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サヨナラは地獄


「あのー......いつまで睨み合ってるんですか......」


瑠奈と梨央奈先輩は、僕の部屋で正座しながらずっと睨み合っている。


「ちなみに、本当に泊まるんですか?」

「泊まるよ」

「る、瑠奈は?」

「泊まる」


僕、別に泊まっていいなんて言ってないんだけどな......

とりあえず冷静に話してもらって解決しよう。


「お互いに言いたい放題になると、また大変なことになるかもしれないので、順番に話しましょう」

「んじゃ最初は私から」


まずは瑠奈から話すことになった。


「なんであんなことしたの」

「蓮くんは私のことが好きなのに、素直になれてなかったから」

「は?気持ち悪すぎ」

「瑠奈ちゃんだって、蓮くんの気持ち考えないでベタべタしてるじゃん」


多分、この二人に冷静に話すことは無理だ。


「私は蓮の気持ち考えてるし、梨央奈先輩なんて、蓮の誕生日も知らなかったくせに」

「瑠奈ちゃんなんて元カノですらないくせに」

「あーあ、言っちゃった」

「悪い?私は元カノだから、瑠奈ちゃんより愛された人なの」

「瑠奈、なんで僕を睨むの」

「ほら、瑠奈ちゃんはすぐに蓮くんを困らせる」

「梨央奈先輩もです!首絞めたこと忘れました⁉︎」

「そ、それはごめんなさい......」

「へっ。怒られてやんの」


このままじゃダメだ。僕が素直にならないと。


「僕は梨央奈先輩とやり直す気も、瑠奈と付き合う気もないです!今は好きな人もいない!」

「どうしてやり直す気がないの?」

「梨央奈先輩のことが嫌いとかじゃないですよ?ただ、疲れただけです。僕は、二人に仲良くしてほしいです.......」


瑠奈と梨央奈先輩は、お互いに視線を逸らし、数秒の沈黙が流れた。


「今日だけでいいから、全部忘れて遊んでみません?それが僕の家に泊まる条件です」

「そういう条件なら......私は蓮の言うこと聞く」

「私も」

「それじゃまずはトランプでもしましょう!」


それからトランプて、ババ抜きや7並べ、スピードなどをして遊んだが、二人は打ち解けることはなかった。


「次は、ゲーセンでも行きますか!一度帰宅してるから、校則には引っかからないし!」

「でも、雫は1人で見回りとかするよ?」

「でも怒られることはないですよね」

「なに?まさかビビってる?」

「いや?私は雫を怖いと思ったことないよ?ただ、大丈夫かなって」

「なにがです?」

「もし、私達と無関係の生徒が学校帰りにゲーセンにいて、それに私達が気づかなかった場合、私達怒られるよ」

「ま、まずは見回りしてから遊びましょうか......」


僕と梨央奈はジャージに着替え、汚れたワイシャツを洗濯機に入れた。


「制服暑苦しいし、私もジャージに着替える」


結局3人ジャージ姿でゲームセンターに向かった。

ゲームセンターに着いてすぐ、瑠奈は嬉しそうにUFOキャッチャーを指差した。


「見て見て!このぬいぐるみ可愛い!」

「まずは見回りするから、瑠奈は1人で遊んでて」

「えー。私も見回りする!」

「分かった」


3人でグルっと一周見て回ったが、校則違反をしている生徒はいなかった......ことにしたかった。

僕達は雫先輩を見つけて、物陰に隠れた。


「雫先輩、明らかに学校帰りに見回りに来た感じですけど......」

「どうする?」


雫先輩は、UFOキャッチャーを眺めて財布を取り出した。


「あれ、100円入れた瞬間アウトですよね」

「蓮くんが取り締まってよ」

「いや、そこは梨央奈先輩が」

「合間を取って瑠奈ちゃんにしよう」

「いいですね」

「は?この際正直に言うけど、私めっちゃビビってるから」

「いや、もっと違うとこで素直になってよ」


その時、雫先輩はゲーム機に100円を入れた。


「入れましたよ!」

「瑠奈ちゃん、早く!」

「嫌だ嫌だ!」

「とりあえず監視しましょう」

「そうだね」


これは、弱みを握るチャンス‼︎生徒会にいながら自由を手にし、罰を与えられることもない、僕が望んだ学校生活を送れるかもしれない‼︎


それから数分が経ち、雫先輩はUFOキャッチャーに二千円以上投資している。


「そんなに欲しいのかな」

「てか、景品なに?」

「大きなウサギのぬいぐるみ」


雫先輩がウサギって......耳掴んで殴ってストレス発散する気なんだ......


「あ!取れたみたい!」

「なんか、嬉しそうにですよ......」

「鬼の微笑みほど不気味なものはないね」

「蓮くん、雫どっか行く」

「尾行しましょう」


こっそり雫先輩の後ろを着いて行くと、雫先輩は、メダルコーナーのアイスの自販機の横の椅子に座る家族に近づいて行った。

座っている女の子は何故か泣いていて、悲しそうにアイスを食べている。


「このぬいぐるみ、よかったらどうぞ」

「え⁉︎いいんですか⁉︎」


雫先輩がぬいぐるみを渡すと、泣いていた女の子は急に笑顔になった。


「ほら、お姉ちゃんにありがとうは?」

「ありがとう!欲しかったけど取れなかったの!」


女の子はぬいぐるみに抱きつくと、持っていたアイスを雫先輩の制服に付けてしまった。


「梨央奈先輩!あの女の子殺されますよ⁉︎」

「あれはヤバイね......」


すると雫先輩は、とても優しい表情で女の子の頭を撫で、新しいアイスを買ってあげた。


「だ、大丈夫ですか?クリーニング代払いますよ」

「大丈夫です」

「お姉ちゃん、ごめんなさい」

「ごめんなさいが言えて偉いね。ぬいぐるみ、大切にしてね?」

「うん!」


そして雫先輩はゲームセンターを後にした。


「雫先輩って......」

「いい人でしょ?」

「はい」

「なんで学校では、あんなムカつく性格なわけ?」

「瑠奈ちゃんは知る必要ない」

「蓮は知ってるの?」

「ま、まぁ......」

「私だけ仲間外れじゃん!」

「仲間じゃないし」

「は?」

「2人とも、喧嘩したらお泊まりは無しです」

「ごめん」

「ごめんなさい」


それにしても、雫先輩の弱みを握るとか考えた自分が恥ずかしい〜‼︎

でも、梨央奈先輩とも普通に話せるようになったし、瑠奈と梨央奈先輩も、すぐイライラするけど、関係ない会話もできるようになった。この調子だな。


「んじゃ、ゲームしますか!瑠奈と梨央奈先輩がエアホッケーやって、買った方にジュース奢ってあげる!」


どうして一々睨み合うんだ......

まぁ、とにかく、瑠奈はエアホッケーが得意だ。多分間違いなく勝つのは瑠奈。

最初に瑠奈の機嫌を取って、次は瑠奈が苦手なUFOキャッチャーで勝負させよう。


「んじゃ始めるよ!蓮くんが審判ね!」

「分かりました」


点数表示されるから審判いらないと思うんだけど。


エアホッケーが始まり、2人はかなり真剣に戦った。一言も喋らずに.......


「勝ったー‼︎」


やっぱり勝ったのは瑠奈だった。


「楽しい⁉︎それ楽しい⁉︎」

「戦いなんだから楽しさとかいらないよ」

「そうだよ蓮くん」

「そ、そうですか......んじゃ、後で瑠奈にはジュース買ってあげるね」

「わーい!」

「つ、次の勝負!次やろ!早く!」

「わ、分かりました分かりました。次はUFOキャッチャー!10分で、多く景品を取った方の勝ち!」

「私お金ない」


すると梨央奈先輩は、財布から三千円を出して瑠奈に渡した。


「あげるよ」

「敵にお金を貰うなんて屈辱......」

「へっ」

「絶対負けないから!」

「私だって!」

「んじゃ......よーい、スタート」


2人は取れやすそうな景品を探して、店内を早歩きし始めた。


10分かー、僕はアイスでも食べて待ってよ。


そして10分後。


「蓮!見て!」

「ウーパールーパー?」

「ウーパールーパーのぬいぐるみ!可愛くない?」

「それしか取ってないの?」

「どうせ、あの女は一個も取れてないはずだから!」

「138個取れたよ」

「......は⁉︎」


梨央奈先輩は、袋がパンパンになるほどのチョコレートを持ってきた。


「そ、そんなの不正だよ!不正!」

「でも、蓮くんは数で勝負って言ったもん」

「り、梨央奈先輩の勝ち〜」


不正じゃないけど、確かにズルい。


「んじゃ、今回は2人にジュース奢りますね」


嬉しそうに僕を見つめる2人を背に、自販機の前で財布を広げた。


「......ごめん。120円しかない」

「んじゃ最初に勝った私に買って!」

「はい?」

「そ、そうだ!ジュースはやめて、1人100円出してプリクラ撮ろう!」

「プリクラは400円だけど」

「......梨央奈先輩!お願いします!」

「蓮くんのお願いだもんね!いいよ!」


そしてプリクラを撮ることになったのはいいが、この狭い空間にこの三人は気まずすぎる。


「準備はいい?ハイ!チーズ!」

「きゃ!」

「梨央奈先輩⁉︎」


瑠奈はタイミングよく、梨央奈先輩のズボンを下げ、梨央奈先輩はパンツ姿を撮られてしまった。


「な、なにするの‼︎」

「蓮、見たよね。なんで他の女のパンツ見るの?」

「瑠奈。お前がやったんだ」


よくやった瑠奈。梨央奈先輩のパンツプリクラは家宝にしよう。


「準備はいいかなー?ハイ!チーズ!」

「うぁ〜‼︎やめろー‼︎」


梨央奈先輩は仕返しに、タイミングよく瑠奈の胸を激しく揉んだ。


「梨央奈先輩。可哀想なのでやめてください」

「蓮♡」

「私の時はそんなこと言わなかったのに......」

「瑠奈の胸をそんなに激しく揉んだら、ゴリゴリって骨に響きますよ」

「蓮ー‼︎‼︎‼︎‼︎」

「ハイ!チーズ!」


最後は僕の背中に瑠奈がしがみつき、髪を掴んでいるところを、梨央奈先輩が笑顔で見ている写真が撮れた。


その後の落書きで、梨央奈先輩は自分のパンツを黒く塗り潰してしまった。


だか悪くない‼︎逆にモザイクみたいで興奮する‼︎


「それじゃ、そろそろ帰りますか」


帰宅して夜になり、2人は先にお風呂に入ってパジャマに着替えた。


「僕も入ってきますね」

「はーい」

「行ってらしゃい!」


蓮が部屋を出ると、梨央奈はゲームセンターで取ったチョコを半分瑠奈に渡した。


「あげる」

「いいの?」

「うん。今日、なんだかんだ楽しかったね」

「確かに!私、エアホッケー強かったでしょ!」

「それ!なんであんなに強いの⁉︎ビックリしたよ!」

「昔から好きで、蓮とよくやってたから!」

「......あ、思い出した。去年、ゲームセンターで2人を見たことある」

「そうなの⁉︎」

「雫とね、カップルかな?って話してたんだよ。楽しそうだねって」

「それってなんか凄くない⁉︎」

「すごいよね!あの頃は瑠奈ちゃん、まだ黒髪だったよね」

「うん!」

「なんで染めたの?」

「蓮が雑誌のモデルを見て、この色可愛いって言ったから」 

「そっか。昔から頑張ってるんだね」

「梨央奈先輩も似たような色じゃん」

「今日から梨央奈でいいよ」

「え?」


梨央奈は床に寝そべり、瑠奈に背を向けて携帯をいじりだした。


「私さ、もうやり直せないって気付いてたんだ。確かに、私といる時の蓮くんも楽しそうだったけど、瑠奈ちゃんといる時の顔は、もっと楽しそうだったから」

「梨央奈先輩?」

「梨央奈でいいって」

「り、梨央奈」

「なに?」

「んじゃなんで部室であんなことを?」

「悪あがき。子供みたいでしょ?全力で気持ち伝えたら、もしかしてとか思っちゃったの」

「こ、子供なんだから、別にいいんじゃない?」

「馬鹿にしてる?」

「私も子供だもん。気持ち分かる。どうしたら蓮が振り向いてくれるかなんて分からなくて、でも好きで、好きだから付き合ってもないのに嫉妬して束縛みたいなことしちゃうし」

「そうだね......私、蓮くんのこと好きでいていい?」

「無理」

「好きでいるだけ。なんか感じちゃったんだよ。瑠奈ちゃんには敵わないって......」


梨央奈は瑠奈に背を向けたまま涙を流した。


「り、梨央奈!泣かないでよ!」

「さっきまで敵同士だったのに優しくするの?」

「だって......」


梨央奈は瑠奈に携帯画面を見せた。

見せられたのは蓮とのトーク画面で(さよなら)と打ってあった。


「送るの?」

「うん。諦めなきゃね、蓮くんのためにも......」


梨央奈は瑠奈に見せながら送信ボタンを押した。


「はぁー......」

「梨央奈?どうしたの?」 

「友達を失ったり、裏切られたり、いろんな経験してきたけどさ、好きな人との別れはあれだね......」

「なに?」

「地獄だよ」

「......そんなことない!いや......そうかもしれないけど、こんなの地獄じゃない!私達はまだ高校生だよ?これからもっと地獄みたいなこと沢山あるよ!」

「なにそれ、生きるの嫌になってきた」

「ち、違う!梨央奈しっかりして!」


それからしばらくして、蓮がお風呂を上がり携帯を確認すると、梨央奈からのメッセージを見て青ざめた。


「さよなら......」


僕は急いでパジャマを着て、自分の部屋に走った。


「梨央奈先輩‼︎早まらないでください‼︎」

「蓮くん?」

「蓮?どうしたの?」

「あれ?」


2人は一緒に寝転び、仲良く同じ雑誌を見ていた。


「さよならって、自殺でもする気かと......」


梨央奈先輩は立ち上がり、僕の手を優しく握った。


「少しの間だったけど、好きでいてくれてありがとう!さよなら」

「いや、だから自殺......」

「違うよ!もう諦めるってこと!まったく蓮くんはおバカさんだね、瑠奈ちゃん!」

「ねー!梨央奈!とにかく手離せ」


2人が笑顔で話してる......


「仲良くなったんですか⁉︎」

「私と瑠奈ちゃんは、もう大親友だもんね!」

「ウチら一緒マブやけん!」

「瑠奈、そのキャラどうした」

「今日は梨央奈と寝る!」

「いいよー!」


なんでいきなり仲良くなったんだ。女の子って分からないな。

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