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僕の彼女は静かで優しい女の子だった  作者: ルイ シノダ
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模擬試験の結果


 今日は模擬試験の結果が帰って来る。学校へ連絡があるはずだ。


 今日も紗耶香の家のある駅で待合せして学校へ向かう。学校のある駅で降りて改札を出ると早速紗耶香が手を繋いで来た。


「明人、今日模擬試験の結果が分かる日だよね。明人の事だから凄い結果かも」

「紗耶香、それは無いと思う。初めて受けた試験だし、全国の何千人という高二生を相手にしているんだ。

でも千番とか切れるといいな。何百番台位だろ。目的はあくまで今の俺の学力がどれ位なのか知る為の試験だから」

「でもなあ、彼女としては期待しちゃうな」

「どちらにしろ分かるのは昼過ぎじゃないか」



 三限目が終わった中休み、担任の南沢先生がやって来た。

「水森君、直ぐに私と一緒に職員室に来て」

 急いでって手招きしている。


「はい分かりました」

 なんだろう。悪いことした覚え無いし。紗耶香が心配そうな顔をしている。


 職員室に行くと教頭先生の側に行かされた。がちがちに緊張する。


「水森君、全国統一高二模試の結果が帰って来たよ」

「えっ、南沢先生。あれ他の先生にも話したんですか」

「ごめんなさい。結果に驚いて嬉しくなってしまって」


「水森君全国の高二生で三十番だ。凄い結果だよ」

「えっ!」


 結果を見せて貰った。信じられない。全部解けたし自信は有ったけど。

「これからも頑張ってくれ。この結果は他の生徒の勉強意欲向上の為にも公開させて欲しいんだがどうかな?

この試験は水森君が学校を通して受けたとはいえ、あくまで個人でも申し込んだものだ。だから学校では本人の意思を確認しないと公開できないんだが」


「分かりました。でも公開ってどうするんですか?」

「校内の掲示板に張り出すのと生徒父兄の連絡誌にも掲載する予定だ。わが校の立場も良くなるからな」

 結局最後が目的か。でも断れる雰囲気じゃないし。


「良いですよ」

「そうか!ありがとう。これからも頑張ってくれたまえ。学年主任直ぐに用意だ」

「はい」


 なんか、職員室の先生たちの俺を見る目つきが違うちょっと怖い。


 掲示板には昼休みに張り出された。


 紗耶香と一緒に昼食を取っていると正則が俺の所にやって来た。なんかやたら目が大きくなっている。

「明人、やったな。全国統一高二模試で三十番だなんて。あれって何千人も受けるんだろ」


「「「え、ええ、えーっ」」」

 クラスにいた他の生徒達が廊下に出て掲示板の方に走り出した。

 廊下は走っては駄目だよ。みんな。


そして

「凄いじゃない。水森君」

「ねえ、今度私に勉強教えて」

「何言っているの私が先よ」

「ちょっと、ちょっと私が先だから」


 うーっ、だから公開したくなかったんだけど



「水森、凄いな。お前頭いいのは知ってたけど、ここまでとは。拝みたくなるぜ」

 それは止めてくれ。


「水森、今度一緒に勉強してくれ」

「男子、何言っているの。水森君は私達が先よ」



「あ、あの。俺そういうの苦手だからごめん」


「「「「えーっ!!!!」」」」


廊下の窓ガラスや入口に人だかりが出来ている。そんなに凄い事か?


「明人、少しの間賑やかそうね」

「紗耶香、ごめん」

「明人が謝る事は無いわ。私もとても嬉しいから」


「あーあっ、水森君、一条さんの彼氏だもんね」

「仕方ないかあ。早く水森君を見つけていれば」

「そうだよね~」


 おい、俺は君達と一年から一緒のクラスだぞ。


 放課後、図書室を開くと常連さん達が入って来た。今日も平和かなと思ってPCを立ち上げる。今日は俺が当番だ。紗耶香は側のテーブルで復習を始めた。


 始めのうちは静かな時間が流れた。……が。

何故か、同学年の生徒だけでなく三年生や一年生の女子生徒達が入っては出て、入っては出てをしている。


 小声で

「ねえ、あの受付の子でしょ」

「うん」

「凄いね。雲上人だね」

「あの子確か水森先輩の弟じゃないの」

「生徒会役員だった水森先輩?」

「多分」

「そうか、水森先輩通して紹介して貰おうかな」

「そうだね」


 なんか変な事言ってる。


 紗耶香が俺の側にやって来た。

「明人、なんかみんな明人の事見ているよ」

「そ、そうだな」



 下校の予鈴が鳴り常連さん達が帰り始めた。

「紗耶香、書棚への戻し入力するから、この本、書棚へ戻しておいて」

「うん、了解」


 紗耶香がいると図書処理が楽になる。綾乃の事が一瞬だけ過ったが、もうずいぶん前の事の様に感じる。


 図書室の鍵を返して二人で下駄箱で履き替えて校門を出た。紗耶香が手を繋いでくる。

「ねえ、明人」

「うん、何?」

「私ちょっと心配」

「なんで?」

「今日だけでも他の人達があんなに明人に言い寄る。私なんかよりもとっても綺麗で素敵な人(女性)もいる。同学年だけじゃなくて三年生もいる。とっても心配」

「紗耶香、何言っているんだ。俺は君だけしか見ないよ」

 

 彼女が目を大きく開けて俺を見て

「ほんと!絶対だよ。他の人にいっちゃ駄目だよ」

「大丈夫」

「じゃあ、今度の日曜日私の家に来て」

「えっ?」

「いいでしょ」

「わ、分かった」

 何となく意味も分かった。


 家に帰り、模試の結果を両親に教えると、めちゃくちゃ喜んでいた。




 次の日、学校のある駅で降りて紗耶香と一緒に歩いていると、いつも彼女と手を繋いで歩いている姿に嫉妬する視線が痛いが、今日は何か別の視線も感じる。どちらかというとあまり好ましくない視線だ。



 気にせず、校門をくぐり下駄箱まで行くと、何だこれ?


 俺の下駄箱の中に白いメモが入っていた。上履きを履いてから折られている紙を開けると

「えっ!」

「どうしたの明人?」

「これ」


 白い紙には、今日の昼休み体育館裏まで来て欲しい。来るまで待っていますと書いてあった。


「参ったな。どうするかな。行くのやだな」

「でも、来るまで待っていると書いてあるよ」

「うーん、どうしよう」



 昼休み、紗耶香との食事後に仕方なく体育館裏に行ってみた。裏に行く前に体育館の壁からちらりと見ると女性生徒が立っている。仕方ないか。


 俺はその女子生徒の前まで行くと結構な美人だった。腰まである黒髪。眼鏡を掛けているけど綺麗な顔、胸はしっかりと出ていて、身長もある。


「わ、私、三年Bクラスの鏡京子。水森君好きです。お付き合いして下さい」

「えっと、俺先輩の事全然知らないんだけど。それに……」

「いいんです。これから知って貰えば。お願いです。お付き合いして下さい」

「いや、でも」

「あっ、今日はこれだけ言いに来たの。直ぐに結果聞きたくないし。今だと断られるでしょ。だからこれから色々知ってもらうから。宜しくね」

 そう言うと駆け足で去って行ってしまった。


 参ったなあ、こんなの始めてだよ。断ろうとする前に帰られちゃった。どうしよう。


―――――


 明人とんでもない告白受けました。どうなるのかな?


次回をお楽しみに

 

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。



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― 新着の感想 ―
[良い点] またまた不穏な気が…
[良い点] 主人公のすごさを知り、綾乃は後悔しろーってこんじです(^-^)v更新毎日楽しみにチェックしてます!!
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