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新築(建築開始から0秒安全確認無し)

 少年が去ってしばらく、ベッドでゴロゴロしながら色々と考えていたが、やはり誰かと接触するにあたってはこの姿はまずいのではないかという結論に至った。初手魔女認定アンブッシュイヤーされたらハイクを詠む間もなくこの世からしめやかにサヨナラすること請け合いだ。


 かと言って別の姿に変われるかと言えば、それが出来なかった。先程の万能薬に味を占めて背の伸びるポーションや性転換ポーション、果ては望んだ姿に変わるポーションまで作り出したものの、飲んだところで一切変化が無かった。


 一瞬薬の効果が無いのかとも思ったが、背の伸びるポーションを撒いた草が異様に成長したところを見るに薬としての効果は正しくあるのだろう。少年をぬか喜びさせずに済んだことに安堵すると同時に、どうやらどんな薬も自分に効果が無いことに絶望を感じた。


 というわけで色々と考慮した結果生み出したるはこちら、パワードスーツめいた外骨格とそれを包み隠すなんとなく賢者っぽい感じのローブである。イメージ通りになんでも出せるっていうのは本当に便利で、自分の声が変えられないなら機械? で変えればいいじゃないというわけである。


 元の身体と同じくらいの立っ端である故にむしろ生活しやすいし、寝る時とか食事の時以外はもう全部これで良いんじゃないかまである。万一ローブを捲られても鎧姿の男に見えるだろうし、まったくいい仕事をしたものだ。


 次いで一旦ベッドを消して、湖畔に一軒家を創造する。流石に野ざらしベッドで生活する気にもなれないし、かといって人里に向かうかと言われれば絶対にノゥである。ローブを脱がない不審人物とか別の意味でアウトだわ。


 であるならば夢のマイホームの建築こそ最善手に違いない。思えば夢のマイホームとか言っておきながら結局ローンだの職場からの距離だのその他の要因も含めて正に人の夢でしかなかった一軒家……この話はここまでにしよう。


 生憎と建築の知識など存在しないが、まあその辺りは適当でも多分大丈夫だろう。どうせ必要になれば後からいくらでも増改築可能だろう。怪しげなお薬の処分に困って消えろと念じたら行けた訳だし、最早怖いものなどないのだ。


 とりあえずは寝るための寝室とリビング、物置とかなんかの部屋として何部屋かある適当な一軒家を出してみた。が、漂うコレジャナイ感。森の湖畔に無機質な白い箱モノは違和感がある。ファンシーやメルヘンじゃないが、もう少しなんとかなるのではないだろうか。


 そんなこんなで日の暮れるまでああでもないこうでもないと試行錯誤した結果、なんとなく木が絡まって家の形になりました的な実にファンタジーな外装が完成した。これには匠もにっこりである。余談としては出入り口を作り忘れたことくらいかな!

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