お城の料理
更新少し遅くなりました…!すみません…。
お城の中の会場に入ると、これまでの比じゃないくらいに賑わっていた。
人も今までの倍はいるだろうか。流石、皇太子の婚約者を決めるパーティーだ。令嬢たちも身なりの仕上がりから、いつもより気合いが入っていることが窺える。
主役の皇太子はまだ来ていないみたい。
会場の場が温まってからの登場になるのかな?
会場を彩るのは煌びやかな装飾品と食欲をそそる料理の数々。
(うわ〜!美味しそうっ!)
1年ぶりのお城の料理だ。食べることが大好きな私はレベルが段違いなお城の料理に目がない。
美しく並べられた料理と美味しそうな匂いにつられて自然に足が動く。
じゅるるっ。――おっと、危ない危ない。よだれが垂れるところだった。
よだれなんか垂らしたら余計に目立ってしまう。
とにかく今回は目立たずに過ごす!それだけ!皇太子に近づかす、ご飯でも食べてのんびり過ごしていればそのうちパーティーは終わるだろう。
と!いうとこで!
「おっにく!おっにく!ケーキ!ケーキっ!」
お肉やケーキ、サラダなど山盛りお皿いっぱいに料理を乗せる。料理たちが私に食べてくれと言わんばかりに美味しそうな匂いを醸し出している。
これでルビア特製セレクトオードブルの完成だ。
(じゃあさっそくいただきまーす!―――ん〜!!美味しいっっ!)
流石お城の料理。何を食べても最高級に美味しい。もういくらでも食べられる。フォークを口に運ぶ手が止まらない。見た目も味も匂いも構成する全てが私に幸せを与える。これが今日一日食べられるんだったら、パーティーに参加したのも悪くはなかったかも。
私がのんびり料理を食べていると…。
「あら、ルビア様!今日は一段と美しいですわ。今年のパーティーは特別ですものね。私、ルビア様を応援していますの」
いつもパーティーで仲良くしているマーサが話しかけてきた。
「ありがとう。マーサもすごく綺麗」
なんか応援とかいう言葉が聞こえたけど、あえてそこには触れないでおく。
するとマーサが話しかけてきたことがきっかけで、他の令嬢たちもどんどん私のところによってくる。
「ルビア様!ルビア様!会えて嬉しいです」
「応援していますわ!」
「早く殿下が来られるといいですね!」
みんな口々に私を応援する言葉を並べるけど、みんなやめてー!私は皇太子の婚約者なんかになりたくないんだってばー!
みんな集まってきちゃったら料理も食べられないし、目立っちゃうっ。
でもみんなは、私がそんなことを思っているとは露知らず。
次第に私の周りが団子のように集団となって固まる。
みんなの勢いに圧倒され少し疲れ始めてきた時、会場で皇族が登場する一際大きいドアがゆっくりと開いた。
「みなさん、今日は私のために集まってくれてありがとう。楽しんでいってくれ」
―――皇太子の登場だ。
おお。私は初めてその姿を見た。前に令嬢たちが話していたけど確かに。これは帝国1の美男だ。深い青色の髪も新緑の緑色の瞳も恐ろしく綺麗。
「殿下よ!」
「きゃー!殿下の婚約者になれたらなんて幸せなことか」
「ちょっと押さないで?殿下が見えないじゃない!」
「3年間お姿が見られなかったけど、色気が増してさらにお美しくなられたわ!」
彼の登場に会場のあちこちから甲高い悲鳴が上がる。令嬢たちは口々に殿下殿下と騒ぎ立てる。まあ、あれだけの美男だもんね。
私の周りにいた令嬢たちも自然と私から離れ、皇太子の方や高い声が上がっている輪の中に混ざっていった。
(ふぅ〜、やっと解放された。これでゆっくり食事が続けられる。はむっ。ん〜!おいしっ!)
勢いの強い令嬢たちから解放された私は食事の再開を楽しむ。口の中に広がる美味しさで再び幸せに浸る。
みんなもせっかくの料理を食べればいいのに。
基本的に出会いや交流を目的とする帝国のパーティーでは食事をしている人はあまりいない。1番美味しいお城の料理こそ食べるべきなのに。みんな料理そっちのけで皇太子に夢中だ。本当にもったいない。
みんなが食べないなら私が食べちゃうもんね。むしろ他の人が食べない分、私1人独占状態でいっぱい食べられる。
みんな自由が制限される皇太子の婚約者になりたいだなんて、もの好きだなぁ。私は皇太子妃になりたくないから、なりたい人がいるっていうのはちょうどありがたいんだけどね。
どうせ私はいずれ隣国に行くわけだし。関係ない。
「何が関係ないの?」
も〜、やっと1人になって食事を再開したのに誰⁉︎と思いながら後ろを振り返ると、そこには1番話しかけられたくない人物が立っていた。
読んでくださりありがとうございます!
やっと皇太子の登場ですっ!思ったより遅くなってしまいました…。