがたべられない、
少なくとも三十分はたってしまう。
(セバスチャンとエドワードは
熱々を食べて毒味する。)
最後のから揚げを揚げた。
各自のウエイト時間がかかれた紙が置かれている。
多量にあげたな。
から揚げは転生物の食テロではだいたい出てくる。(後はポテトフライか。串焼きだよな。)
ヨシ、ちゃんと基本を押さえたぞ。
その時だ。
「貴様!!
何をするっ!!というよりどこから入りこんだっっ!!」
「この野郎が最後の皿の唐揚げに
あろうことか、
レモンを絞って回しかけたんですよっ!!」
「ぬわんですってえええー!!」
「何よう。レモンかけたほうが美味しいじゃないですかーー。
女子の気配りを怒るなんてえええ。」
ガチで怒ってる美貌の王子さまに
首根っこ捕まれて、
上目使いで、きゃん。
って言ってるのは
はい、お庭番のアンちゃんだった。
口をわざとらしく尖らせて更に女子アピール中だ。
「せっかくの唐揚げがシワシワになるじゃない!!
あと、三十分はこのままなのよっ!」
「それにおマエは女子じゃねえよなあっ!!」
ダブル・ロイヤルな怒りに触れて、
流石のアンちゃんも涙目だ。
「あ、では、責任取って私が食べます、、」
「「そうじゃない!!」」
「‥レイカ嬢、もう無いのでござるか?」
「ハイ、もうお肉ありません。」
「ふっ、ふふふふっ、ふふ。」
「は、母上??」
…それから先はあまりに残酷なシーンなので、
お見せ出来ません、、。




