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戦力制限

作者: 尚文産商堂

手野武装警備の前身とされているのが、戦前にあった手野武装社である。

元々は、政府からの依頼を受けて、各種の警備などにあたっていた会社であったが、武装警備業が導入された結果、陸海空各種の軍備を有する民兵組織となることができるようになった。

当然、大財閥が中心となり組織されていったが、手野武装社はその中でも群を抜いて戦力を増強していくことができた。

特に小規模の、せいぜい大隊規模の陸上戦力しか持てなかった他財閥の武装警備社に対して、手野財閥はその財力やすそ野の広さなどから陸海に広く、国にも匹敵する規模の兵力をそろえることができた。

一方で、それによって反乱など、国自身への攻撃を企図されることを防ぎたい政府としては、一定規模の武装警備業者については、その幹部を国が指名したものでなければならないとした。

これは、手野武装社狙い撃ちの法律であったが、手野武装社はそれを受け入れた。

海であれば艦長や一部の幹部、陸であれば大隊長以上のクラスであれば殻陸海軍の士官で占めることとされた。


第二次大戦が起き、その弊害がはっきりと表れた。

手野武装社が有する陸海部隊は非常に優秀であった。

しかし、それも指揮する者があってのもの。

特に海軍は海軍省からの指令にしか従えないようになっており、そのことから戦術レベルでも負け続けることとなった。

そして終戦の日を迎えると状況は一変する。

正午から3時間以内に全艦隊は武装解除するように海軍省から指令が出された。

だが、いまだに戦闘を続ける気概がある手野武装社側は、今後のことも考えて艦隊の大半を温存する計画をひそかに立てていた。

それをこの日に実行に移すこととなる。

海軍からの出向者は全員がその日のうちに捕縛され、艦から降ろされた。

少数の、すでに行動不能だったり中破損害などを受けていて修復するのに時間がかかる艦船が連合国側へと引き渡され、他は東南アジアの島嶼地帯に隠された。

俗にいう、手野武装社秘匿艦隊である。


今、その秘匿艦隊は衆目の知れるものとなっており、一部の艦は記念艦として余生を過ごしている。

海上自衛隊からの出向者というものはいないが、準軍事組織ということもあり、幹部名簿は防衛省に提出することとなっている。

それでも、今ではほぼ独立した指揮系統を有しているため、戦略レベルであっても対外戦争を戦うことができると評価される。

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