第43話
「ん!やっべっ!ミッチ〜次移動だぁ!」
「え?もうそんな時間?」
「いや、とけぇ〜見ろよ」
「本当だ!」
慌てて机の中から教科書を取り出し、黒板に書いてあった通り、視聴覚室へ向かう。
「あ!そういえばさ〜、移動教室ってドコだ〜?」
「え…?」
意外な質問で、一瞬 時間が止まったのを感じる。
昨日、一昨日とかに移動教室の場所が言われたなら仕方ないが、それは違う。
なぜなら朝の連絡で、
「今日は視聴覚室なので間違えないように!」
と、言われていたし、教室の黒板に『視聴覚室へ移動』と、大きく書かれていた。
それなのに、沼田は「ドコだ〜?」と聞いてきた。
この一週間少しずつ関わってきて、何となく分かってきた。
変な質問が飛んでくるし、独り言は多いし。挙げ句の果て自問自答で自己解決。
でも、それがまた新鮮で、「自分と仲良くしてくれる人がいるなんて」っと、心の中が温まるような沸き上がるような、そんな感覚が久しぶりにあった。
それに、あだ名も最初は違和感があったけど、今じゃ気に入っている。
それを思い出し少しにやけてしまう。
「視聴覚室だよ」
「そ〜だったな〜。ん?なに二ヤけてんだよ〜?」
「何でもないよ」
「いや〜、気になんだろ。教えろよ〜」
「ひ、秘密で…」
そうだ。こんな会話久しぶりだった。
昔に戻ったようなあの感じ…。
こんな会話を僕はあの人達に求めて居たのかもしれない。




