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三題噺もどき2

あさやけ

作者: 狐彪

三題噺もどき―にひゃくさんじゅうきゅう。

 


 身体の節々がいたい。

 関節に針でも刺されている気分だ。

「……」

 首の後ろのあたりが、ずきりと痛む。

 肩がギシと、嫌な音を立てる。

 股関節のあたりは、痺れている。

「……」

 ベッドの上とはいえ。

 こんな姿勢で長時間いたんだから、そりゃ全身悲鳴を上げる。

「……」

 背中を丸めていたせいで、背骨の一部がずっと壁に当たっている。

 元々猫背のせいで、そこは常日頃、痛むのに。

 冷えた壁に当たっているせいで、尚更痛む。

「……」

 膝を曲げて。

 腕で抱えて。

 全身を丸めて。

「……」

 どれくらい、こうしていたんだろう。

 もしかしたら、少し眠っていたのかもしれない。

 分からないけれど。

「……」

 何せ。

 何で、こんなになっているのかも。

 あまり分かっていないし。

「……」

 いや、わかっては、いるんだけど。

 毎日のように、こんなになっているから。

 もう。

 なんで、こんな風になっているのかが。

 分からなくなってきている。

「……」

 私の事だから。

 どうせ。

 色々と悩みすぎていて。溜まりすぎていて。考えすぎていて。

 しょうもないことで、こんなになっているんだろう。

「……」

 あぁ。

 そう気づくと。

 よくない。

「……」

 さっきまでは。

 ただ、ぼうっとしていただけだったから。

 何も考えていなかったけど。

 気づいた瞬間に、思考は回り始める。

「……」

 あぁ。

 ああぁ。

 どうしよう。

「……」

 息が。

 できなくなってきた。

 身体が。

 小さく震え始めた。

「……」

 服の袖を、握っていた手に。

 無意識に力が入っていく。

 指先から、血の気が引いていく。

「……」

 鼻の奥が、じんと痛む。

「……」

 目の奥が、じくりと、熱を持ち始める。

「……」

 はらはらと。

 ぽつぽつと。

 ぱらぱらと。

「……」

 こぼれるそれは。

 ジワリと太ももを濡らしていく。

「……」

 あぁ。

 ああぁ。

 鬱陶しい。

「……」

 なんでこんなにも。

 上手くいかないんだろう。

 なんでこんなにも。

 悲しくなるんだろう。

 なんでこんなにも。

 息がしづらいのだろう。

 なんでこんなにも。

 なんで。

 こんなにも。

「……」

 生きづらいんだろう。

「……」

 生きたくないわけじゃない。

 死にたいわけじゃない。

「……」

 息ができなくなるだけで。

 少し苦しくなるだけで。

「……」

 涙があふれてくるだけで。

 言葉がこぼれてくるだけで。

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

 ゆがむ視界の隅に。

 真白な花が入り込む。

 ―あれは、いつだったか。

 誰かにもらった、小さな百合の花だ。

「……」

 朝焼けに照らされたその花は。

 凛としたその美しい姿は。



 お題:百合・朝焼け・ぽつぽつ

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