第七回 「異世界に行きかけた話」
この回すこし長いです。
ラジオネーム、ニーチェ風ニートさんよりいただいた怪談です。
「異世界に行きかけた話」
――――……
怪談というか不思議な話を投稿します。
「飽きた」という話はご存知でしょうか。
だいぶ前に2ちゃ○ねる掲示板のオカルト板で話題になったヤツなのですが、「この世界に飽きた」と強く念じることですべてやり直せる異世界に行ける、という話です。
異世界に行けるパターンにはいくつかあったと思いますが、私が気に入ったのは「好きな年齢でやり直せる」というものでした。
ちなみに、有名なやり方としては事前の準備で、
「紙に六芒星の図形を描き、真ん中に『飽きた』と書く」
「この世界に飽きたと強く想う」
という感じらしいのですが、別に六芒星の図形などは用意せずに「この世界に飽きたと強く想う」だけでも異世界に行けるという話もあります。
前置きが長くなりましたが、私がこの方法で異世界に行きかけた話をしようと思います。
◇
ある夏の夜――暑苦しい熱帯夜でした――クーラーのスイッチを入れ、ようやくウトウトとしかけた時でした。
ふと気づいたのですが、自分の状態が、頭は起きているのに体が眠っている状態になっていることに気づきました。
いわゆる「金縛り」に近い状態です。
私は「金縛りは怖いな……」と思いながら、無理やり目を閉じて寝直そうと考えました。
しかし、目を閉じて思ったのです。
「これって『明晰夢』を見ている状態にも似ているな」
オカルト好きな人ならご存知かもしれませんが、「明晰夢」とは夢の中で自由に行動できる夢のことを意味します。
私には無理ですが、その道の達人になると、空も飛べたりするほど「明晰夢」の中は自由性があるそうです。
この「明晰夢」の話も2ちゃ○ねるのオカルト板ではたいそう人気な話題でしたので、知識として知っていました。
◇
私はこの時ひらめきました――――この「明晰夢」に近い状態で「飽きた」をやってみてはどうかと。
実は当時、何もかもがうまくいかず、仕事も辞めてしまい、かなり落ちこんだ精神状態でした。
さっそく「飽きた」を実行してみます。
「この世界に飽きた、この世界に飽きた、この世界に飽きた、この世界に飽きた、この世界に飽きた、この世界に飽きた、この世界に飽きた、この世界に飽きた、この世界に飽きた、この世界に飽きた、この世界に飽きた、この世界に飽きた、この世界に飽きた、この世界に飽きた、……」
強く念じながら、何度も繰り返します。
「この世界に飽きたこの世界に飽きたこの世界に飽きたこの世界に飽きたこの世界に飽きたこの世界に飽きたこの世界に飽きたこの世界に飽きたこの世界に飽きたこの世界に飽きたこの世界に飽きたこの世界に飽きたこの世界に飽きたこの世界に飽きた、……」
するとどうでしょう。
強く念じて繰り返しているうちに、私が別世界に繋がっていく感覚が生まれてきたのです。
私のすぐ横に寝ている妻の体温や、体が触れている部分の感触、背中に触れているベッドの感触などすべての感覚が遠くなっていきました。
夢の中で感じている異世界が、夢が覚めるかのように私の周りで現実感を増していきました。
「よし。もう少しでこんなくそったれな世界とはオサラバできるぞ!」
◇
でも、ふと気づいたのです。
私の横に寝ている妻の存在を。
異世界に行ってしまえば、今横に眠っている妻と永遠に離れ離れになってしまうということを。
このままほんの少しだけ念じ続ければ、別の世界に行けるのは間違いないという確信がありました。
でも、妻の存在が私をギリギリでこの世界に引き止めました。
私は異世界に行かない決断をしました。
しかし、私の想いとは逆に、私の周りの異世界はドンドンと現実感を増していきます。
ヤバい! と思った私は、必死に念じました。
「この世界に飽きたと言ってごめんなさい、もう飽きたなんてい言いません、ずっとこの世界で頑張ります、この世界で頑張って生きて死にます、この世界に飽きたと言ってごめんなさい、もう飽きたなんてい言いません、ずっとこの世界で頑張ります、この世界で頑張って生きて死にます、この世界に飽きたと言ってごめんなさい、もう飽きたなんてい言いません、ずっとこの世界で頑張ります、この世界で頑張って生きて死にます、……」
必死な私の願いが届いたのでしょうか。
だんだんと私の周囲に感じられた「異世界」の存在感が薄まっていきました。
そうして、私はこの世界に戻ってこれました。
「異世界に行きかけた話」長くなりましたが以上です。
――――……
――という投稿をいただきました。
うわー、良かった!
奥さんと離れ離れにならなくて、ホントーに良かったーー!
ニーチェ風ニートさん、異世界に行かない決断をしてエラいっ。
……あれ、今ニート、です? 無職??
ちゃんと就職しないとだめですよ?(怒)
それでは、閉局前の特別企画「連続怪談特集」、明日も引き続きご聴取ください。
ねぇ。
この走り回っている、黒いモヤモヤ。
ウワーグワァマジムンっていうんだっけ。
どんどん数増えてない?
君は何回くらい股の間くぐられた?
私は10回くらいくぐられてからは、数えてもいないけどさー。
もう! 気味が悪い! あっちいけ!!




