<23> リサの誕生日のお祝い
リサの誕生日が近い。僕は二カ月前からプレゼントを用意しないといけないと考えていた。リサは十六歳になる。危ないのでしばらく帰らない予定だったが誕生日には、さすがにリサの実家でお祝いしたい。
安全のための帽子や防弾チョッキ、その他さまざまな安全のための装備(極秘ルートで入手した拳銃など)を携帯して帰る予定だ。誕生日の前日には僕もリサの両親に紹介してもらう。リサは僕のことを両親には報告してくれており、誕生日には会わせるよう約束させられていたのだ。
……かわいい娘に男がいるなんて、両親からしたらどんな気分だろう。特に父親がどう思うか。きちんと挨拶できるよう練習しておこう。ある意味、僕を殺そうとしている者たちより恐ろしい。リサへのプレゼントは、指輪を贈ることにした。そういえば結婚指輪なら給料の三倍とか聞いたことあるな。給料の三倍だと一千億円ぐらいか?
指輪の依頼には、大田副社長に相談して世界的に有名なところを紹介してもらった。将来的には買収して子会社にしようと考えているのだそうだ。それでとにかく、事前に自己紹介することもなく店に行き、費用はいくらかかっても構わないのでと写真を見せてこの子に似合う指輪をと希望を伝え、一億円を料金先払い、足りない分は後で払うと言って現金を見せると、店で相手をしてくれていた女性の顔が青くなり、店長を呼びに行った。店長も驚いて社長に連絡。社長がすぐにかけつけて社長と店長が相手をしてくれた。名刺を貰ったら代表取締役吉田勝直と書いてあった。
「もし今回作ってくれた指輪が気に入ったら、一千億円かかってもよいので、結婚指輪は極上のものを依頼するつもりです。」
と気軽に言ってみたら、二人とも固まってしまって動かなくなった。やはり最近の僕の金銭感覚はダメらしい。あなたは一体何者ですか?と聞かれたので、「昨日テレビで放映されていたんですが田中コーポレーションってご存知ですか?あの社長なのですが」と言うと、リサの写真と僕の顔を交互に見てから吉田社長が言った。
「どうりで……いや、それなら納得です。あの番組は私も見ていましたが、かなり費用をかけて制作されていますよね。この方は将来の結婚相手ということですか?」
「はい、この子以外との結婚はありえないと思っています。今回は誕生日プレゼントということで、そんなに高いものは必要ないと思いますので、数億円程度のを作ってもらえればいいかなと。まあ、百億円以内ぐらいの予算なら全然かまいません。」
「……承知……しました。似合うものを全力で用意させて頂きます」
そして、リサが普段身に着けているのと同じ大きさの指輪を渡してサイズを確認してもらったのだった。薬指につける指輪である。ここまでが二カ月前のことであった。
今日は指輪を受け取りに行く日である。リサにはプレゼントを用意していることはまだ内緒だ。今回の誕生日プレゼントは、きっと気に入ってもらえると思う。作品の出来については、中間報告として写真データで何度かもらっているので、写真を見る限りは自分も満足している。リサに似合う物をと注文したのだから、似合う物を全力で作ったものが似合わないはずがない。
実物を見せてもらった僕は、満足気に言った。
「とても、良い出来ですね。ありがとうございます。結婚指輪もお願いしようと思いますので、よろしくお願いします。」
それを聞いて吉田社長も満面の笑みで言った。
「ありがとうございます。その際は是非よろしくお願いします。」
今回の指輪の制作費用は三億円とのことで、現金は僕の会社の担当者に伝えてすぐに払ってもらった。お金のことは、いちいち大田副社長を通さずとも対応できるよう、担当者をつけてくれた。ありがたいことである。
明日はとうとう、リサの実家に行く日だ。そして明後日はリサの誕生日。リサの両親には最高の鏡をプレゼントしたいと思う。




