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駄菓子屋から始まる異世界レベリング  作者: 八 五月 / 戯歌 飛龍
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第23話



妙に重い体と当たり一面に広がる霧


いや、霧と言うにはあまりにも粘着質で、体に纏わりついてくる。

手で払い落とそうとしても全くと言っていいほど落ちない。

逆に、その動きに比例するように次第に霧も濃くなってきた。


「あれ?…ティラ?」


表情のないティラが、僕を追い越していく。


おかしい


一寸先が見えない程の霧とはいえ、ついさっき後ろを振り返ったばかりだったから。



そして振り返ることもなく、霧の先に向かっていく。

「ティラ!待って!」

手を伸ばして掴もうとするが届かない。


あれ? 綺麗な水色?


何故か二重、三重に視界が揺れる

左右に大きく揺れる感覚に歩みを止める



さようなら…


そう一言彼女達は告げると、冷たい表情で消えていった。





何がいけなかったんだろう


闇にゆっくり沈んでいく。

ズブズブと真っ暗な、赤い光…?




ハッと体を起こす。

起きたばかりで頭が回らないせいか、筋肉痛のせいか、上手く体が動かない。

そんな傀に不安が生まれる。

見たくないのに、ゆっくりとティラがいるであろう簡素なデスクの方を見る。


しかし、そこにティラは居ない。


血が頭から引くのを感じ悪寒に襲われる。

まだちゃんと何が起きたか理解できない。

だけどティラが部屋に居ないことは理解できていた。



昨日もっとしっかり謝っていたら。

いや、その前にそんな話をしなければ…。


回らない頭で考えても幾つも幾つも浮かんでくる。


「探さないと」


反射的にその言葉が溢れる。

そして膨れ上がった不安が傀を突き動かす。

靴に足を突っ込み、部屋の外へとドアノブに手を掛けようとしたその時、ドアノブが勝手に下がる。


「え?」


一瞬何が起きたのか理解できず、慌てていたのも重なり掴み損ねた勢いで傀は勢い余り転んでしまった。

マンガやアニメではよくあるが本当にやるとは傀自身思っていなかっただろう。

パニック状態からか顎を打ったからか、視界がクルクルと回り、倒れ込んだまま蹲る。


上の方から「大丈夫?」と、心配そうに声がする。


そこにはティラがいた。


「あ、うん。大丈夫...」

「何かあったの?そんなに慌てて」

「い、いや何もない」


慌てて顔をそむけた。


「本当に?」

ティラは意地悪そうに傀に問いかけた。

傀は渋々答える。


「ティラが居なくなったと思って...」


「え⁉︎」


ティラの顔がみるみる赤くなっていく。


「そ、そんなに寂しかったなんて...」

「い、いやそんな事...」

お互い顔を背けた。



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