第25話
色々な人や物が行き交う市場。
そこでは様々なものが売り買いされていた。
動物の肉や毛皮、モンスターの角や牙、色とりどりな果実や宝石、アクセサリー、食べ物 などなど。
見慣れない物に目を輝かせる傀に、ティラは「何食べる?」と 無邪気な子供を見るような微笑みを浮かべ問いかける。
悩ましい…
屋台で焼かれている串肉の美味しそうな香りが風に乗って来ていて食欲を誘う。
だけど、なんの肉なのかわからない。
美味しいの?それとも…
…いや、美味しく無いわけ…。
……。
その反対で売っている串に刺さった魚も言うまでもない。
ティラに質問をしようにも…。
とりあえず、辺りを見渡して見慣れたものから探す。
あれはパンかな…?
昨日食べたのもパンに似たやつだった。
それならこの世界にパンはあるものと考えよう。
それなら、パンと…。
果物?まぁお店で売ってるし、毒?は無いよね。
「…軽くパンと果物はどう?」
ティラの反応を伺ってみる。
「それはいいわね!じゃあ、私は美味しそうなパンを買ってくるから傀は果物をお願いね」
「え?ちょっ」
傀が引き止めようとするがティラはその声に気づかず飛んでいった。
「えぇ〜〜、何もわかんないのに…、それに待ち合わせってどこ?」
そんな事をぼやきながら傀は甘い香りのする果物屋さんに向った。
果実店はティラと別れた2つ店を跨いだ所にあった。
露店にはたくさんの種類で溢れかえっていたが、ふとある物に目が止まった。
それは林檎だ。形以外はそっくりの。
「あの〜、これって…」
「はいよ!」
「え〜っと、これってなんですか」
「ん?にいちゃん知らねーのか?それは、ファップルってんだ。」
「ファップル、ですか…」
「そう!ファップル。ほら、綺麗なハートの形してんだろ!
好きな人と齧り合うと両想いになれるとかそんな噂があるやつだな!」
周りを確認してから手招きし、手で壁を作りオヤジは傀にだけ聞こえるように話してきた。
「実はなぁ俺も、鳥人のカミさん捕まえるのに世話になってな〜。今じゃ熱々よ〜!」
「え?そ、そうなんですか。」
「ああ!」
鼻を鳴らしながらオヤジは自慢げに胸を張った、すると後ろから
「傀、果物は買えた?」
「‼‼‼」
ビクンッと、心臓と体が一回跳ね上がる。
ティラだ
「ティ、ティラ?!い、いや、何も?!」
「?そんなに驚いてどうしたの?」
「……」
言葉が出ない。
いや、これを話すのは流石に…。
「まあいいわ。それよりパン買ってきたわよ。しかも焼きたてゲット!」
ティラは、パンの入っている一回り大きい袋を抱え、嬉しそうに跳ねる。
「そ、そう。よかったね」
「コホン」
「そんでどうすんの?ファップル。
買うの?買わないの?」
オヤジがファップルを強調して言う。
「ファップル?」
「いや、これは…その…」
「んー、じゃあ2つ!美味しそうなところね!」
「はあーい。毎度あり!」
オヤジはでかい声で言う。
「んじゃ頑張れよ、ガキンチョ!」
違 う っ て ば !
商品を受け取りその場を逃げるように店を後にした。
が、ティラに何の話を聞かれたのは言うまでもない。




