他国の医療制度 ケース:お隣の国
何で最初のケースがよりによってソコなの?感想欄荒らされたいの?
いえ本当は英国だとか、米国だとかを取り上げたいですが、筆者がまだ未熟であり、十分皆様に晒せるだけの学習を経ていない悲しい現実がありますのでお許し下さい。
んで、なんでよりによって荒れそうな国を題材としたかといいますと……
--日本の医療制度の一歩先をいっている国--
だからです。
まず彼の国は、日本と同じ国民皆保険制度を取り入れております。公的医療保障の成り立ちから国民皆保険制度へ移行したのは、1988年と結構最近で、保険制度内容ですが日本との類似点がかなり多いです。
--というかぶっちゃけ、現行日本保険制度と、大日本帝国統治下で行われていた昭和時代の日本国民皆保険の制度をそのままコピー&ペーストして引っ掻き回したような内容です。
これ悪口や悪意ではなく、本当にそうとしか思えないのです。なにより、歴史上の理由があります。
彼の国が健康保険を制定させた成り立ちですが、1961年に軍事クーデターが起こり、軍事政権下としての機能を盤石にするためという事情がありました。クーデターを起こした軍人さんが大統領として就任するまでに、大衆の支持を得られる医療制度制定が急務だったのです。
実際彼の国において、医療保険法が制定され、実施されるまでたった2ヶ月しか時間を要しておりません。
--じゃあ何処を参考にするか?と言われれば、悔しいかもしれませんが、戦時中統治下にあった国の保険制度を参考にして練り上げるしかなかったのでしょう。実際、あれほど反日が大きい社会ですから「日本の国民皆保険制度をモデルとして導入した。」「日本から移植したものである。」と当時より批判があったと記録されているくらいです。
そんな成り立ちから始まり、彼の国特有の徴兵制度や退役軍人・傷痍軍人に対する制度を足したり、金融危機で保険機構がIMFの管理下に入って無理矢理制度を改善(改悪?)させられたりと、ガラパコス的な変化を遂げていきます。
……何だか国の名前や個人名を秘匿するのも面倒になってきましたが、最後までこれでいきます。
そんな訳で、〝日本と似ている〟医療制度と体制ですが、全て一緒ではありません。違いとして--
①混合医療を認めている。
②医療機関や薬局が申請しなくても勝手に保険適応の機関になる
③医師・歯科医師以外に、鍼灸・漢方を扱う韓方医師という資格があり保険が付く
④日本よりも保険適応した際の自己負担が安い
⑤過疎地医療に貢献した医師・韓方医師・看護師には徴兵が免除される。
という点が大きいでしょうか。
① の 【混合医療】とは、以前のエッセイでもお話しした、保険適用される薬・治療と、適応されない自由診療を同時に行ってもいいという事です。
② について解説致しますと、日本では厚生労働省に申請し、指定を認可されないければ〝病院〟〝クリニック〟〝薬局〟とは認められません。
しかし彼の国では基準を満たしていれば勝手に〝病院〟と認定されます。日本では美容整形・性的な意味に関するお薬を処方する病院などが認可を受けないことが多いです。
……全部を指定するのには理由がありまして、保険適用より自由診療の方が儲けられる事情から、自由診療をしたがる病院が多かったため、全部の医療機関を保険公団の管理下にしています。早い話【闇医者対策】です。
③ 韓方医師についてですが、西洋医学でなく、生薬・鍼灸・気功などの東洋医学の専門医です。歯医者さんと同じくらい身近にあります。
④ の 〝日本よりも保険適応した際の自己負担が安い〟ですが、一見すると凄く羨ましい制度です。しかしながら大きな落とし穴が御座いまして、日本よりも〝保険適用〟となる疾患・治療・薬剤がとても少ないのです。
彼の国の治療院で〝保険適用外〟とされながら、臨床で使用される治療方法・治療機材は約4000種類とされています。(2015年、某国保険公団発表)
比較すると、日本では108種類です(2015年厚生労働省発表)。約40倍です。なんでこんな事がおこるかというと、日本では保険の認可に際して【安全性と有効性】が認められれば保険適用になります。
しかし彼の国では【安全性と有効性】の他に、【対費用効果】が無ければ認可されないのです。そのため認可が遅くなっていたり、日本では保険認可されている治療が【対費用効果】が悪いと否認されている状態に有ります。
また、仮に保険適用の疾患であったとしても、【混合医療】を取り入れているため、ギリギリの線を自由診療(患者全額負担)にして、必要以上にお金を取られるという現象が社会問題になっています。
極論してしまえば--
普通に暮らして風邪で薬を貰ったり、盲腸など軽い手術を受ける分には日本よりも優秀な制度だけれど、大事故にあったり、難病に罹ったり、大病をした場合は有り得ない金額を請求される。払えなければ、治療を受けられず死ぬ。
--ということになります。そのため民間医療保険への加入率がかなり高いです。……民間医療保険に加入できない低所得者は、、、まぁお察し下さいです。
⑤ 過疎地医療に貢献した医師・韓方医師・看護師には徴兵が免除される。 についてですが、兵役なんてしたくないですからね、見事な制度だと思います。この一件があり、日本よりも僻地医療が発展しております。
--日本の医療制度の一歩先をいっている国--
さて、先にこれを言ったことには理由が有ります。
・保険適用に【対費用効果】を導入する。
・【混合医療】を認める。
これは日本において、厚生労働省、財務省が正に行おうとしている事案です。それがどんなデメリットをもたらすか、医療の現場がどう変わってしまうのか。その考えの一端になって頂ければ幸いです。