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自販機コーラ

作者: 氷水悠斗
掲載日:2021/07/06

案外つらつらと書けました。やったね!



自動販売機でよく左上、客が真っ先に目を向ける位置にコーラがある。


僕は他の商品を見ることなく、それに即決するタイプの人間ではない。


学生のご身分でバイトせず、親からの支給のみで生きている僕は、

種類より温かい冷たいという日本語より、数字―――すなわち値段に目がいってしまうのだ。



人は誰しも趣味がある。

趣味には金を注ぎたい。

僕も例外ではなく、カバンにぶら下がるキャラクターたちも僕の趣味だ。


限られた小遣いの中で上手く注ぐのは難しい。


その調節のためにも、自動販売機の値段にも注意する必要があるのだ。



改めて数字を眺める。


(…高い)


たった百数十円でもそう思えてしまう。



考えて見てほしい。500ミリリッター未満を自販機はこの値で売るが、

これぐらいあればスーパーマーケットで4倍の量のスポーツドリンク2リッター買えるのだ。


ここに財を投げるより、地域の店舗に貢献したほうが得することは目に見えている。



しかし、乾いたアスファルトに雫が1つ。


それは勿論涙ではない。そう、汗だ。


この炎天下、数十分歩き、水筒も空で、おまけに、ここらにスーパーマーケット、コンビニエンスストアすらないときたもんだ。


泣きっ面に蜂だ。


さぁ、どうする僕。



「あの、ごめん。」

「あ、どうぞ。」



僕は瞬時に思考を止め、後ろへ飛ぶように下がった。


横から来たのはクラスの中心、竹中さんだ。


身体中汗まみれである。


嗚呼、僕は純粋だ。

思わず一点へと目を向けてしまう。

意思に関わらず。



そう、僕の視線は彼女の指先にあった。


(何を選ぶのだろう)


それが気になってしょうがない。


え?他に気にするべきなものがある?


僕にはそんな余裕はない。

喉が渇いた、これは最優先事項だ。



竹中さんは自販機を眺める。


その表情にはやはり迷いが見えた。

ポケットから取り出した長財布と自販機を交互に見ている。


その様子を見ているのもあれなので、僕は辺りへと目をやる。


そこは元田んぼの新しめの住居がぽつぽつある程度で、ガレージに車は全くなく、閑散としていた。


目の保養にもならない。


僕はカバンから携帯を取りだし、1番近いスーパーマーケットを調べる。



しかし、結果が出る前に、がこん、と気持ちのいい音が僕の目をスマホから離させた。


悩んだ末、何を選んだか。


それは標高が高くなるほど、値段も高くなる左上の飲み物であった。


彼女は我慢できず、ぷしっと音たて開封する。


泡がもくもくあふれていく。自販機の弊害の1つだが、僕にはそれすら輝いて見えた。


そして、それを僕へと見せつけるが如く、それを口へと運んだ。


まるでコマーシャルを見ている気分だった。


動画の合間に割り込んできたような不快感はなく、ただ、飲みたいという欲が高まっていく。



ぷぁ、と可愛らしい声をあげ口を離す。


嗚呼、僕は遂に財布を取り出してしまった。


空気を読み、横へ退いた彼女を通り過ぎ、自動販売機の前に立つ。




そんな…なんということだろう。


例の飲み物に数字の表記はなく、日本語で、赤い文字で何か書いてあるではないか。


僕は自責の念に襲われた。


ごちゃごちゃ考えず決めればよかったと。


「あの、ごめん。」


そう変わらず声をかけてくる竹中さんに目を合わせられない。


別に恨んでないから…無駄遣いを阻止してくれてありがとう…


僕はそう思いつつ自販機から目を離…



え?…ドクターシュガー?…何故右端に!?






僕の戦いはまだ終わらない。

モチーフの場所はなく、妄想内の場所です。


聖地巡礼はできないね!


あ、そもそもしないか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] さらっと読んでも楽しめました。第一文の設定。二文目の「僕」の性格。そのほかに「僕」の背景や場景など、物語が面白く展開していきそうだなと思う要素があったからです。ワクワクしながら読み進めてい…
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