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僕の青春は怪異と共に  作者: 夢乃間
第4章 鉄の男
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粗雑な改造

 時は遡り、黒宮アキトと西連寺マコトが研究所へ向かっていた頃。西連寺マコトはこれまでの事情を黒宮アキトに明かした。三島ダンゾウにちょっかいをかけた所為余計な因縁をつけられた事、謎の力がある鉱石が取れる鉱山に連れて行かれた事、鉱山内でヘドロ塗れの邪奇醜の群れと戦闘になった事。それら一連の流れを聞いた黒宮アキトは、今度は自分とイチのこれまでについてを明かす。


「あの領地には三島ダンゾウ以外の統治者がいる。労働者達はバグと呼んでいた。ネムレスと呼ばれる機械獣と遭遇し、戦う事になったんだがこれがまた強くてな。イチを連れ去られちまった」


「一つの領地に二人の統治者。バグという者はおそらく三島ダンゾウの血縁者でしょう」


「何故そうだと?」


「当主の血縁者以外に従う道理も義理も無いからです。誰にも従わない兄様と違って、領地に住む者は当主の決め事を従事するのです。外に追い出されない為に。辛いかどうかより、生き死にを優先するのが人間というものでしょう?」 


「そういうもんか。まぁ、そんな事はどうでもいい。とっととイチを助け出して、こんな所から立ち去るぞ」


 二人は三島家の複雑な事情から目を逸らし、イチを助け出す事を第一に考えて通路を進んでいく。黒宮アキトがイチを救出した後の流れを考えていると、後ろから何者かが迫ってきているのを感じ取った。まだ距離はあるが、その人物は二人がいる場所へと向かってきている。


「……誰か追ってきているぞ」


「私がお相手します。兄様はイチの救出を」


 黒宮アキトは追いかけてくる者の相手を西連寺マコトに任せ、一人先へと進んでいく。西連寺マコトは破邪の指輪から伸ばした光の線を床に垂らし、未だ見えない追手を待ち構える。

 すると、ローラースケートのような足で床を削り進んできた追手が姿を現した。突出した背骨に付けられたパイプから黒い煙を吐き出し、痛々しく鉄の塊を装着された左腕、人間だった名残がある右手には破邪の指輪が着けられている。

 人とも機械とも言えない追手の正体は、三島ダンゾウによって改造されたカザミであった。見るも無残に改造されたカザミには理性が残っておらず、眼球に変わって視覚と繋がれた鉄製の目を赤く光らせた。

 

「酷い格好ですね。何も考えない従順な者が行き着く末路に相応しいですが、いくらなんでも無様すぎですよ?」


 西連寺マコトは粗雑に改造されたカザミの胸のプレートの隙間から見える心臓に光の線を伸ばした。カザミは伸びてきた光の線を呆気なく右手で掴み、常人離れした力で西連寺マコトを引き寄せる。完全に油断していた西連寺マコトは抵抗する間も無く体を引っ張られてしまう。

 カザミは左腕にある鉄の塊をドリルに変形させ、けたたましく回転させたドリルで西連寺マコトを貫こうとする。西連寺マコトは瞬時に光の線をドリルに絡めて、浮かんでいる自分の体の軌道をズラし、自分を壁に激突させた。

 間一髪で逃れた西連寺マコトだったが、息つく暇も無く、カザミはドリルを振り回し、西連寺マコトを追い込んでいく。周囲の壁や床が削られ、そこに埋め込まれていた機械から散った火花がカザミに当たると、カザミの体は瞬く間に火に包まれた。粗雑に改造された故に、隙間から通る火に熱された臓器は焦げていき、カザミは膝から崩れていく。

 幸運にも難を逃れる事が出来た西連寺マコトであったが、この決着に納得がいかず、苛立ちばかりがつのるばかり。

 そんな西連寺マコトに応えるように、カザミは再起動し、依然として火に包まれながら立ち上がった。左腕のドリルは暴走を起こし、制御不可能となった激しく回転するドリルに振り回されるように西連寺マコトに襲い掛かる。

 暴走するカザミの予測出来ない動きに、西連寺マコトは中々攻めに転じれずにいた。息つく暇も無く逃げ回り、なんとか隙を作ろうと頭の中で思考を巡らせる。


(火によって臓器は燃やし尽くされているから心臓じゃない! あの体を今動かしているのは別の物!)


 西連寺マコトは逃げ回りながら、現在カザミを動かしている物が何かを探る。カザミの体を観察していくと、破邪の指輪が本来の緑ではなく、赤に光っているのを目にした。

 カザミがドリルを振り下ろしてきたのに対し、西連寺マコトは壁と壁を光の線で繋いでドリルの攻撃を弾く。勢いよく弾かれたカザミは後ろへ体勢を崩し、その隙に西連寺マコトは奇術の準備を行う。カザミが体勢を整えたのと同時に、西連寺マコトは奇術を発動した。 

 西連寺マコトが床に置いた右手から無数の光の線が床を走り、その光の線がカザミの足元にまで伸びると、床から飛び出した光の線がカザミの体を縛った。カザミは光の線を引き裂こうともがくが、もがけばもがく程に縛る力が強くなっていく。

 西連寺マコトはカザミが身動きを取れない間に、右手から破邪の指輪を取り上げる。破邪の指輪を失った途端、カザミの目から光が失われ、カザミを縛っていた光の線によって体をバラバラに引き千切られた。


「ハァハァハァ……! 最期まで本当に使えない……!」


 カザミとの戦闘で体力をほとんど使いきってしまった西連寺マコトは、黒宮アキトとの合流を諦め、壁にもたれ座り、膝を抱えて休息を取る事にした。 

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