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駄菓子屋から始まる異世界レベリング  作者: 八 五月 / 戯歌 飛龍
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第3話



そして、お婆さんは 困惑している少年にさらに追い打ちをかけるように言葉を続ける。


「急に言われても驚くだろうがね。

メリットは向こうで頑張った分だけこっちの世界にも反映されるんだが、…どうだい?

まあ、その分のリスクもあるけどねぇ」


さっきのは聞き間違いじゃないんだ…


お婆さんをじっと見つめる。

やはり、お婆さんの目は真剣に物事を語っている。


少年の頭の中で考えという名の文字がグルグルと回り始めた。


異世界ってどんなところだろう

強くなれるのかな

リスクってなんだろう?

怪しい話のリスクというのはどう考えても生易しいものではないはず。


──怖い


もちろん、何事も代償(リスク)なしで利益を受けることは出来ない。

けど、この話が本当なら…?


少年の頭にはリスクとは何か_という事を考えることで頭がいっぱいで、自分が異世界に行く前提なことにすら気づかない程、脳内はヒートアップしていっていた。

思考を巡らせ、リスクは何か?という答えを探す。

しかし、そんな少年の努力も虚しく、お婆さんはあっさりと答えた。


「リスクは、向こうの世界ってのはこっちの世界と比べると、生き残るのが難しいことだよ。

場合によっちゃあ、生きていけるかさえ怪しい所だ。だから勿論、向こうで死んでしまうこともある訳だ。

だがね、向こうで死んじまうと こっちの世界の人間の記憶から自分の存在が消えて、初めから存在しなかった、とまでは言わないが上手い具合に皆んなの記憶から消えちまうのさ。

ま、物は考えようだけどねぇ。」


「こっちにも帰ってこれるから、普段の生活を送りながらでも異世界に行くのは可能だよ。

ただ、注意点として、こっちと向こうは時間軸が違うからある程度調節しなけりゃならない。」



深く俯いて良く考え込む。


死にたくない

けど、ここで恐れてしまってもいいのか


この話が本当なら又とないチャンスなんじゃ…?

いや、もしかして嘘かもしれない


仮に行けたとしても帰れなかったら…

でも、リスクばっかり気にしてたら何も得られない


もし、死んだって 最初からいなかったことになるなら…

けど、死ぬのは怖いなぁ


頭の中で色々な考えが巡り巡って答えを出すのを阻む。

言葉の嵐に少年は目を回し、もう 今のままでいいのではないかとすら思う。


しかし、お婆さんのある一言が少年を心を揺さぶった。



「誰よりも強くなれる可能性だってあるけどねぇ?」



そうお婆さんが 嗄れた力強い声で告げる。

お婆さんは自分の悩み事も何もかも知っているような、全てを見透かす瞳で少年を射た。



そして、少年はあれこれ考えるのをやめた。

自分の心に聞くことにしたのだ。


思考を止め、少年の胸に耳を澄ます。

心の奥底から聞こえる声が 少年の身体の芯に響き渡る。




__強くなりたい

__命を賭けても 強くなりたいのだと

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