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駄菓子屋から始まる異世界レベリング  作者: 八 五月 / 戯歌 飛龍
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第13話



「……と!だい…ですか?!

        大丈夫ですか?!」


声が聞こえると共に傀の意識は少しずつ取り戻される。


目を開き 何度か瞬きをすると、女の子がいた。

肩につくほどの 艶のある黒い髪の女の子。

隣のクラスで、学校中の男子からも女子からも人気のある 桜月さくらづき 美冬みふゆだ。


「ようやく気がついた!怪我…だいぶひどいですね…。」

「えぁ!?

いや、全然大丈夫でっ…、それに、あんまり僕に関わらない方が…」


桜月さんの白くて小さい華奢な手が差し出されるが、伸ばしかけた 擦り傷と砂のついた手をパッと引っ込める。

起き上がり、少し遠くに落ちている鞄を拾って、校門へと向かおうとした。

が、そんな思いとは裏腹に美冬は強引に傀の腕をガッチリと掴む。


「イッッッ!」

「だめです!ちゃんと治療しないと!

ほら、保健室に行きますよ!私、これでも保険委員なんですよ?」


傀の返事を言う間もなく、向かおうとしていた方向とは反対へと進んでいく。



「それで、なんで こんなに怪我をしちゃったんですか?」

「転んでしまって…」


傀は アハハハと笑いながら前髪をいじる。


「…本当、ですか?」

「いやぁ、本当に転んでしまって…」


早歩き気味に来たからか、あっという間に保健室についてしまった。

保健室には誰もいなく、薄暗くって なんだかちょっとドキドキとする。

カチッと桜月さんが電気をつけたことで、急に明るくなったからか目がチカチカした。


そこに座ってください と、指し示された椅子に座って、桜月さんをチラチラと見る。


「…気をつけてくださいね」


桜月さんは救急箱を取り出しながら呟くように言った。

実際に転んだわけじゃないけど、桜月さんに心配されて、なんだか今日、奴らに殴られたことも良かったように思ってしまう。


「きっ、気をつけます!」


背筋を伸ばし、宣言するように言う。

桜月さんは、少し クスっと笑ったかと思ったら、また気まずくなって互いに黙りこくってしまった。

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