第61話
団長が唸り始めて、1,2分ぐらいした頃だろうか。
今度は何かブツブツ言い始めた。
「んー、傀を使うのは…。
いや、これはいい経験に…流石に危険すぎるし、他の奴からの目もあるだろうしなぁ。
ティラちゃんのスキル…いや、そんな危険な賭けは好みじゃないし。
国に相談っと言ってもなんて言えばいいんだか。
じゃあ、先に情報集めと……。
その前に」
最後にふぅぅ、と大きくため息を吐いて彼は目を開けた。
「お!終わったか」
「んー、やることが山積みだな」
ぐっと背伸びをし、体の筋を伸ばすと、菊那に指示を出す。
A班にダイバーのスキル調査、B班に要注意ダイバーの監視、C班は…新人さんの募集を徹底するように伝えてくれ、と言うと今度は紙に何か書き始める。
書いている最中、めんどくさいぃ、と時々呟きが溢れるのは、彼は書類仕事が嫌いな上、更に面倒なことが起きたこともあり、少々機嫌が悪いからだ。
普段は親しい受付嬢に任せたり、菊那に任せたりと 書類から逃げようとすることもあるが、この状況で逃げることもできない。
ピタリと文字を書き連ねていたペンが止まる。
「現場も確認しなくっちゃなぁ」
口の端を上げ、なんだか嬉しそうな表情を浮かべる。
傀は 何か大変なことでも起きたんだと思っていたのに、彼がニヤニヤと笑い始めたので少しギョッとする。
そんなことは彼の眼中にない。
止まっていたペンを物凄い勢いで動かすと、書き終わった紙をバッと待っていた菊那に渡すと、立ち上がった。
「よし!俺が現場を確認してくるわ!」
菊那は そんなことだろうと思った、という呆れ顔をして、はいはい と返事をすると、早速 書類を確認する。
準備をし始めた団長は、いつ部屋から退出すればいいのかわからなくなっている傀とその傀の肩の上でうたた寝しているティラを見つけた。
「そうだ!傀、俺らと特訓したい日があれば、訓練所の女将に手紙セットをお願いすれば貰えるから 貰って届けてもらってくれ!」
「もし、その中で俺らの予定が合えば、特訓手伝うからさ!」
「…あと、自分で訓練する時とか、周りに気をつけろよ?最近危ねえから」
「はっ、はい!」
突然、話しかけられて驚いた傀は、ビクッと体を揺らし、ティラが落ちかける。
「わっ、わわわ!!」
落ちそうなティラを抑えようと手を添えるが、その前にティラが目を覚まし、落ちないように羽をばたつかせながら、座り直した。
傀は、ティラが落ちなくてよかったと 安堵する。
「…もう終わったの?」
目を擦りながら団長を見る。
「特訓がしたい日があれば 連絡してくれ。予定が合えば見てやれるからな」
と、ティラの頭を撫でようとして、またティラ自身の手で払われる。
あと、今日教えたことは毎日やれよ?と言うと、足軽に出発してしまった。
そして、書類を確認し終わった菊那が傀にそろそろ解散しようと言うと、ようやく傀たちは帰路に着くことができた。




