<40> アル・カポネの子分の独白
組織の数が十万を超えた。これはかつての最大組織の十倍以上だ。俺たちが圧倒的に歴史上最大の組織になった。俺は嬉しくなって、ボスに報告したね。
でも、予想に反してボスは恐い顔をして言うんだ。
「十万?嘘だろ?」
俺は恐くなって、それ以上ボスが何を言っているのか聞く余裕はなかった。十万で報告した俺は恥ずかしい。ボスが十万人ぐらいで納得するはずがないじゃないか。俺は、トニー・アッカルド。ボスの二代後のマフィアのトップにまでなった。
でもね。格が違うんだよ。俺とはね。アル・カポネほど有名な人はいない。俺はそれに比べれば能力は上とされることも多いが、カリスマ性においては全然かなわない。
だから、思う。この人の下で俺は組織を強化して、ボスに認められるんだ。いつもそう思っている。
だけど、俺が報告するといつも恐い顔をする。たぶん、そんなんで満足するなと言いたいのだろう。……全くその通りだ。俺は小さい。本当に小さいな。なんで十万人程度で嬉しくなって報告したんだろう。
これでは怒られて当然ではないか。むしろ、俺が自分を怒りたい。そうだ、組織のみんなに伝えて百万人を目指そう。
ボスが見ている。俺は百万人の組織を目指すことを報告した。
ボスが百万人も地上に霊がいるのかと聞いてきたが、俺の知っている限りでは少なくとも百数十万人以上いる。
地獄に拘束されているアドルフ・ヒトラーとかこっちの世界に連れてこれないし、やっぱり地上にいる霊達を組織に入れるしかない。霊も、組織化されているグループはいくつかあり、そこをこちらのグループにまとめていけば、百万の組織は可能だ。
それ以外は、個別に活動する悪霊だから、一人ずつスカウトするしかない。結論から言えば百万は可能だ。俺はボスの質問に素直に報告した。
ボスは、また恐い顔をしている。しまった。ミスった。俺としたことが、さっきのことを全然反省できていないじゃないか。ボスは俺を試したんだ。百万人で満足するつもりかと。俺はボスに謝った。そして百万人ではまだ少ないと思いますが、まずはそれを超えたいと決意を伝えた。俺は、もう間違えない。絶対に組織を強化して、地上にいる霊を全て仲間にするのだ。




