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<10> 異世界と地球での生活(大田慶介)

 本当に驚いた。だってこれ本物のきんだよ。ネットで知り合いになった時には少し疑っていたが一キロはある金の鏡のような?鏡かな?これは。を見た時には、信じざるを得なかった。相手は自分より十も年下だが、相当苦労してきた人なんだと一目でわかる。人間としては自分より上だと認め、田中さんには自然と敬語で話すようになった。今、ファミレスのコーヒーを飲み会話しているところで、田中さんのカバンからこんな凄いものを出したので驚いたところだ。


「これは、感触や重さからして本物の金ですね。こんなのをたくさん定期的に入手できるんですか?」


 田中さんは、なぜか少し考えてから言葉を選ぶかのように慎重に答えた。


「うん。実は結構簡単に手に入るので、これで商売ができないか考えた結果、大田さんがこの件に関して適任だとジンに言われて。ああ、ジンというのは自分の知り合いなんだけど、まあ、正直に言って大田さんに全て任せたい」


「なんで俺が適任だってジンという人は言ったんでしょうね。いろんな付き合いがあるから、以前に会った人なのかもしれないけど、記憶している人の中にはジンさんっていないんですよね」


「まあ、ジンが何者なのか説明するのが難しいので省略させてもらうけど、大田さんの人脈を使えば会社の設立や運営は問題ないと聞いている。自分が社長という立場で、大田さんは副社長。それでやってもらえないだろうか」


「副社長ですか。いいですね。俺実はトップより二番目のほうが好きなんです。そうと決まったら今から田中さんのことは社長と呼ばせてもらいますね」


 それから、田中さんとは会社設立の具体的な話をしていったのだった。

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