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駄菓子屋から始まる異世界レベリング  作者: 八 五月 / 戯歌 飛龍
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第6話


傀が目を開けるとそこは木に囲まれていた。


あの黒い渦に入った途端、眠くなったと思ったらまさか草の上にいるなんて。

どのくらい寝てたのかな

そんなに寝てはいないとは思うけど、久々にゆっくり寝たような感じがする。


かなり前から、奴らが押し付けてきた課題やノートをまとめるので睡眠時間を削ることも多かったから…


何も考えずに、ぼーっとしている時間はとても新鮮だった。



鮮やかな水色が広がる空を見つめ、左から右へと流れていく雲を見送る。

もこもことした雲は、様々な形へ絶えず変化していって、他の雲とくっついたり、離れたりを繰り返す。


しかし、そんな時間が少し過ぎたあたりで、傀はあることに気づいた。


ー息がしにくい


例えるなら、山頂でランニングをしたような息苦しさだ。

どうしてそうなったのか理解が追いついていない傀は慌てるように立ち上がるが、そのせいでますます悪化し、膝に手をつく。

少し先にある長い枝を拾うので精一杯なほどに。


枝に支えられ、顔を上げられるようになってようやくここが森だということに気づいた傀は、首だけを回して辺りを確認する。


なんだあれ


数m 先にいたのは、かなり大きいネズミ2匹が傀を見つめていた。

大きさは優に1m を超えるくらいのネズミだ。

この二匹でここが異世界だと認識させられるには十分すぎるものだった。


僕を狩る気なんだ

お婆さんが言っていたのに

異世界に来てすぐに死んでしまうなんて…


傀が逃げるのはほとんど無理だと思うのも無理はない。

この二匹はすでに、傀が恐怖で動けなくなっている間に傀を逃さないように二手に分かれ、街道へ続く獣道を塞いでいるからだ。


殺される恐怖に、最後の抵抗とばかりに持っていた棒を石のような体を駆使し、枝を全力で振り回す。


どうか、どうか驚いて逃げて…!


が、距離があるにも関わらず無駄な抵抗をするエサをネズミ達は嘲るようにジリジリと距離を詰める。


元々筋力がなかった腕は負荷がかかった状態も加わり、限界を迎えた。

それと同時に意識がパニック状態から戻ってきた。


傀は、枝の先が少し尖っていることを確認すると、目を閉じ、動くのをやめ、ネズミが襲ってくるのを待った。

それは諦めかのように。

最後の期待のように。

それを見たネズミ達は踊るように襲い掛かった。

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