自販機コーラ
案外つらつらと書けました。やったね!
自動販売機でよく左上、客が真っ先に目を向ける位置にコーラがある。
僕は他の商品を見ることなく、それに即決するタイプの人間ではない。
学生のご身分でバイトせず、親からの支給のみで生きている僕は、
種類より温かい冷たいという日本語より、数字―――すなわち値段に目がいってしまうのだ。
人は誰しも趣味がある。
趣味には金を注ぎたい。
僕も例外ではなく、カバンにぶら下がるキャラクターたちも僕の趣味だ。
限られた小遣いの中で上手く注ぐのは難しい。
その調節のためにも、自動販売機の値段にも注意する必要があるのだ。
改めて数字を眺める。
(…高い)
たった百数十円でもそう思えてしまう。
考えて見てほしい。500ミリリッター未満を自販機はこの値で売るが、
これぐらいあればスーパーマーケットで4倍の量のスポーツドリンク2リッター買えるのだ。
ここに財を投げるより、地域の店舗に貢献したほうが得することは目に見えている。
しかし、乾いたアスファルトに雫が1つ。
それは勿論涙ではない。そう、汗だ。
この炎天下、数十分歩き、水筒も空で、おまけに、ここらにスーパーマーケット、コンビニエンスストアすらないときたもんだ。
泣きっ面に蜂だ。
さぁ、どうする僕。
「あの、ごめん。」
「あ、どうぞ。」
僕は瞬時に思考を止め、後ろへ飛ぶように下がった。
横から来たのはクラスの中心、竹中さんだ。
身体中汗まみれである。
嗚呼、僕は純粋だ。
思わず一点へと目を向けてしまう。
意思に関わらず。
そう、僕の視線は彼女の指先にあった。
(何を選ぶのだろう)
それが気になってしょうがない。
え?他に気にするべきなものがある?
僕にはそんな余裕はない。
喉が渇いた、これは最優先事項だ。
竹中さんは自販機を眺める。
その表情にはやはり迷いが見えた。
ポケットから取り出した長財布と自販機を交互に見ている。
その様子を見ているのもあれなので、僕は辺りへと目をやる。
そこは元田んぼの新しめの住居がぽつぽつある程度で、ガレージに車は全くなく、閑散としていた。
目の保養にもならない。
僕はカバンから携帯を取りだし、1番近いスーパーマーケットを調べる。
しかし、結果が出る前に、がこん、と気持ちのいい音が僕の目をスマホから離させた。
悩んだ末、何を選んだか。
それは標高が高くなるほど、値段も高くなる左上の飲み物であった。
彼女は我慢できず、ぷしっと音たて開封する。
泡がもくもくあふれていく。自販機の弊害の1つだが、僕にはそれすら輝いて見えた。
そして、それを僕へと見せつけるが如く、それを口へと運んだ。
まるでコマーシャルを見ている気分だった。
動画の合間に割り込んできたような不快感はなく、ただ、飲みたいという欲が高まっていく。
ぷぁ、と可愛らしい声をあげ口を離す。
嗚呼、僕は遂に財布を取り出してしまった。
空気を読み、横へ退いた彼女を通り過ぎ、自動販売機の前に立つ。
そんな…なんということだろう。
例の飲み物に数字の表記はなく、日本語で、赤い文字で何か書いてあるではないか。
僕は自責の念に襲われた。
ごちゃごちゃ考えず決めればよかったと。
「あの、ごめん。」
そう変わらず声をかけてくる竹中さんに目を合わせられない。
別に恨んでないから…無駄遣いを阻止してくれてありがとう…
僕はそう思いつつ自販機から目を離…
え?…ドクターシュガー?…何故右端に!?
僕の戦いはまだ終わらない。
モチーフの場所はなく、妄想内の場所です。
聖地巡礼はできないね!
あ、そもそもしないか。




